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『機動警察パトレイバー』アルフォンスvsグリフォン〜黒いレイバー事件〜のご紹介
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ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。
通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。
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『機動警察パトレイバー』アルフォンスvsグリフォン〜黒いレイバー事件〜のご紹介
アルフォンスvsグリフォン〜黒いレイバー事件〜の概要
主犯は、リチャード・王課長(シャフト・エンタープライズ企画七課)
事件の主犯は、内海、あるいはリチャード・王と名乗る人物と目されている。彼はシャフト・エンタープライズ・ジャパン(以下、シャフト)の企画七課を率いる課長としての立場を利用し、同社土浦研究所のリソースを私的に流用することでTYPE-J9「グリフォン」なるレイバーを独自に開発。
AV-98奪取未遂事件
その過程で、環境系テロリスト・グループに自社製レイバーを供与、当時最新鋭機種であった特車二課第二小隊のAV-98と対戦”させることで実戦データを収集しつつ、あわよくば研究用としてAV-98の実車を奪取しようと試みた。
1998年12月「東京テレポート占拠事件」
その最初の一手として引き起こされたのが1998年12月24日に発生した「東京テレポート占拠事件」である。
同日23時頃、シャフト・エンタープライズ・ヨーロッパ製の軍用レイバーTYPE-7「ブロッケン」4輛と電磁兵器を搭載した不明レイバーが13号埋立地に上陸。
現場周辺に広範な通信障害電波無線へのジャミングに加えて、電話回線も寸断された―が発生すると共に東京湾トンネルに浸水があり、一時的に東京テレポートが孤立状態に陥った。
特車二課、レイバー5輛との格闘戦
テロの疑いを強めた城東署は、特車二課に対して緊急出動を要請。第一小隊が先発、後に第二小隊も追随したが、ここで彼らは犯行グループのレイバー5輛と格闘戦を演じることになる。
撃退するも、第一小隊MPL-97・2輛大破、第二小隊も1号機が小破、2号機が中破
その結末はというと惨憺たる有様であった。特車二課はTYPE-7・2輛を行動不能に追い込むことに成功するも、第一小隊のMPL-97・2輛が大破、第二小隊のAV-98も1号機が小破、2号機が中破する事態に陥ったのだ。
一応は犯行グループの撃退に成功したものの、不明レイバーに自爆を装わせるなど偽装工作を重ねた上での鮮やかな撤退劇であったと見る方が正しく、ひとりとして実行犯検挙に至らなかった点は痛恨事であったと言えよう。
1999年3月陸自レイバー部隊、所属不明のレイバーに襲撃される
更に翌1999年3月2日には、伊豆大島にて民間警備会社「ホリ・セキュリティ・サービス(以下、HSS)」と合同訓練中の陸自レイバー部隊が、同じく所属不明のレイバーに襲撃されるという事件が発生。
▼陸自、レイバー5輛の被害
当初は機密保持を理由に陸上自衛隊は、事件の詳細を明らかにしなかった。そのため翌日の各紙1面には「自衛隊、警備会社との合同訓練中に事故か!?!」との見出しが踊った。当時の報道によれば、陸自のAL-97B「サムソン」2輛、HSSのTYPE-6Q「キュマイラ」、SR-70「サターン」各1輛が被害を受けたとある。
第二小隊、陸自ARL-99・3輛を派遣し、沿岸警備へ
ここでも東京テレポートの一件で目撃されたものと同型の電磁兵器搭載型レイバーが確認されたため、翌日には特車二課第二小隊が沿岸警備のために出動。陸自側も虎の子のARL-99「ヘルダイバー」3輛を派遣して、さらなる襲撃に備えた。
電子戦装備した3号機の増援もあり、不明レイバーを戦闘不能に
最終的に特車二課は、急遽、篠原重工八王子工場にて予備機である3号機に電子戦装備を装着する改修を加えた上で増援として送ることで不明レイバーに対抗、これを退けることに成功する。
だが、不明レイバーは戦闘続行が不可能と見るや自爆し、証拠隠滅を図ったのだった。
▼活躍した3号機について
関係者の証言によれば、当時、3号機は1号機、2号機用のパーツ取りの対象となり非稼働状態であったらしい。これを特車二課整備班がAV-0の予備機から転用可能なパーツを流用することで、半ば無理やりに起動させたのだという。
1999年6月、東京国際レイバーショウに不明レイバーが襲撃
かくして襲撃は終わったかに思えたが、これは序章に過ぎなかった。1999年6月、中央区晴海にて3日間に亘り開催されていた第3回東京国際レイバーショウ、その最終日において、またも不明レイバーによる襲撃が繰り返されたのだ。
TYPE-J9「グリフォン」の登場
ただしこの時、現れたのは東京テレポートや伊豆大島に姿を見せた鈍重な重量級レイバーではなく、黒い外装に身を包んだまったく異なるタイプのレイバーであった。後に判明することであるが、これこそが内海以下、企画七課にとっての本命、TYPE-J9「グリフォン」であったのだ。
「グリフォン」、AVS-98「エコノミー」と「イングラム2号機」を破壊
突如として乱入したTYPE-J9は、デモンストレーション中(警察関係者が試乗中であったとの報道もある)だった篠原重工製の新型レイバー、AVS-98「エコノミー」と、会場警備にあたっていた第二小隊のAV-98「イングラム2号機」を続けざまに破壊。
遅れ同1号機が起動した時点を以て、航空機を思わせる翼を展開すると爆音と共に飛翔し、現場から姿を消すことになる。レイバーによる単独飛行という前代未聞の光景に、現場にいたすべての者が息を呑んだ。
AVS-98エコノミーのご紹介
襲撃犯を取り逃がしたまま、事件は長期化へ
なお、晴海を脱したTYPE-J9は、そのまま東京湾上空を横断する形で千葉県方面に逃走、南房総横断道路工事現場附近の山中に墜落したが、これは偽装に過ぎず、またも警察は襲撃犯を取り逃がしたまま、事件は長期化してゆくのだった。
「バビロンの城門」にTYPE-J9出現
晴海に続いてTYPE-J9が現れたのは、木更津第1人工島と川崎第二人工島のほぼ中間地点、「バビロンの城門」と呼ばれる巨大水門の建築現場であった。
第二小隊を現場に急派
東京湾干拓を最終目的とするバビロン・プロジェクトの正に中枢とも呼べる工区である。不明レイバーによる再襲撃の可能性は高いとみて警戒を強めていた特車二課は、第一報にすぐさま反応。第二小隊を現場に急派する。
シャフト、「シャフト・セキュリティ・サービス(以下、SSS)」部隊を派遣
だが、内海の暴走を止めようとしたシャフト上層部が、グループの警備会社「シャフト・セキュリティ・サービス(以下、SSS)」の部隊を差し向けたことで現場は混乱する。
「グリフォン」東京湾に没する
第二小隊のAV-98・1号機は、圧倒的な高性能ぶりを誇るTYPE-J9に対し苦戦を強いられながらも、どうにか持ちこたえていたが、SSSの警備レイバーが介入を試み爆発物を暴発させたことで状況が一変。ダメージを負ったTYPE-J9は、再び飛行による離脱を試みるも失敗し、東京湾に没したのである。
主犯の内海、海外へ逃亡
しかし、バビロンの城門でもまた内海以下、企画七課や土浦研究所のメンバーを誰ひとりとして逮捕されることはなかった。この時点で、さすがに警視庁としてもシャフトの動向が怪しいと見て内偵調査に着手していたものの、決定的な証拠を欠いた状態で踏み込むことはできず、結局のところはマークしていた内海の海外逃亡を許してしまう。
企画七課としても、TYPE-J9の実機を喪失した上に課長不在の状況では、ほとぼりが冷めるのを待たざるを得ず、しばらくの間、本件は膠着状態に陥っている。
1999年の夏、特車二課「HOS暴走事件」の対応に追われる
1999年10月、第一小隊、MPL-97に変わりAV-0「ピースメーカー」を導入
この間、燻っていた第一小隊のMPL-97旧式化問題に関しても一進一退を繰り返しながらではあったが前進し、同年10月には待望の新機種であるAV-0「ピースメーカー」の導入が実現。黒いレイバーに対する再戦の備えを着々と進めていた。
1999年12月、レイバー産業の重鎮や兵器ディーラーが続々と都内に集結
かくして運命の12月を迎える。海外に潜伏していた内海が帰国━時を同じくして、国際的なイベントや会合などの予定がないにも関わらず、レイバー産業の重鎮や兵器ディーラーが続々と入国し、都内に集結しつつあった。
こうした動きを見て新型レイバーの非合法デモンストレーション、つまるところ「さらなる襲撃」を予測した特車二課は、警戒レベルを引き上げる。
AV-0「ピースメーカー」
12月25日、佃島にTYPE-J9出現、AV-0で対応するも惨敗
そして程なく、予測は的中する。同月25日、中央区佃島にTYPE-J9が出現。特車二課第一小隊が緊急出動し、AV-0で対応することになる。ところが新鋭機であるAV-0を投入し、かつ2対1という数的優位を確保してなお、結果は惨敗に終わってしまう。
一時は優位を得たもののニューロン・ネットワーク・システムの欠点に気づいたTYPE-J9が、集合住宅を背にしたことで形勢逆転。建物への衝突を回避する自動制御が働き、攻撃を封じられたAV-0はサブシステムで稼働させねばならない状態に陥り、特性を活かせぬままに1号機、2号機ともに破壊されてしまったのだ。
1999年12月31日「黒いレイバー事件」決着の日
一連の「黒いレイバー事件」に決着が付いたのは、1999年も最後となる12月31日のことである。篠原重工製の最新鋭レイバーを打ち破ったものの、未だ完全に決着が付いていない特車二課第二小隊の1号機を狙って、TYPE-J9が葛西臨海公園に姿を現したのだ。
第二小隊、奮戦の末、TYPE-J9を行動不能に追い込む
これに対し第二小隊は舞浜大橋に展開して応戦。2号機が海に落とされて脱落するも、予備機ながらも投入された3号機の支援を受けつつ、1号機が奮戦、TYPE-J9を行動不能に追い込むことに成功するのだった。
特車二課、TYPE-J9操縦者(インド国籍の未成年少年)の身柄を確保
なお、主犯と目された内海は現場から逃走、逮捕に失敗しているが、特車二課はTYPE-J9の操縦者が驚くべきことにインド国籍の未成年少年であったことから身柄を確保している。
警察、事件に関与していた実行犯を次々と逮捕
また、該当の少年から得た証言により、事件に関与していた実行犯たちの氏名が判明。企画七課、及び土浦研究所の関係者は逮捕されるか、あるいは内海同様に国内より姿を消すこととなった。
シャフト、社員による独断犯行を主張するも、社会的信用を失墜し、大打撃を被る
この後の捜査においてシャフトは、一連の事件は内海の独断による犯行であり、むしろ自分たちは被害者であるとの立場を貫こうと試みている。
しかし、デモンストレーションを「観戦」していた者たちの姿がTV局のカメラによって捉えられていたことで、思い描いたようにはか「蜥蜴の尻尾切り」を行うことができず、社会的信用を失墜、経営的にも大打撃を被ることになるのだった。
▼シャフトによる組織的な隠蔽工作の疑い
シャフトは、すべてが内海の独断であるとの立場を貫いているが、これはいかにも説得力に欠ける。ある捜査関係者によれば強制捜査が行われた時点で、すでに同社が保有するPCやサーバーからは、企画七課関連の資料や記録の大半が抹消されており、組織的な隠蔽工作が行われていたことはまず間違いない情勢だという。
同社上層部が、どの程度、事件に絡んでいたのか。今後の捜査、および裁判によって真相が解明されることを祈るばかりである。
『機動警察パトレイバー』アルフォンスvsグリフォン〜黒いレイバー事件〜まとめ
企画七課の目的は「AV-98の能力」
それも、搭乗者の能力や特性を色濃く反映し、より機敏で繊細な動作を習得した1号機、通称「アルフォンス」と呼ばれる「個体」である。
企業間でこうした機密事項の奪取といった事例は、産業スパイなどの語が示すようによくあることだろうが、官公庁の実働部隊に対し堂々と挑戦してきたという意味では前代未聞と言える。
事件が明るみに出た際、「警視庁に高性能レイバーなどを配備するから起こった事件だ」――換言すれば「98式AVがなければ事件は起こらなかった」「98式AVの存在が犯罪を誘発した」――などと警察に非難を向ける声も一部聞かれたが、これは完全に的外れな意見と言わざるを得まい。
レイバーにとって重要なことは「高度なプログラム」や「経験」
いずれにしても欧州で軍需企業として軍用レイバーを納入するような一流企業が、AV-98の実働データそうまでして欲しがったのは、高度なプログラムや「経験」の要素がいかにレイバーにとって重要で、得がたいものであるかを物語る。
逆に言えば、ほかに代えがたいその資産が欲しいがために、篠原重工は採算を無視してでもパトロール・レイバー納入業者の立場を是が非でも手に入れようとしたのだ。
内海の目的は果たせたのか?
ニューヨークや各国警察に採用されるほどの名車AVシリーズを、さんざんに苦しめた「グリフォン」を造ったのはほかならぬシャフトの技術者だ。
内海がはじめから表ではなく軍やブラック・マーケットでの評価を得る目的であったとするなら、それは充分に果たされているのだ。
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ハイパーテクノロジーの急速な発展と共に、あらゆる分野に進出した多足歩行式作業機械「レイバー」。
しかし、それは「レイバー犯罪」と呼ばれる新たな社会的脅威をも生み出すことになった。
続発するレイバー犯罪に、警視庁は本庁警備部内に特科車両二課を創設して、これに対抗した。
通称「特車二課」パトロールレイバー中隊パトレイバーの誕生である。
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