第1回 1980年代のパソコン雑誌の栄枯盛衰
~1980年代のパソコン・ゲーム雑誌~

ご訪問ありがとうございます。

今回は
第1回 1980年代のパソコン雑誌の栄枯盛衰
~1980年代のパソコン雑誌~ をご紹介します。

1980年代の『パソコン』や『ゲーム』情報を入手する最も最善の道は
『パソコン雑誌』であった。

『インターネット』も登場していない頃、
『雑誌・書籍』こそが情報収集の王様であった時代。
そんな、1980年代のパソコン雑誌の栄枯盛衰をご紹介します。

ちなみに、1970年代末から1980年代はじめ頃までは、
『パソコン』とは言われず、『マイコン』と呼ばれていたんだ。

今では、廃れてしまった言葉ですね。
1970年代末の『パソコン雑誌』の誕生

パソコン情報誌の始りは、
1976年に『コンピュータ・ホビー専門誌』の大御所がその産声をあげた。
その後スクスクと成長し、今でも出版されているいるという超老舗『I/O』(工学社)が創刊されたのだ。

この頃の『I/O』の掲載内容は、
フログラムに関する記事とフログラムリスト、そして秋葉原の電子機器の広告などだったの。

うーん、この頃は、マニア以外が読んでも、何が書いてあるかよくわからない雑誌だったような。

翌年の1977年、『アスキー出版』が設立され、
『マイクロコンピュータ総合誌』と銘打った
『ASCII』(アスキー)が創刊されるんだ。
7000部からスタートした『ASSCII』(アスキー)だったけど、
わずか数年の後には南青山の一等地にフロアーを構えるまでに、急成長することになるんだ。

同1977年には、『電波新聞社』から『月刊マイコン』
翌年1978年には『廣済堂』から『RAM』が創刊され、初期の『4大総合誌』が出揃ることになるんだよ。

『ASCII』(アスキー)などが創刊された1977年当時、
日本には、国産初の『マイコン』である
『ベーシックマスター』(日立)や『TK-80』(シャープ)といった手作りの簡易なボードコンピュータしかなかったからな。

一方のアメリカでは『AppleII』や『PET2001』がヒット商品になりつつあったの。
かなり高価だったけど、『フロッピーディスク版』(FD)のソフトがつぎつぎ誕生して、パソコンゲームの先導役を果たすことになるのよ。

日本では翌年1979年に、NECから『PC8001』が発売されるんだ。
『カラーグラフィック』を使った『キーボード付きの本格的パソコンの登場なのだ。
『PC8001』登場こそ、日本の『パーソナルコンピュータ』の開花の訪れを告げるものであった。
1980年代はじめのパソコン雑誌・成長期

1980年代に入ると、大手電気メーカー(SONY、東芝、日立など)がパソコンの発売を開始するなど、パソコン業界は一気に活性化してゆくの。

翌年の1981年には
シャープの『MZ-80/B』
NECから『PC6001』『PC8801』
そして、富士通から『FM8』と
パソコン『三強メーカー』の機種が出そろい、活況を呈してきたのであった。

中でも『PC8801』は、
モデルチェンジを繰り返しながらも超ヒット機になり、パソコン普及の先導役を果たすことに成るのだ。

そして、パソコンの発売ラッシュに合わせるように
『パソコン専門誌』も創刊ラッシュを迎えるんだ。

1981年10月に『学研』から創刊された『マイコンライフ』をはじめ、
1982年には、
『テクノポリス』(徳間書店)
『マイコンBASICマガジン』(電波新聞社)
『LOGIN』(アスキー)
そして、『日本ソフトバンク』からは、『Oh!』シリーズの
『Oh!PC』『Oh!MZ』『Oh!FM』が登場するんだ。

翌年の1983年は、
『POPCOM』(小学館)
『コンプティーク』(角川書店)
『日経パソコン』(日経BP)
『MSXマガジン』(アスキー)
『Beep』(日本ソフトバンク)が創刊されるんだ。

まさに、パソコン雑誌の創刊ラッシュですね。

ちなみに、当時『三大ゲーム雑誌』と言われたのは
『コンプティーク』(角川書店・1983年)
『ログイン』(アスキー・1982年)
『ポプコム』(小学館・1983年)だね。

1980年代はじめの雑誌の多くは、どれも文部省推薦のお墨付きがもらえそうな、
ニューメディア(CGやハイテク産業など)に関する記事が、巻頭から誌面の半分近くまでを占めていた。
パラパラとめくるだけては、どこかの科学雑誌と間違えそうであった。
だが、創刊ラッシュの頃になると各誌独自の記事を掲載しはじめるんだ。

この頃から、『マイコン』という通称は『パソコン』に変わり、ホビー面での環境も整ってくる。
そして、紙上の『ソフトリスト』を手入力するのではなく、
『パッケージソフト』が主流になってくるんだ。

そして、雑誌の中身もゲームの娯楽性を前面に出したものに大きく変わり、発行部数もアップしていった。
『新作レビュー』や『人気ソフト』の『攻略方法』や『ソフトハウス』の取材記事など、
現在のコンピュータ・ゲーム雑志の基本的なスタイルはこのころに確立されたといっていい。
『家庭用ゲーム機・ファミコン』の登場

1983年に『家庭用ゲーム機・ファミコン』が登場し、
1985年から1986年頃には『ファミコン・ブーム』が到来するんだ。
そして『ファミコン・ゲーム』が隆盛を極め、
これが起爆剤となって『ファミコン雑誌』が次々と創刊されることになるんだ。

この頃、低価格な『ホビーパソコン』として『MSX』も発売され
『MSXマガジン』(アスキー・1983年)と『MSXFAN』(徳間書店・1987年)が、しのぎを削ることになる。

ここで、1970年代、1980年代に創刊された、
パソコン雑誌の一覧をご紹介させて頂きます。
創刊 | 休刊 | 雑誌名 | 出版社 |
1977年 | 継続中 | I/O | 工学社 |
1978年 | 2006年 | ASCII | アスキー |
1981年 | 1985年 | マイコンライフ | 学研 |
1984年 | RAM | 廣済堂出版 | |
1982年 | 2003年 | マイコンBASICマガジン | 電波新聞社 |
2008年 | LOGIN | アスキー | |
1994年 | テクノポリス | 徳間書店 | |
1984年 | マイコンループ | CSK | |
2000年 | Oh!PC | 日本ソフトバンク | |
1995年 | Oh!MZ | 日本ソフトバンク | |
1983年 | 1994年 | POPCOM | 小学館 |
1985年 | マイコンボーイ | 旺文社 | |
継続中 | コンプティーク | 角川書店 | |
1984年 | マイコンゲームス | 旺文社 | |
継続中 | 日経パソコン | 日経BP | |
1992年 | MSXマガジン | アスキー | |
1984年 | 1985年 | 遊撃手 | ラポート |
1987年 | enter | 東京書籍 | |
2012年 | Beep | 日本ソフトバンク | |
1987年 | 1995年 | MSXFAN | 徳間書店 |
1988年 | MSX応援団 | 大陸書房 | |
1987年 | わ~ぷ | 笠倉出版 |
パソコン雑誌の栄枯盛衰
1980年代に消えていった、パソコン雑誌たち

あらためて、パソコン雑誌の一覧を見ると
短期間で、廃刊になった雑誌も沢山あったんですね。

特に、1990年代から2000年代に休刊や廃刊になってしまった、
雑誌が沢山ありますね。

1980年代に、消えていったのが、
『パソコン4大総合誌』の一角を担っていた
『RAM』(廣済堂出版)が、1984年に約3年で休刊してしまう。
『学研』の『マイコンライフ』も約4年刊行と検討したが、
1985年に休刊している。
1990年代に消えていった、パソコン雑誌たち

1990年代になると、
『MSX』を推進してきた『アスキー』の『MSXマガジン』が休刊(1992年)、
ライバルの『MSXFAN』(徳間書店)は、1995年まで生き残ったのが驚きだな。

この頃から、老舗の雑誌も休刊、廃刊になり始めるんだ。
12年間、活躍した『テクノポリス』(徳間書店)が1994年に
『POPCOM』(小学館)も1994年に休刊しているんだ。

そして、時代は『国産PC』から『Windows』へ変化した時代。
流石に、『シャープ系・パソコン』の情報誌だった
『Oh!MZ(X)』(日本ソフトバンク)も惜しまれながら1995年に休刊している。

兄貴分の『Oh!PC』は、2000年まで持ちこたえたよ。
2000年代に消えていった、パソコン雑誌たち

2000年代になると、いよいよ『インターネット時代』の到来。
紙による『パソコン情報誌』は、試練の時代を迎えることになる。
老舗の雑誌の休刊が相次ぐことになるのだ。

2003年に『マイコンBASICマガジン』(電波新聞社)が休刊すると
あの人気雑誌だった『ASCII』(アスキー)も休刊(2006年)することに
そして『LOGIN』(アスキー)も2008年に
あの『Beep』(日本ソフトバンク)も2012年に休刊してしまうのだ。

長年愛読されていた、『パソコン情報誌』がなくなってしまうのは、残念ですね。

主な『パソコン雑誌』を『休刊・廃刊』ごとに一覧にしてみましたよ。
休刊 | 創刊 | 雑誌名 | 出版社 | 継続年数 |
1984年 | 1981年 | RAM | 廣済堂出版 | 3年 |
1982年 | マイコンループ | CSK | 2年 | |
1983年 | マイコンゲームス | 旺文社 | 1年 | |
1985年 | 1981年 | マイコンライフ | 学研 | 4年 |
1983年 | マイコンボーイ | 旺文社 | 2年 | |
1984年 | 遊撃手 | ラポート | 1年 | |
1987年 | 1984年 | enter | 東京書籍 | 3年 |
1987年 | わ~ぷ | 笠倉出版 | 1年 | |
1988年 | 1987年 | MSX応援団 | 大陸書房 | 1年 |
1992年 | 1983年 | MSXマガジン | アスキー | 9年 |
1994年 | 1982年 | テクノポリス | 徳間書店 | 12年 |
1983年 | POPCOM | 小学館 | 11年 | |
1995年 | 1982年 | Oh!MZ | 日本ソフトバンク | 13年 |
1987年 | MSXFAN | 徳間書店 | 8年 | |
2000年 | 1982年 | Oh!PC | 日本ソフトバンク | 18年 |
2003年 | 1982年 | マイコンBASICマガジン | 電波新聞社 | 21年 |
2006年 | 1978年 | ASCII | アスキー | 28年 |
2008年 | 1982年 | LOGIN | アスキー | 26年 |
2012年 | 1984年 | Beep | 日本ソフトバンク | 28年 |
継続中 | 1977年 | I/O | 工学社 | |
1983年 | コンプティーク | 角川書店 | ||
1983年 | 日経パソコン | 日経BP |
2020年も生き残っているパソコン雑誌たち

1990年代、2000年代に次々と『パソコン情報誌』が休刊・廃刊に追い込まれる中
2020年になっても発行し続けている
『パソコン雑誌』も存在するのだー。

1970年代に創刊された、
『I/O』(工学社)、『Interface』(CQ出版)は未だに健在。
1980年代に生まれた『日経パソコン』(日経BP)も継続中である。

やっぱり『ビジネス系』は強いですね。

組み立てPC好きなら一度は購入経験のある
『DOS/V POWER REPORT』(インプレス)や
熱狂的なファンを持つ『Apple』の専門誌『Mac Fan』(マイナビ出版)など、今でも頑張っている『パソコン雑誌』はあるのだ。

こちらが、2020年に継続中のパソコン雑誌一覧です。
雑誌名 | 出版社 | 創刊 | 休刊 |
I/O | 工学社 | 1977年 | 継続中 |
Interface | CQ出版 | 1975年 | 継続中 |
日経パソコン | 日経BP | 1983年 | 継続中 |
Software Design | 技術評論社 | 1990年 | 継続中 |
DOS/V POWER REPORT | インプレス | 1991年 | 継続中 |
Mac Fan | マイナビ出版 | 1993年 | 継続中 |
日経PC21 | 日経BP | 1996年 | 継続中 |
日経ソフトウエア | 日経BP | 1998年 | 継続中 |
日経Linux | 日経BP | 1999年 | 継続中 |
Mr.PC | 晋遊舎 | 2009年 | 継続中 |

今回はここまで
次回は、
これも懐かしい『ファミコン雑誌』の栄枯盛衰
を紹介します。


ご閲覧ありがとうございました。
トゥットゥルー♪
1980年代のパソコン・ファミコン雑誌

