【第3回】名作アドベンチャーゲーム、マンハッタンレクイエム・殺意の接吻の調査報告

『J・B』は突然、『サラ』から『手紙』を受け取る

そして、元相棒の『ジャド・グレゴリー』から
『サラ』の不審な自殺を知ることになる。

彼女の死は『自殺』なのかそれとも『他殺』なのか

いよいよ『J・B』が動き出す。

『J・B』は、

『マンハッタン』の安ホテルをとり、まず『情報整理』に取りかかった。

手元にあるのは
『サラ』の『手紙』に入っていた一枚の『カード』と
『リバティタウン』の『キャサリン』から送られてきた『サラ』の写真だけだ。

手がかりがない今の状態から、果たして事件を『解決』できるのか。

『J・B』？

ああ、よかった。やっと、つかまったわ。
あなたったら、何度電話してもいないんですもの、心配しちゃった。

ふふふ、『J・B』わかってるでしょー

そう、前触れなしに突然休暇をとって
『マンハッタン』なんかに行ってしまった
誰かさんのおかげで、部長のご機嫌は限りなく悪いわよ。

ねえ、いったい一日に何度聞かされると思う？

あのあの馬鹿者め！
帰ってきたら、首だー

って、セリフ

『サラ・シールズ』、フルネームは、『サラ・Ｊ・シールズ』よ。

年齢は24歳。血液型はA型。
犯罪者名簿に該当するデータはなしね―。

彼女は、『マンハッタン』の『ダウンタウン』生まれらしいわ。

10歳の時に両親が離婚。

彼女はその時、母親に引き取られたそうよ。

でも10歳の時、その母親が彼女を残して失踪。

そう、つまり若い男と駆け落ちしちゃったってわけね。

それからは、ひとりで各地を転々として暮らしていたらしいわ。

マスターには、『マンハッタン』で母親と一緒に暮らすことになったと話したそうよ。

店を辞めた後、彼女からの連絡はなかったらしいわ。

それから、『サラ』の『両親』についてだけど、

父親は
『リチャード・クリスティ』という名前で、
現在は『5番街』で『貴金属店』を経営しているわ。

母親は
『クラウディア・シールズ』。

ただし、こちらは依然消息不明ね。

それから、あなたが出かけたあとに、
『ピート・ギルフォード』っていう人から電話があったわ。

学生時代のお友達からの。

あなたが『マンハッタン』にいるって話したら、
是非自分の勤め先に寄るように伝えてくれって頼まれたわ。

彼、『パーク街47丁目』の『ニューヨーク・マガジン社』で記者をしているんですって。

『E26TH St.』からアパートメントへの路地を曲る手前。

『ヘレン・アンダーソン』はいつものようにポケットの中で、
2つの『キー』を握り締めたた拳の指の間から突き出すようにはさみ込んだ。

そして4年が過ぎた今も、この『儀式』だけは欠かしたことがない。

すばやく『キー』を差し込み、最小限の『ドア』の隙間から身体を滑り込ませる。

だがこの日は、1週間分の買物で肥満した袋が引っ掛かった。

このデブ！。

毒づいて引っ張り込み、『ドア』を閉めようとした、その瞬間だった。

『ドア』が外側からぐいと引き止められ、『へレン』は思わず飛び退いた。

誰がデブだって、『ヘレン』？

聞き覚えのある声と予期せぬのどかな口調で我に返った

『ヘレン』は、浮かび上がってきた笑顔に安堵した。

向かいの『カフェ』で張ってたのさ。

そっちこそ、呼んだのにどんどんいっちまうんだから。

何を急いでたんだい？

一瞬呆気に取られて、『ヘレン』は苦笑いした。

彼女も最初は、誰もが急いでいるように見えたものである。

いつしかそんな歩き方を習い性としている自分の変わりようを、
あからさまにとがめられたような気がした。

『ヘレン』は『ジェフ』をエレベーターの方へと促した。

『ジェフ』は、新しい取引の話で『ニューヨーク』へ来たと言った。

故郷の『ミネソタ』で始めた『インテリアショップ』が好調で、
もうすぐ5店目を出すという。

学者肌の彼にそんな『商才』があったとは意外だが、
彼の店ならぜひ行ってみたい気もした。

世界を動かすビジネスの中心『ニューヨーク』で自分を試したい。

その一途な思いのままに『ヘレン』は大手のコンサルタント会社に就職し

3年足らずで『中堅クライアント』の『プロジェクト』を任されるまでになっていた。

そして、話し続けながら『ヘレン』は、

すべてをまっすぐに受け止めてくれる『ジェフ』に、新鮮な魅力を発見し感動していた。

『ニューヨーク』では、こういう眼差しに出会ったことがない。

『夢』が叶っていく一方で、

彼女はしだいに高まってゆく『不協和音』のような感覚に疲れを感じ始めていた。

翌日の昼下がり
『セントラルパーク』のベンチにふたりの姿があった。

『ジェフ』はため息をついて天を仰いでいる。

『ヘレン』と『街』に出たものの、
慣れない人混みに半日で『ギヴ・アップ』したのだった。

どうして？

ここが昔何だったと思う？

さあね

ゴミ捨て場よ。

百年以上前の話だけど。

ここもあの『街』と同じ、全部作り物なの。

そう思うと、ここで感じる安らぎも『モルヒネ』みたいに思えてくるわ

君らしくもなく、『シニカル』なことを言うんだね。

『ヘレン』は苛立ちを取り繕おうともせず、
虚ろな面持で歩き出した。

彼女の動揺を推しはかるような間があって、
『ジェフ』はその話を切り出した。

どうだろう『ヘレン』。

『ミネソタ』で僕に手を貸してくれないだろうか？

チェーンシステムに明るい『マネジメント・スタッフ』が要るんだ。

君なら最高だと思う……それと

彼は最初の出現のように、ぐいと不器用に『ヘレン』の前に立ちはだかった。

それから、もうひとつ。僕が君を訪ねた本当の目的は・・・

僕は『ニューヨーク』に、夢を取り戻しに来た・・・
もう一度、君に『アイ・ラヴ・ユー』と言いに来たんだ。

駄目よ……まだ私の夢は燃え尽きてはいないの。

もう少し、ここで戦わせて……だけど『ジェフ』・・

？

あ・・・『O・K』、ビジネスはやっぱり君の方が、数枚うわ手みたいだな。

ひとつに重なった影も笑い声も、あっという間に呑み込んで、

雑踏は何事もなかったように流れ続けていた。