【中立コロニーサイド6】名作OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の舞台になった中立コロニー「サイド6」のご紹介

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今回は、名作OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の舞台になった中立コロニー「サイド6」をご紹介します。

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名作OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」の舞台になった中立コロニー「サイド6」をご紹介します。

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人類の半数が死亡するという未曾有の災禍をもたらした一年戦争。だがその渦中にあって唯一「中立」の立場を守り、ほとんど被害を受けなかったコロニー群がある。「リーア」の通称で知られるサイド6だ。

各コロニーは月と地球の重力が釣り合った周回軌道上の安定宙域、L(ラグランジュ)ポイントに配置される。その相対的な位置関係が、ジオンの戦略を決定付けた。

開放型コロニーのため「川」と呼ばれるミラー下はガラス張りになっている。

全長32kmにも及ぶこの円筒40基で1つのサイドを形成する。

シリンダーの中心に位置するため、この部分は0G環境となる。

各々の角度を調整することで、内部の気温や昼夜を再現することができる。

言うまでもなく、これは極めて異例なことであった。ジオン公国軍はスペースノイドの独立主権を掲げながら、各コロニー住民をも容赦なく標的としていたからである。ことに開戦緒端の攻撃は凄まじく、一週間戦争ではサイド1、2、4にNBC兵器による奇襲を敢行。続くルウム戦役ではサイド5に壊滅的損害を与え、一連の人的損害は50億人にも上っている。

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ではなぜサイド6だけが攻撃を免れ、中立の立場に就けたのか。こと一週間戦争に限って言えば、それはひとえにランク政権があったためだ。

もとより一年戦争当時、すでに各コロニーはほぼ「国家」あるいは「州」と呼んで然るべき自治権を獲得していた。総人口の90%を擁するコロニ群の一元管理は地球連邦政府にとってさえ不可能であり、外交、経済面では依然支配的であっていたものの、内政に関しては「丸投げ」に近かったのである。

実際、サイド3の「独立戦争」というスタンスも、宣戦布告の大義名分に過ぎなかったのであるから、状況さえ許せば他のサイドにも中立宣言自体は(承認を得られるかどうかを別にすれば)可能だったはずなのだ。

だが不幸にして、ジオン公国には各サイドの出方を見守るだけの余裕はなかった。国力において絶望的に不利であったジオン側にとっては、電撃的な制宙権の確保こそ生命線であったのだ。

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そのためには、まず手近な連邦軍駐留拠点の芽を摘むことが欠かせない。結果奇襲目標に選ばれたのが、ジオン本国に近いサイド1、4であり、同時に背後を守る意味からと、ブリティッシュ作戦の「コロニー落とし」のために狙われたのがサイト2だったのである。

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サイド2と同じL4にあったサイド6が奇襲目標から外されたのは、ランク政権の成立がジオン公国によってなされたからである。この僅かな差により、サイド6は中立宣言に向けた根回しの時間を得たのである。

言わばジオン側の都合で一週間戦争の災禍を免れたサイド6であったが、時のランク市長は与えられた時間を無駄にする程無能ではなかった。彼は開戦後すぐさま両軍に使者を派遣。

水面下のロビー活動で早々に内諾を取り付け、一週間戦争が終了したUC0079年1月11日、全宇宙に向けて中立を宣言した。

そもそも独立を掲げていたサイド3はともかく、いかに事実上の国家であるとは言え、地球連邦の一員であるサイド6が独自に中立を宣言することは、明白な越権行為なのである。にもかかわらず、この宣言が黙認された背景には、もちろん連邦側の思惑が大きく作用していた。

開戦前こそ速やかな圧勝を信じて疑わなかった連邦軍陣営であるが、その見通しは僅か一週間で完全に覆ってしまった。

事実当時の上層部では、モビルスーツの猛威に恐れをなした一部高官のあいだで「降伏はやむなし」という消極論も支持を集めていたという。

そんな連邦陣営にとって、外交窓口としての中立地帯の存在はまさしく望むところであり、越権行為を糾弾するよりも、遥かに得るところが大きかった。無論一方のジオン側としても「保険」を賭けるに否があろうはずもなかった。

ただし、中立地帯はどこでもいいわけではない。地球上は論外として、地球とサイド3を結ぶ直線状に位置するサイド5(ルウム)も連邦軍の盾として使われかねず、ジオン側にとってはむしろ最重要攻撃目標であった。

またサイド7も、連邦軍にとってはV作戦の隠れ蓑であったし、第一未完成で国家の体を成していない。となれば、残る選択肢は両軍にとっての戦略価値が比較的低いサイド6でしかあり得なかったのだ。

ランク市長による中立へ向けての根回しは、こうした時流と己が立場を的確に把握してこその判断であった。

素早い対応も功を奏し、両軍はその中立宣言を異例の早さで承認。サイド6は名実共に連邦の支配を脱し、ランク市長は首相へと就任する。

さらにルウム戦役を経て1月31日に締結された南極条約においては、NBC兵器の使用とコロニー落としの禁止とともに、木星からのヘリウム輸送船団、月面恒久基地、ならびに「中立地帯」への攻撃禁止が成文化され、サイド6はひとまずその命脈を保つこととなった。

終戦間際には新型MS（RX-78NT1）のテストが行われ、ジオンの核攻撃未遂事件を招いた。

かくして中立を宣言したサイド6ではあったが、これで安泰が保証されたと考えるのは早計である。もとより「どちらにも敵対しない」という立場は、裏を返せば「どちらの味「方でもない」ということである。戦後政治まで見据えれば、微妙な権力の綱渡りを強いられるのである。

ではランク政権はと言うと、大戦初期のスタンスは明白に「親ジオン」であった。その要因としては、サイド6住民のサイド3に対する共感を挙げる向きもある。

だが、スペースノイドの多くが連邦の地球至上主義を苦々しく感じており、またランク自身もジオン・ダイクンのコントリズム思想に傾倒を表明していたとは言え、すでに数十億のコロニー住民が犠牲となっていた状況を考えれば、これは無理があるむしろ自国を壊滅せしめるだけの宇宙戦力を有していたのがジオン側のみだったという単純な事実のほうが、説得力は高い。

事実大戦後期、戦局が連邦軍に傾きはじめると、ランク政権はドラスティックまでの変節を見せている。

それまでジオン側の「目こぼし」によって永らえてきたサイド6は、同軍艦艇の寄港要請などにも最大限の便宜を図ってきたのだが、オデッサ作戦以降は有名無実化していた戦時不介入を盾にこれを拒否。

一方で連邦軍艦艇には、その都度「人道的理由」などを挙げ民生施設を解放し、一部コロニーでは、極秘軍事施設の建設すら許していたのである。

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無論、ジオン側はこれに猛反発。TV中継で有名な「連邦軍第十三独立戦隊」とジオン軍「コンスコン艦隊」の近傍宙域戦を機に、サイド6の中立破棄を一方的に通達したが、攻撃する余力はすでになかった。

唯一12月25日、将校の独断による「リボー」への核攻撃が企てられたが、それも駐留連邦軍によって阻止され、事実上サイド6から手を引くこととなったのだ。

「ジリ貧」のジオンに見切りをつけ、水面下で連邦軍と結んで反ジオン表明のタイミングだけを図る。そんなランク政権の鋭い計算が、ここには透けて見える。

またサイド6は、連邦とジオンによる終戦協定の締結にも大きな役割を果たしている。

星一号作戦発令直後、ランクはジオン穏健派のダルシア首相と接触し、以降は連邦政府へのパイプ役として奔走。秘密会談の場を提供するのみならずロビー活動にも尽力し、一躍終戦の立役者となったのだ。

この過程で両軍に恩を売ったサイド6の発言力が、終戦後どれほど高まったかについては、周知の通りである。その意味では、もし一年戦争に勝者がいるとするなら、それはサイド6だったのかもしれない。そしてその勝利は、一発の銃弾も用いることなく政治力によって勝ち取ったものなのである。

薄氷を踏む想いのランク政権はともかく、やはりサイド6市民にとって「中立」という立場は心休まるものだったらしい。事実サイド6の各バンチ内では、戦時下とはにわかに信じがたいほど、豊かで安定した生活が営まれていた。

街角の個人商店も、富裕な難民の流入によって一種の戦争景気を謳歌。清潔な街並みには派手な看板や人目を引く公告が溢れ、感謝祭やハロウィン、クリスマスにはイルミネーションすら灯ったという。

一方、平和で豊かな生活の代償として、サイド6住民の危機管理意識は総じて低かったようである。

ただし、ミドル・モビルスーツを擁するお飾り的な自衛軍「リーア軍」の貧弱さは、ランク政権が中立の道を選んだ以上、問題にならない。むしろ脅威だったのは、コロニー内に潜伏する不審者だったのだ。

実際リボーでは、林間公園に隠されていたザクによるMSテロも発生。即席の十字架を立てた身元不明者の墓まで発見され、警察は大いに面目を失っている。

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