【特車二課/パトレイバー隊の誕生】『機動警察パトレイバー：パトレイバー隊の誕生』特車二課の設立経緯のご紹介

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今回は、『機動警察パトレイバー：パトレイバー隊の誕生』特車二課の設立経緯についてご紹介します。

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ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。

通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。

『機動警察パトレイバー：パトレイバー隊の誕生』特車二課の設立経緯についてご紹介します。

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警察組織におけるレイバー運用の先駆けとなった警視庁警備部特科車両二課、通称「特車二課」は、いかにして誕生したのか。その原点を辿ると、1990年代初頭に防衛庁が設立したひとつの組織にたどり着く。

防衛技術研究本部第七研究所に発足し「多目的歩行機械開発運用研究準備会」である。会の中心人物である柘植行人にちなみ「柘植学校」と呼ばれるようになったこの組織は、当時、建築土木分野で急速に普及しつつあったレイバーの軍事的潜在能力に着目。

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数々のシミュレーションモデルによってレイバーの実用性を証明しつつ、菱井インダストリーや篠原重工といった民間企業と防衛庁との間に太いパイプを構築するなど、後の陸上自衛隊におけるレイバー部隊の設立に、多大な貢献を果たしたと言われている。

こうした動きに対して警視庁上層部は警戒感を強めた。陸自の動きを放置すれば、レイバー開発が防衛庁主導で進められていきかねないと危惧したのである。

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折しもバビロン・プロジェクトの進展に伴いレイバーの稼働数が飛躍的に増加し、これに比例する形でレイバー犯罪もまた右肩上がりの上昇曲線を描き始めており、国家公安委員会においても警察用レイバーの必要性を説く声が強まりはじめていた頃合いでもあった。

そこで警視庁は、警備部にて「才媛」との評価が高かった南雲しのぶを「柘植学校」へと派遣するという手に打って出る。陸自側の理論やノウハウを吸収することで、警視庁でも早期にレイバー運用を開始し、先鞭をつけてしまおうという訳だ。

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つまるところパトロール・レイバー誕生の発端は、社会問題化しつつあるレイバー犯罪への対処という現実的な必要性に加えて、警視庁が防衛庁に対して潜在的に抱いてきた疑念と対抗意識が根底に存在していたことになる。

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その発想の出どころがどうあれ、1995年、警視庁上層部は本庁警備部内の特科車両隊を母体として「パトロール・レイバー中隊」を編成する方針が決定。翌1996年、正式に特科車両二課として発足することになる。

しかし「特車二課」の通称で知られることになる、この部隊の船出は順風満帆とは言い難かった。まず装備面でトラブルが続出した。導入予定であった篠原重工製SSL95〈アスカ95〉にリコールが生じ、納入が遅れたことは先にも述べた通りだが、これに加え人材確保も大きな問題となった。

24時間の警戒体制を実現するため、特車二課では二個小隊による二直制を導入する計画であったのだが、これに要する人員を揃えることができなかったのだ。

実働部隊として、レイバーや大型キャリアの操縦が可能な有資格者が必要であるのはもちろん、自前で整備や修理を行うためには、最新のレイバー技術に通じた大量の整備士も求められる。

それでも高待遇であれば、人員も集まっただろう。しかし、実際には1週間ごとに日中待機の早番と、夜間待機の遅番とを交代しつつ、待機状態にあっても有事の際には緊急招集に応じなければならない過酷な勤務環境に加え、給与も決して高いとは言えなかった。

世は空前の建築ラッシュに突入し、好景気に湧いている。レイバーの操縦資格や整備技術を持っている者ならば、より良い職場は都内にいくらでも転がっていたのだ。人材確保が思うように進まなかったことも必然と言えよう。

また、隊員たちを率いる幹部人事も難航した。「柘植学校」帰りの南雲警部補を第一小隊の小隊長に据えたまでは良かったものの、責任が重い割に将来性が未知数な特車二課への配属を志願する者は少なくと出世コースに乗っていたキャリア組には皆無であったのだ。

最終的に、第二小隊の小隊長には公安出身の後藤喜一警部補が着任しているが、関係者の証言によれば、遡ること3年前に関与したある事件の結果として、本流から外れていた彼を蹴り出すための一種の左遷人事であったらしい。

特車二課の本部が、東京湾岸にある建物もまばらな埋立地に据えられたことも相俟って、本庁内では「島流し」との言葉も囁かれたという。こうした状況の中、特車二課は1996年1月の部隊発足から約1年に亘る間、レイバーもなく、人員も揃いきらぬ状態で、ひたすらにリース車輛の教習用レイバーを使用しての訓練を強いられたのだった。

オート・バランサーを改良したMPL96「アスカMPL」が納車され、特車二課が遅まきながら正式な活動を開始したのは、1996年12月のことである。

ただし、この時点でも未だ機材、人材の確保が充分ではなかったため、稼働を始めたのは第一小隊のみであり、当面の間は日中待機に限定されることとなった。

第二小隊の活動開始は1997年も後半に入ってからである。同年8月、特車二課にマナベ重工製のMPL-97S「パイソン」が導入されたことを機に、これまで第一小隊で使われてきたMPL96を転用する形で、第二小隊を立ち上げたのである。

しかし、未だ人員不足は解消できておらず、稼働可能なレイバーは1輛のみという分隊規模での運用開始となった。結局のところ、計画されていた二個小隊による二直制が実現したのは、1998年10月のAV-98「イングラム」導入を経て、2週間に亘る基礎訓練を終えた後のことであった。

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しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
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