【陸自ARL-99Bヘルダイバー】『機動警察パトレイバー』陸上自衛隊に制式採用された99式強襲空挺レイバー「ヘルダイバー」のご紹介

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今回は、『機動警察パトレイバー』陸上自衛隊に制式採用された99式強襲空挺レイバー「ヘルダイバー」についてご紹介します。

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ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。

通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。

『機動警察パトレイバー』陸上自衛隊に制式採用された99式強襲空挺レイバー「ヘルダイバー」についてご紹介します。

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日本において後の「レイバー」に繋がる搭乗型多足歩行式車輛は、主に民生用作業機械として開発されてきたが、一方でアメリカやヨーロッパ諸国においては、当初から軍事目的で研究されてきた。

こうした文化の違いもあり、レイバーが実用レベルに達するや、アメリカやソビエト連邦、NATO加盟国は、次々と軍用レイバーの採用に踏み切ってゆく。

このような流れの中、我が国においても防衛用レイバーを導入すべきといった議論が、防衛庁内部で活発に交わされるようになるのは、ある意味必然であったろう。

政府や防衛庁による防衛用レイバー導入検討の動きに対し、左派系市民団体は当然のごとく強烈に反発してみせた。こうした声を受け、野党も防衛予算の際限ない増加に繋がとして反対意見を表明。自衛隊におけるレイバー採用の動きは、当初から波乱含みであった。

そうした中、防衛庁はレイバー導入に向けて、政府民自党に徹底した根回しを行ったという。災害派遣においても有用であるとして、軍事土木作業用に民生用レイバーを導入しようとしたのである。

かくして自衛隊初のレイバーとなったのは、従来から戦闘用車輛や航空機の開発で実績のあった菱井インダストリー製のHL-90〈タイラント2000〉であった。

一度、既成事実さえ作ってしまえば、あとは、その範囲をじわじわと拡大していくだけのことだ。戦後日本政治の常道とも言える手段を使い、やがて防衛庁は戦闘用レイバーの導入を提言。政府民自党は、我が国の軍備増強に敏感な近隣諸国の「懸念」を半ば無視する形で、戦闘用レイバーの運用を可能とする特別法を成立させてゆく。

そうして開発・配備されたのが、菱井インダストリー製のAL-97「アトラス」であり、その欠点を補う形で登場したAL-97B「サムソン」であった。

先に陸上自衛隊に配備されたAL-97系の特徴は、二足歩行による不整地走破性を活かして、日本に多い山岳部に分け入り、防衛ラインを形成するという「待ち伏せ型」の運用を前提としている点にある。

だが、戦闘重量にして8tを超え、また機動力という面で難のあるこれらのレイバーは、緊急展開には不向きという欠点も存在していた。

そこで防衛庁は、C-4輸送機による空輸を可能とし、かつパラシュート降下も可能な「空挺レイバー」の導入を目指すことになる。

そんな中、候補として上がったのが、篠原重工が開発していたAVシリーズであった。1997年10月、篠原重工による警視庁向け試作機MPL-X98AVのプレゼンテーションを受けた防衛庁関係者は、その基本フレームを流用した防衛庁向けレイバーの採用を決定した。

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1998年2月に採用内定を通達すると同時に、防衛庁と篠原重工は最終仕様の確定に向けて協議を加速させることとなった。

AL-X98AV/AL-X99は、こうした流れの中で生み出された試作機である。補助動力を追加実装したことで大型化しているため、後の制式採用モデルに対して、ふたまわりほど大きくなっているのが特徴的だ。また、運動性能などの試験を目的としていたため装甲化されておらず、当初は車体正面が全面クリア・キャノピー式となっていた点もユニークである。

試作型であるため、仕様の異なる複数の車体が存在することが広報紙や専門情報誌などによって知られている。ただし、それらは正式なスペックが公表されているわけではないので、上の図は写真や公開されている情報からの再現である。

99式試作でも当然、関節部を覆う防弾布のテストは行われており、実際に制式レイバーのARL-99B「ヘルダイバー」が採用されている。

また評価試験の半ば以降、コクピット前面を外装で覆うタイプも現れ、コクピットコンソールやヘッドマウントディスプレイなどと併せて最終仕様の策定に向けた各種試験を精力的に行った。外装の塗装はこのほかにも迷彩タイプなど複数が確認されている。

AL-X99による各種試験を通じて問題点を洗い出した後、篠原重工は「空挺レイバー」の最終仕様を確定した。C-4輸送機による空輸を念頭に、車体は小型化されており、全高は8mを切る規模に落ち着いているほか、パラシュート降下に備えて脚部ユニットに展開式のダイブ・ブレーキや強化型のショックアブソーバーを追加。

また、軽量化を目的として装甲材質に特殊強化されたFRPを採用。車体全面にも装甲が施されているほか、AV-98「イングラム」と同様の密閉式/開放式のハイブリットなコクピットを採用している。

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主兵装は40mm速射砲であり、火力の面では陸戦用の「アトラス」や「サムソン」に劣るが、機動性では既存の車種を圧倒。コンバットナイフを用いた格闘戦能力は、諸外国の軍用レイバーと比べても高い水準でまとまっている。

尚、4速射砲は前腕部に外付けする方式を採っているが、手持ち式の自動小銃型火器の開発も進められており、5指を有するマニピュレーターによる汎用性の高さは、まさにAVシリーズらしい長所と言えそうだ。

こうした火器に加え、頭部ユニットに追加するノクトビジョンや、上半身を覆うステルスシート、耐弾性を高めるためのリアクティブアーマー・ジャケットなど、オプション装備も充実している。

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なお、1999年4月より供給を開始した「ヘルダイバー」は、初年度に10輛が調達されており、そのすべてが千葉県習志野の陸上自衛隊機械化空挺師団に配備されている。

ヘルダイバー用に開発された機関拳銃タイプの携行火器。外観は実在の短機関銃に似ており、拳銃弾(レイバーのそれを拳銃弾と呼べるのかという疑問はあるが)が使用できる点も同様である。固定力の高いレイバーのマニピュレーターに保持されるためストックは装備していない。

迷彩はそれを纏う者(物)が敵などから発見される確率を減らし、作戦行動を円滑に実施できるようにする。周囲の環境に溶け込むために、自衛隊では塗色の色彩そのものだけでなく、塗膜の反射率などまで考慮されて多数の「標準色」が定められており、陸上自衛隊が採用したレイバーもこれに則って彩色されている。

部隊や作戦内容、実施時期などによって変わることもあり、ここでは確認された中でもよく知られているものを挙げる。

レイバーは人型をしているため、人間の一般隊員が用いる服装をそのまま拡大した図柄(パターン)を用いれば良さそうに思えるが、複数の標準色の組み合わせによる迷彩パターンは、観察者からの距離、周辺環境とのバランスによって適切に施される必要がある。

レイバーの場合、車体サイズ的には戦車など車輛に近く、塗装もこれに準じたものとなっている。レイバーの場合は上空からだけでなく前面に対しても同様の被発見率が考慮される。

空挺レイバーは夜間における作戦行動も想定されるため、夜間戦闘装備が用意されている。詳細は不明であるが、通常の濃緑色(3414)を施した車輛をベースとし、赤外線反射を抑えるポンチョ風外套、赤外線暗視ゴーグル(ノクト・ビジョン)を装備する。

赤外線暗視装備そのものは98式AV系列の篠原重工製レイバーの多くで頭部カメラに標準機能として搭載されているため、この暗視ゴーグルは電子増倍管を用いたパッシブ方式(可視光、遠赤外線)と推測されている。暗視ゴーグルに使用される最新技術は恐らくアメリカからもたらされたものであろう。

雪上仕様(冬季迷彩)の迷彩色。1型は標準(濃緑色3414)塗色の部分を白色、関節カバーをベージュ(2305)とした以外は標準仕様と同様である。

完全に雪で覆われた地上では言うまでもなく1型が最も効力を発揮するが、実際の現場では露出した地表色と混ざるケースが多く、作戦に応じて外装を2型へ換装して対応する。

ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。

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