【イングラム性能/メカニズム】『機動警察パトレイバー：98式AVイングラム性能/メカニズム』概要のご紹介

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今回は、『機動警察パトレイバー：98式AVイングラム性能/メカニズム』概要についてご紹介します。

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ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。

通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。

歩行肢式の軽・重作業用建設機械として発展してきたレイバーだが、警察専用として開発・完成された新型レイバーは、篠原重工が市場におけアドバンテージを不動のものにしようという意図もあってか、従来のものとは一線を画す車輛として誕生した。

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純然たる警察用レイバーとして作られたAV-98は、当時における最先端かつ将来性のある技術を前倒しする形で導入、完成されている。

限定的な生産を前提とした次世代型レイバーのコンセプトモデルともいえる仕様で、それは結果的に軍事用レイバーとも異なる特殊な車輌となった。

今回は、従来型の民間普及レイバーの開発にも触れながらAV-98「イングラム」の性能/メカニズムについて解説してみたい。

AV-98も含め普及型レイバーの多くは、プロポーションの違いこそあれ二脚直立歩行式で、いわゆる人型有人歩行機械としてのデザインが踏襲されてきた。

一般普及モデルは主に重作業用機械として発展したため無骨な外観を呈しているが、これを洗練し動作も含めてより人間に近づけることが次世代型レイバーの目指す要件のひとつであった。

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しかし、より人間に近づいたスマートな外観を有する車輛に最適な用途、その機能を最大限に活かしきる需要はどこにあるのか、メーカーの持つポテンシャルと技術力を広く喧伝するデモンストレーターとしての役割は十二分に果たしうるとしても、コマーシャル・モデルとして販売する際の「売り」をどこに求めるのか。

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新たなマーケットの開拓が必要ではないかという懸念がなかったわけではないだろう。

そのタイミングで持ち上がったのが警察用レイバーの機材更新であった。警察は対レイバー犯罪用としてレイバーの試験導入に踏み切った。しかし初代警察用レイバーは篠原重工製の民間レイバー「アスカ」をカスタムチューンした車輛である。このため犯罪に用いられる車輛に対する優位性は決して高いとはいえず、充分な警察業務の遂行は難しかった。その後継機として採用されたのがマナベ重工製の「パイソン」であった。

剛直そうな外観と頑丈な車体構造は対レイバー犯罪任務向きで、警察レイバーとして「見栄」の利く威圧感があり、デザインを含め警察向けに設計が行われたことを物語っている。

それまでは機能の必然から外観が決まるような傾向のあった車体デザインに、完全装備の機動隊員を思わせる「警察らしさ」という視覚的印象を意図した意匠を導入したことはマナベ重工製<パイソン〉の評価されるべき点のひとつであろう。

またレイバーとしては早い時期に五指型のマニピュレーターを導入するなどの新機軸を打ち出す一方で、駆動系の基本構造は既存技術の集大成とでもいうべき堅実なもので、メンテナンスも簡便なように注意が払われていた。

しかし、それゆえに運動性能は必ずしも満足のいくものではなく、搭載コンピューターのOS(制御操作プログラム)を更新しても駆動系がそれに対応しきれないところにこの車種の設計限界があった。

新機軸であったマニピュレーターにしても義手やロボットアームに広く用いられてきたワイヤー・コントロール(いわゆるテンドン方式)をベースにしていたため、タッチは繊細だが重量物保持の把握力は不足していたといわれる。

その後の警察機材更新に際し、篠原重工は実用に供しうる性能のデモンストレーターを用意した。そのモデルがAV-98である。

警察用レイバー納入業者の座を取り戻すというだけではなく、競合他社に対し圧倒的な技術力の差を見せつけるために格好の機会でもあり、また次世代レイバーの叩き台となるモデルともなるため、その力の入れようは相当なものであったといわれる。

更に言うなら、当時、警察用レイバーを配備運用していたのは警視庁警備部の特車二課のみであったが、遠からぬ将来、組織の拡充や機動隊での運用、さらには各県警に対レイバー犯罪部署が創設さ警察用レイバー導入配備の可能性があるものと期待していたことは間違いなく、そのためにも重要な車種と位置付けられていたようである。

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プロポーションは可能な限り「贅肉」を削ぎ落としたようなスリムさで、より人間のシルエットに近づいていた。これは内部構造、特に駆動系における技術的革新を示すものとして同業者の注目を集めた。

重作業用レイバーに比べれば非力な印象を与えるが、実質的な出力差はさほどない。車体重量が軽くなっているため正面から組み合うと押し負けるという物理的な弱点はあるものの、フットワークが軽く小回りが利く運動能力を有するため操縦者の技量如何で圧倒的な優位性を確立することが可能であった。

人に近い外観は、警察用レイバーに導入された拳銃型「カノン砲」の視覚的効果をより高めることになった。た。犯罪に対する抑止力として携行する専用火器あえて警察用拳銃に似せたデザインにしたことと相俟って、日本においては特に「銃を構えた警察官」への連想に直結させることで強硬手段に訴える前に事態を収拾しうると期待されていたのである。

AV-98の革新は、搭載される駆動用モーターの大部分を超伝導モーターとし、搭載バッテリーも超伝導化されていたことにある。

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これによりエネルギーロスは極めて小さくなり、その結果、稼働可能時間が車体サイズ(容量)に比べて圧倒的に長くなった。運用状況にもよるが、先代の警察用レイバーである「97式パイソン」に比べても、無充電でざっと3倍近い稼働時間を得ることができるようになっている。

そして特筆すべきは、AV-98の持ち味である軽快で俊敏な運動性能を実現するために必要な、全ての駆動用モーターを協調させ、制御しうるプログラムの開発に成功したことである。

これはレイバー開発に際して重要なポイントのひとつであり(他社においても同様のことである)、軍用プログラムが民生用に流用されることは保安上まずありえないため、車種ごとに積み重ねられた制御プログラム、とりわけブレイク・スルーとなるOSは次のモデルにも直結する民間レイバー開発の要点でもあった。

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AV-98の運用開始からたいした間をあけず次世代モデルがロールアウトすることになるが、それというのもAV-98があってこそといえる。後継機が実用試験を兼ね納入配備されてもなおこの車輛に対する現場からの支持が高かったのは、操縦者の個人的な習熟度や好みというよりも、車輛の持つ潜在的なポテンシャルの高さを物語る一面であろう。

98式AVのメンテナンス性はお世辞にも良好とは言い難かったようで、特に初期には整備員の慣熟に時間を要した。内部の器機にアクセスするにも、隙間から手を突っ込んでようやくであったり、外装や手前の器機すべてを外してからでないと内部のパーツが見えなかったりなど、設計の面でも改善の余地が多分にあったようだ。

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重い機器のネジをうかつに外して手を挟まれてしまう事故があり、器機を針金でフレームに吊るようにしたなど、整備マニュアルに独自のメモが追記されることもしばしばだった。

第一小隊との交代制でそれぞれがバックアップし合っていたとはいえ、当直時は24時間体制で待機しなければならない98式AVに対し、整備の手間や時間をマンパワーでなんとかやりくりしていたというのが、当時の実情であった。

ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。

通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。

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