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【第2回】マンハッタンへ行こう、名作アドベンチャーゲーム・マンハッタンレクイエムの誕生
~リバーヒルソフトの誕生からマンハッタンレクイエム誕生までの道のり~



今回は
『マンハッタン』へ行こう、『マンハッタンレクイエム』の誕生、
~『リバーヒルソフト』の誕生から『マンハッタンレクイエム』誕生までの道のり~ をご紹介させて頂きます。


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『刑事J.Bハロルドシリーズ』第1作目となった『殺人倶楽部』の成功により
『ミステリーアドベンチャーゲーム』で『不動の地位』を確立することになった『リバーヒルソフト』は、
その勢いのまま『刑事J.Bハロルドシリーズ』の第2作となる『マンハッタンレクイエム』の企画をはじめるんだ。


『刑事J.Bハロルドシリーズ』、『第2作』の企画がスタート
第2作目の舞台は『ニューヨーク』の『マンハッタン』


前作『殺人倶楽部』の舞台は、
『リバティータウン』という架空の土地であったが、『2作目』は実在の地を舞台にすることにしたのだ。
そして素直に『マンハッタン』の名が浮かび上がった。
『ニューヨーク』の『マンハッタン』ではなく、『マンハッタン』が『ニューヨーク』なのだ、という感覚だ。




『刑事J.Bハロルドシリーズ』は、その後5作品制作されることになるんだけど、
1作目の『殺人倶楽部』以降は、
実在する、アメリカの都市が舞台になるよ。




第2作目『マンハッタンレクイエム』(1987年)と【番外編】の『殺意の接吻』(1987年)が『ニューヨーク』の『マンハッタン』、
第3作目の『D.C.コネクション』~愛と死の迷路~(1989年)が、
アメリカの政治の中心地、『ワシントンD.C.』
そして、シリーズ最後の第4作目『ブルー・シカゴ・ブルース』(1994年)は、
そのタイトルの通り、『シカゴ』が舞台で
『刑事J.Bハロルド』が、捜査で歩き回ることになるよ。


『刑事J.Bハロルド・シリーズ』の作品舞台


ここで、『刑事J.Bハロルド・シリーズ』の作品舞台の一覧を掲載させて頂きます。


| 作品No | 発売年 | ゲームタイトル | 舞台 |
| 第1作目 | 1986年 | 『殺人倶楽部』 ~マーダークラブDX~ |
リバティータウン (架空の町) |
| 第2作目 |
1987年
|
『マンハッタンレクイエム』 ~闇に飛ぶ天使たち~ |
ニューヨーク
|
| 第2.5作目 【番外編】 |
『殺意の接吻』 ~KISSOFMURDER~ |
||
| 第3作目 | 1989年 | 『D.C.コネクション』 ~愛と死の迷路~ |
ワシントン |
| 第4作目 | 1994年 | 『ブルー・シカゴ・ブルース』 | シカゴ |


『刑事J.Bハロルド・シリーズ』では、
聞き込みによって『犯人』を追い詰める面白さがあるけど、
『リアリティ』あふれる実際の『アメリカ』の都市を観光気分で体験できる楽しみも、このシリーズの魅了の一つだよ。


『刑事J.Bハロルドシリーズ』のシナリオ作り


『マンハッタンレクイエム』の制作は1986年10月に着手された。
『シナリオ』と同時に『マンハッタン』に関する『資料収集』も始まった。
『シナリオ』といっても、
『小説』と『パソコンゲーム』とでは『ストーリー』の作り方もおのずと違ってくる。




このあたりについて、『鈴木』さんはこう語っています。


ゲームの『シナリオ』の場合、
やはりゲームの『アルゴリズム』を知らないとなかなかうまくいかないと思います。


『鈴木』さんの『シナリオ』は、人物設定から始まるんだ。
まず『犯人』を決め、『被害者』と『犯人』の間を埋めていく。
そこに『脇役』が何人も登場し、事件そのものを複雑にし盛り上げていくという手法なんだ。
そしてその人物たちの言葉から、それぞれの人間の個性を浮び上がらせていくのだ。




『鈴木』さんは、『刑事J.Bハロルドシリーズ』のシナリオ作りについて




『登場人物』の言葉だけから、
その人物の『人間像』を浮き上がらせていくわけですから、『戯曲』に似たところがありますね。
ただ、40人の言葉で表現するというのは、大変な作業でしたね。


『刑事J.Bハロルドシリーズ』の精密さの秘密『星取表方式』


もう1つ大変なのが、それぞれの『登場人物』の『因果関係』だ。
『登場人物』の発言に矛盾があってはまずい。
そこで『鈴木』さんが考え出したのが、スポーツのリーグ戦のような『星取表方式』だよ。
これで誰が誰に対して話をしたとか、知っているいないをチェックするのだ。




なんか、電車の『ダイヤグラム』みたいですね。




うーん、まさに鉄道ダイヤ職人『スジ屋』さんみたいだね。




この方式はこの種のゲームを作りたいという人にとっては参考になるだろう。
同年の1986年11月には『デザイナー』が動き出す。
その月の末、タイトルは正式に『マンハッタンレクイエム』に決定したんだ。


リアリティが足りない、『マンハッタン』へ行こう


『マンハッタンレクイエム』の制作は順調に進んでいった、
しかし、『アメリカの雑誌』などを中心に『資料収集』が進むにしたがって、スタッフの間に不満が広がりつつあったんだ。




不満?


そう『シナリオ担当』の『鈴木』さんの頭に浮かぶイメージを『デザイナー』に伝えて、『資料』をいくらひっくり返してもリアリティがでないんだ。
『制作スタッフ』は、
『舞台』が実在である以上、『グラフィック』を想像で作るのは避けたい、本物でありたかったんだ。
1度『マンハッタン』へ行かなければだめだという空気が、『リバーヒル』の中で漂うようになってくるんだ。


いざ『ニューヨーク・マンハッタン』へ


そんな、同年、1986年12月も押し迫った24日、
『鈴木』さんは『ニューヨーク』での取材を決意し、
『デザイナー担当』の『高屋』さん、『カメラマン』の『知識』さんの2人に『ニューヨーク・マンハッタン』への取材を依頼したの。




『鈴木』さんは、
同行する『デザイナー』の『高屋』さんと『カメラマン』の『知識』さんに細かい注文を浴びせていた。
外は『ジングルベル』が鳴り響き、『博多』の夜は陽気であったが、
そんな陽気さはこの年の『リバーヒル』には無縁であったようだ。


そして12月27日、『高屋』さんと『知識』さんは泊まるホテルも決まらぬまま、『ニューヨーク』へと旅立ったのだ。




『鈴木』さんからの注文は、
銀行やアパートなど『マンハッタン』にある建物のいろいろな角度からの『写真』、『街並み』『人』『屋内』など、
ありとあらゆる『ニューヨーク・マンハッタン』を雰囲気を写真に収めることだったの。




そして、そこに『高屋』さんの『デザイナー』としての感性が加わり、
『知識』さんは膨大な注文を精力的にフィルムに収めていったのである。
年が変わり正月気分もそろそろ抜けようかという1986年1月7日、2人は帰国した。
『ニューヨーク』を、『マンハッタン』をいっぱい詰め込んで。


『マンハッタン』現地取材の結果は?


『現像』からあがってきた『写真』を見て、
『鈴木』さんと『岡崎』さんの目が輝いた。予想通り、いやそれ以上の『写真』がそこにあったのである。
そして、使用する『写真』のセレクトが始まる。




『岡崎』さんは当時のことをこう回想しています。


たとえば同じビルでも、入口から見上げている絵もほしいし、道路の向こう側から眺めている絵も入れたかったですから、
それには実際現地『へ行って『写真』に撮るしかないわけです。
『雑誌』や『パンフレット』などでは『観光写真』のようなものしかありませんから、
ですから、『ニューヨークロケ』はすごくよかったと思います。
これで『ニューヨーク』の雰囲気を出すことができました。




だから、『マンハッタンレクイエム』に登場する『グラフィック』は、ほとんど実在するといっていい仕上がりなんだ。
選ばれた『写真』は『グラフィック担当』の『宮崎』さんの手へと移ることに。
それぞれの『キャラクタ』の人生を想像してほしい!


超多忙の日々を過ごしている『リバーヒルソフト』に、
『殺人倶楽部』をプレイした『ユーザー』から、ぽつぽつと手紙が舞い込み始めたのは昨年(1985年)の秋の頃からであった。
そして、その手紙にはスタッフの誰もが予期しなかった内容が多数あった。
それは、『登場人物』個々の人生について、
『ユーザー』がいろんな想いを巡らせて手紙に綴っていたことである。




『シナリオ』を担当した『鈴木』さんは、ユーザーの反応について


すべての『登場人物』に結末をつけたわけではないので、
『登場人物』のその後がどうなったかということがわからない『キャラクタ』も沢山あったんです。
そうした『キャラクタ』のその後を、
僕だったらこうなったと思いますとか、
彼女はあれからどうなったんですかなどと、
『ユーザー』がドラマを作ったり、
『脇役』のその後に興味を示してくれていたんですね。




シナリオを担当した、『鈴木』さんにとって、
ユーザーからの思いがけないの反応は、望外の喜びだったんだ。
そして、その傾向は『マンハッタンレクイエム』に、大きく反映されているんだ。




プレイする人は、ゲームを解くという楽しみのほかに、『キャラクタ』の人生について想像の輪を広げてみるといいと思うよ。
それが楽しめる仕掛けがこの作品には、随所に施されているはずだからね。




やがて『ユーザー』からの手紙は4,000通を超えそうです。
リアリティ溢れる『マンハッタン』の雰囲気、でも圧縮が・・・


時を『マンハッタンレクイエム』制作中の1986年に戻そう。


2月に入ると『リバーヒルソフト』は引っ越しを敢行した。
手狭になった場所から快適に仕事ができる事務所への移転である。
これも『殺人倶楽部』の成功が大きく影響していることはいうまでもない。
そして『写真』は、
『グラフィック担当』の『宮崎』さんの手へと渡り、
『写真』はまずコピーにとられ、新聞に載る『写真』のようにアミ点の集合にされる。




もちろん『モノクロ』だよ。


これを『スキャナ』にかけ、『コンピュータ』に取り込み、修正を加え着色していくという制作過程なんだ。


1980年代は、まだ『デジタルカメラ』じゃなくて『フォルム』だもんね。


一見簡単そうに見えるこのグラフィック化も困難を極めたんだ。
『家庭用ゲーム機』と比べて、
容量の余裕がある、パソコンゲームとはいえ、
この頃は、ようやく『フロッピーディスク』が『パソコン・ゲーム媒体』の主流になりつつある頃、
2HD1枚に収めようとすると容量が足りなく、圧縮作業に苦労することに・・・




デザインを担当した『岡崎』さんは、後の証言で


1日3画面くらいしかできないなんてこともありましたし。
『写真』にかなり忠実に再現しましたから、
『マンハッタン』の雰囲気は、十分堪能していただけると思います。
でも、一番たいへんだったのは、画像の圧縮作業でしたね。
非常事態発生そして『マンハッタンレクイエム』完成へ


事務所の移転も無事終わり、一段落ついたころ、予期せぬ出来事が起こってしまう。
『岡崎』さんが胆石で緊急入院してしまったのだ。
『岡崎』さんの担当は『PC-9801』の『プログラム担当』、
『プログラム』をかじったことのある人ならわかると思うが、
『プログラム』の組み方は個人によってまったく違うので、本人しかわからない。
結果、1ヶ月間『プログラム』の進行が遅れることとなってしまったのである。




あらー


作品全体の進行も若干遅れ気味ながら、
『パッケージ』が上がり、『ポスター』も上がり、『グラフィック』も完成に近づいていた。
1ヵ月後、復帰した『岡崎』さんが最後の踏ん張りをみせて『プログラム』を完成させ、発売予定から2ヵ月遅れて
遂に、1987年6月末に
『J.B.ハロルドシリーズ』の2作目となる『マンハッタンレクイエム』は完成したのだ。
『マンハッタンレクイエム』はスタッフそれぞれの想いを乗せて、翌月の1987年7月初めに発売されたのである。




おーついに傑作ゲーム発売。


今回はここまで次回は【最終回】
マンハッタンレクイエム以降のリバーヒルソフトをご紹介させて頂きます。


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