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『機動戦士ガンダム』ジオン軍モビルスーツに採用されていた装甲材・塗料テクノロジーのご紹介
『機動戦士ガンダム』一年戦争関連サイトマップ
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両軍の戦力 | |
地球連邦軍の戦力 | |
ジオン公国軍の戦力 | |
1年戦争の全体図 | |
1 | 開戦~1週間戦争 |
2 | ルウム戦役 |
3 | ジオン軍地球侵攻作戦 |
4 | ゲリラ戦の継続 |
5 | サイド7遭遇戦 |
6 | ホワイトベース追撃戦 |
7 | オデッサの戦い |
8 | ベルファスト上陸戦 |
9 | ジャブロー上陸作戦 |
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11 | ソロモン攻略戦 |
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13 | ソーラレイ照射作戦 |
14 | アバオアクー攻略戦 |
15 | 終戰協定 |
エースパイロット名鑑 |
『機動戦士ガンダム』ジオン軍モビルスーツに採用されていた装甲材・塗料テクノロジーのご紹介
MS-05ザクI、MS-06ザクII時代に開発されたモビルスーツの装甲材とは
冶金工学が飛躍的な発展
ジオン公国軍のモビルスーツは、超硬スチール合金を主体とした装甲で覆われている。超硬スチール合金は、旧世紀から研究・開発が行なわれていた高強度金属材料から発展したものであると考えられるが、宇宙世紀では宇宙の真空と無重量という環境を恒常的に活用できることから、冶金工学が飛躍的な発展を遂げていた。
ジオンの素材開発の考え方
地球連邦がルナ・チタニウム合金をはじめとする新素材の実用化に余念がなかったのに対して、ジオン公国では従来からの資源でいかに効果的な合金を作り出すか、というのが取り組むべき主要課題だったようだ。
一般にジオン公国軍モビルスーツの装甲は、超硬スチール合金を基材に発泡金属、カーボン・セラミック、ボロン複合材料、チタン・セラミック複合材をサンドイッチ構造で配したという総論的な解説がなされているが、さらに詳細に分析すると以下のような経緯で発展したと思われる。
MS-05ザクI時代の装甲開発
最初に実用化されたMS-05ザクIでは靱性の高い超硬スチール合金を最外層に、多種の複合材をクラッド(挟み込む、重ねる)した多層構造の「貼り合わせ」装甲であった。
MS-05ザクI、試作から量産時への装甲材の発展
試作から量産に移行する間にも装甲材の改良は続けられ、装甲の積層構造を、クラッド形式から金属間化合物(2種類以上の金属で作られる化合物)、さらに傾斜機能複合材へと発展させていく。
MS-05、MS-06で採用された「傾斜機能複合材」とは
傾斜機能複合材とは、おのおの個別の機能を持った材質が連続的に変化していくもので、その断面構造は最外層から最内層まで境目なく一体化されている。
モビルスーツ装甲用一体型傾斜機能複合材の母材はスチールで、各層の機能や強度は複合材への添加物などによって調整されるが、MS装甲用材料としてより適性が高くなるように、組成・構造は常に更新されていたようである。
一体型傾斜機能複合材装甲へと移行
もちろん、一年戦争を通じて生産されたMS-06ザクIIにおいても、生産バッチ、型式などによって、旧来のクラッド材料から一体型傾斜機能複合材装甲へと移行しており、より軽量かつ強固な躯体へと変化していった。
モビルスーツ装甲塗装の役割とは?
装甲の強度を高め生産性を向上させることと並行し、力を注がなければならないのが塗装である。
過酷な宇宙でのモビルスーツ運用環境
宇宙での運用はモビルスーツを各種電磁波の直撃、宇宙塵やデブリ(宇宙空間を漂う不要の人工物。宇宙ゴミ)の衝突、太陽対向面と陰部分との極端な温度差など、過酷な環境に常時晒すことになる。
モビルスーツ塗装の必要性
この対策を装甲素材の強化のみに頼ることは、必ずしも安全な方策とはいえない。そこで塗装にも、相応の機能を分担付与することとなる。
塗装の役割とは
元来、塗装というのは、単に美装のみで施されるわけではない。過去、さまざまな人工物に塗装が施されたが、用いられる塗料は時々刻々と改質されてきた。その最大の役割は、一貫して被塗装物の保護である。
物理的な意味では、被塗装物を傷などから守るということだが、それ以外に化学的な保護という役目も担う。
たとえば金属外皮構造の航空機には、素材のアルミ合金を腐蝕から守るために一般にジンク・クロメート塗料と呼ばれる防蝕塗料が導入された。
また鉄鋼では、サビを防ぐ目的で赤い防錆塗料が塗られた。このような被塗装物の物理的・化学的変性を押さえる機能を有した塗料は、着色・美装を主目的としない場合、特定の機能を発揮するため塗料中に配合された物質自体の色を呈することが多い。
塗料の構成要素とは
塗料は、おもに展色材(塗膜形成成分と接着成分などの混合物。ビヒクル)と顔料(発色の元。ピグメント)で構成される。
先述のジンク・クロメート塗料は顔料相当成分に防蝕機能を持たせたものであるが、この塗料が黄緑や青緑を呈するのは添加された物質そのものの色で、サビ止め塗料の赤褐色は酸化鉄であるベンガラの色そのものである。
兵器の迷彩塗装について
兵器の迷彩塗装などは、目的に特化した美装であるといえるが、酸化防止、防蝕用塗料が必ずしも迷彩目的に叶うわけではない。したがって、視覚的要求を満足させるため、必要な顔料を混ぜた塗料を上塗りする方法が採られるのが一般的であった。
宇宙世紀の機能性塗料とは
では従来の塗装の概念をさらに進め、より機能性を高めた宇宙世紀の塗料とはどのようなものだろうか?
塗料によるMSの物理的衝撃吸収の役割
衝撃吸収材料として機能する塗膜形成成分中には、多機能ピグメントが分散させてある。
多機能ピグメントとは
このピグメントは、短波長高エネルギー電磁波を反射するもの、一部吸収した上で特定波長の可視光域に遷移して放射するもの、装甲全体で蓄えられた熱エネルギーの一部を可視光として放出するものなど、さまざまな役割を持つ材料の集合体であった。
戦争初期、宇宙専用モビルスーツの装甲塗装
戦争初期、宇宙運用のモビルスーツで使用された塗装はこのようなものだが、付与された機能を最大限に発揮させることと、美装として必要な色とを兼ね備えて実用に供することが開発当初の課題のひとつだった。
前線で使用された塗料補修キット
塗布方法は、粉体塗料を溶着するというのがファクトリーレベルでの基本だが、前線補修用にペースト状補修キットが用意され、これによって戦闘などで傷付いた塗膜を部分的に再塗装できた。このペーストは、塗布後、高エネルギーの電磁波に晒されることで硬化するよう設計されている。
機動性に影響が出る、地球上でのMS装甲塗料
地球上での運用も考慮されたMS-06シリーズでは、いずれ塗装自体の重量がデッド・ウエイトとなることが予想された。ジオニック社開発陣が、装甲材料に使用した傾斜機能複合材の一部として塗装面まで一体化する方法を選択せず、あくまで塗装という形式にこだわった理由はここにあった。
地球降下作戦では、MS装甲を地上用塗料に再塗装
つまり、宇宙用に開発された重量の嵩む塗料は、地上に降ろす時には剥がされる。地上では宇宙ほど塗装に多くの機能を付与する必要がなく、重点を置くべきは酸化防止、腐蝕の阻止であり、ここに美装が加わればよいのだ。
地上戦に対応した、MS装甲材の再検討
やがてジオン公国MS開発陣は、さらなるデッドウエイト解消策として、地上専用MSに限っては塗装という概念を捨てた装甲材料の導入を再検討したようだ。
MS-07Bグフに採用された、新装甲材
着色層一体型傾斜機能複合材。これは、初期の宇宙用モビルスーツではあえて採用しなかった技術である。20世紀末に一般化したアルミニウムの着色技術に発想を得たもので、装甲表面に細孔を規則正しく並べた防蝕層を作り、この細孔に微細金属などからなる発色原を埋め込むというものだった。
発色原物質をどう選択するかだけでなく、防蝕機能や電磁波遮断機能までも付与しうるものかどうかを見きわめるのに時間を取られ、結局、着色層まで一体化した、このMS装甲用着色層一体型傾斜機能複合材を躯体全面に採用した最初のモビルスーツは、MS-07Bグフであるといわれる。
グフに制式採用された「ブルーカラー」
グフの青は、使用者であるランバ・ラル大尉の意向が働き制式色として採用された、というのが戦後の関係資料における見解だが、実は塗膜一体型装甲の防蝕被膜が青系の色を呈していたということが言われている。
グフの機動性向上に貢献した新装甲材
なおこれ以降、地上で使用されたモビルスーツは、運用や戦術の(あるいは物理的な制約も含めた)必要に応じて塗装型、着色層一体型が選択されることになるが、再度宇宙空間での戦闘が主体になった戦争後半の時点においても、両者は混在していたようである。
着色層一体型装甲の模式断面図のご紹介
着色層一体型装甲の模式断面図をご紹介します。
着色層一体型装甲の模式断面図のご紹介 | ||
装甲層名 | 主な機能 | |
1 | 細孔発色皮膜 | 塗膜相当。防蝕、電磁波遮断機能 |
2 | 高強度外層 | 物理防御機能 |
3 | 高粘性中層 | 衝撃吸収、エネルギー分散 |
4 | 軽量発泡層 | 衝撃吸収、不活性ガスによる自己消火機能付加 |
5 | 冷却層 | 開放セル構造。冷却液導管機能 |
6 | 内層 | 中強度 |
7 | 内層外皮 | 高強度 |
8 | 細孔発色皮膜 | 防蝕皮膜) |
各層の間は、徐々に材質が変化する傾斜機能複合材として完全に一体化している。
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