「西播磨・たたら鉄山の流通と経営」についてご紹介｜日本刀ができるまで
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今回は、「西播磨・たたら鉄山の流通と経営」についてご紹介します。
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宍粟鉄は、中世末まで西（備前長船）に向い、近世初めに姫路・大阪方面へ
西播磨・宍粟鉄（しそうしてつ）は、備前長船の刀匠が活躍していた中世末までは、主に西を向い岡山方面に運搬されていましたが、近世初めには、山崎(現在の宍粟市山崎町)に問屋ができ、揖保川（いぼがわ）の高瀬舟による運搬が始まると、東を向い姫路・大阪方面へ盛んに運搬されるようになりました。
揖保川（いぼがわ）の高瀬舟
揖保川の高瀬舟は、中世には、水量が多く、激流のない現在のたつの市北部まで運行されていましたが、現在の宍粟市の山崎まで運行が延びたのは、江戸初期と言われています。
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下りは年貢米、薪炭、鉄類、上りは、日用品（塩、味噌など）を運んだ「高瀬舟」
山崎へは、150艘以上の船が行き来していたと考えられています。下りは年貢米、薪炭、鉄類など地域の特産品を運び、上りは、塩、味噌などの日用品を運んでいました。
揖保川の高瀬舟(1920年頃、現在のたつの市新宮町付近出典:「龍野市史第3巻」)
山崎の舟着場は、現在の宍粟市役所庁舎の東の河川敷にあったことから、河川整備にあわせて復元が計画されています。
| 歴代(古刀/新刀/新々刀)「国别刀工数ランキング(20752刀工)」のご紹介 | ||||
| 地域 | 古刀 | 新刀 | 新々刀 | 合計 |
| 中国 | 6558 | 474 | 285 | 7317 |
| 九州 | 2206 | 847 | 526 | 3579 |
| 近畿 | 2128 | 821 | 224 | 3173 |
| 中部 | 1420 | 492 | 137 | 2049 |
| 関東 | 527 | 516 | 529 | 1572 |
| 北陸 | 710 | 482 | 180 | 1372 |
| 東北 | 381 | 338 | 453 | 1172 |
| 四国 | 186 | 134 | 198 | 518 |
| 合計 | 14116 | 4104 | 2532 | 20752 |
| 歴代(古刀/新刀/新々刀)「国别刀工数ランキング(20752刀工)」のご紹介 | ||||||
| 国/地域 | 地域 | 古刀 | 新刀 | 新々刀 | 合計 | 主な刀工 |
| 備前[五箇伝] | 中国 | 4005 | 115 | 46 | 4166 | 【古刀】古備前友成·包平、 福岡一文字則宗•助宗·守利·吉房、助真、 長船長光·正恒·師景·景光·祐定,兼光•長義 |
| 美濃[五箇伝] | 中部 | 1269 | 250 | 69 | 1588 | 【古刀】志津兼氏·兼元、金重、兼定 |
| 山城[五箇伝] | 近畿 | 847 | 295 | 82 | 1224 | 【古刀】三条宗近·吉家、粟田口国友·久国·国綱·吉光、来国行·国俊·国光、 綾小路定利、長谷部国重•国信 【新刀】堀川国広·国安·東山美平 |
| 大和[五箇伝] | 近畿 | 1025 | 48 | 20 | 1093 | 【古刀】天国、千手院延吉·長吉、 手搔包永、当麻、尻懸、保昌 【新刀】文殊 |
| 備中 | 中国 | 933 | 66 | 19 | 1018 | 【古刀】青江貞次為次・守利·康次 |
| 豊後 | 九州 | 637 | 206 | 99 | 942 | 【古刀】左文字行安、行平【新刀】高田 |
| 武蔵 | 関東 | 60 | 463 | 373 | 896 | 【古刀】康重【新刀】長曽祢虎徹、繁正、康継 |
| 薩摩 | 九州 | 587 | 187 | 116 | 890 | 【古刀】波平行安·安則【新刀】主水正正清 |
| 陸奥 | 東北 | 280 | 299 | 295 | 874 | 【古刀】文寿 |
| 備後 | 中国 | 568 | 17 | 22 | 607 | 【古刀】三原正家•正光 |
| 相模[五箇伝] | 関東 | 438 | 26 | 45 | 509 | 【古刀】新籐五国光、新六行光、正宗•国光【新刀】網広 |
| 摂津 | 近畿 | 37 | 380 | 84 | 501 | 【新刀】国助(河内守)、助(筑前守)、 助広(津田越前守)、粟田口忠继、国貞 |
| 筑前 | 九州 | 277 | 102 | 111 | 490 | 【古刀】左文字源慶、金剛盛高·高網 |
| 加賀 | 北陸 | 234 | 190 | 47 | 471 | 【古刀】為継【新刀】勝国、兼若 |
| 肥後 | 九州 | 140 | 245 | 49 | 434 | 【古刀】国村•国泰•同田貫正国 |
| 肥前 | 九州 | 247 | 48 | 109 | 404 | 【古刀】忠吉、忠広、同田貫正国 |
| 越前 | 北陸 | 154 | 211 | 23 | 388 | 【古刀】千代鶴国安、守弘【新刀】信国 |
| 伯耆 | 中国 | 269 | 36 | 24 | 329 | 【古刀】安綱、真守 |
| 石見 | 中国 | 274 | 24 | 16 | 314 | 【新刀】江尾護国 |
| 越中 | 北陸 | 256 | 45 | 13 | 314 | 【古刀】鄉義弘、則重 |
| 出羽 | 東北 | 101 | 39 | 158 | 298 | 【古刀】月山 |
| 尾張 | 中部 | 36 | 189 | 42 | 267 | 【古刀】国次【新刀】政常 |
| 播磨 | 中国 | 95 | 113 | 44 | 252 | 【古刀】助平・宗吉 |
| 周防 | 中国 | 204 | 22 | 20 | 246 | 【古刀】二王清綱•清景・清貞 |
| 豊前 | 九州 | 198 | 20 | 11 | 229 | 【古刀】信国 |
| 出雲 | 中国 | 134 | 24 | 53 | 211 | 【古刀】吉井吉則永則、忠綱 |
| 紀伊 | 近畿 | 119 | 67 | 14 | 200 | 【古刀】入鹿本宗、国次【新刀】重国 |
| 越後 | 北陸 | 66 | 36 | 97 | 199 | 【古刀】桃川長吉 |
| 土佐 | 四国 | 33 | 51 | 113 | 197 | 【古刀】吉光【新刀】吉行 |
| 駿河 | 中部 | 115 | 53 | 26 | 194 | 【古刀】嶋田義助、助宗 |
| 筑後 | 九州 | 120 | 39 | 31 | 190 | 【古刀】三池光世、大石家永 |
| 長門 | 中国 | 76 | 57 | 41 | 174 | 【古刀】安吉 |
| 常陸 | 関東 | 29 | 27 | 111 | 167 | 【新々刀】源正 |
| 阿波 | 四国 | 97 | 37 | 30 | 164 | 【古刀】氏吉 |
| 伊予 | 四国 | 56 | 46 | 55 | 157 | 【新刀】国房 |
| 近江 | 近畿 | 100 | 31 | 24 | 155 | 【古刀】甘露、俊長 |
歴代(古刀/新刀/新々刀)「国别刀工数ランキング(20752刀工)」のご紹介｜日本刀入門
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2024.03.24
平瀬家の鉄山経営
平瀬家は、初代源右衛門清信から代々「源右衛門」を名乗り、六代源右衛門布古（のぶもと）まで約130年間にわたり、宍粟で鉄山経営を行いました。
| 西播磨・たたら年表（645年~1977年） | ||
| 和暦 | 西暦 | 出来事 |
| 大化元~白雉五 | 645~654年 | 鉄を作り、孝徳天皇に献上 |
| 和銅六 | 713年 | 「播磨国風土記」の編纂始まる。 |
| 嘉曆四 | 1329年 | 備前長船の刀匠景光と景政が作刀 |
| 嘉吉元 | 1441年 | 赤松満祐、長船の刀で足利義教を暗殺 |
| 寬永二 | 1625年 | 平瀬源右衛門清信、千草谷で鉄山を開業 |
| 寛永一〇 | 1633年 | 平瀬家、山崎で千草屋を開く |
| 宝曆六 | 1756年 | 山崎千草屋、鉄山経営から撤退、 鳩屋孫右衛門が引き継ぐ |
| 天保一〇 | 1839年 | 平瀬露香生まれる |
| 安政四 | 1857年 | 近代製鉄始まる |
| 明治一八 | 1885年 | 鉄山を閉山 |
| 昭和一九 | 1944年 | 宍粟郡内の調査 |
| 昭和五二 | 1977年 | たたら製鉄の復活 |
「西播磨・たたらの歴史」についてご紹介｜日本刀ができるまで
「西播磨・たたらの歴史」についてご紹介｜日本刀ができるまでご訪問ありがとうございます。今回は、「西播磨・たたらの歴史」についてご紹介します。西播磨・たたらの歴史西播磨地域では、古代から宍粟市や佐用町を中心に「た...
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2024.03.28
山崎に千草屋（ちくさや）を開き、大阪に鉄問屋千草屋を開店
初代清信は、寛永二年(1625年)から千草谷で鉄山経営を始め、寛永一〇年には、次男、保古（やすもと）を連れて当時の宍粟郡経済の中心地山崎に出て千草屋（ちくさや）を開き、ついで三男、道閑（どうかん）を大阪に出して、鉄問屋千草屋を開店させました。
西播磨の鉄山を独占経営する「平瀬家」
二代保古（やすもと）は、高瀬舟の所有を許され、鉄の生産・運搬・販売の一貫経営を行い、寛文一一年(1733年)頃に宍粟郡内のほとんどの鉄山を独占経営しました。
1756年、山崎千草屋、鉄山経営から撤退、その後、鳩屋孫右衛門が引き継ぐ
享保一八年(1733年)に六代布古（のぶもと）が山崎千草屋を継ぎましたが、次第に家運が傾き、宝暦六年(1756年)に山崎千草屋は鉄山経営から撤退しました。その後を鳩屋孫右衛門が引き継ぎ、それ以降三代、80年余にわたり鉄山を経営しました。
数多くの文化遺産を残した「鉄山師たち」
宍粟市千種町千草にある西蓮寺の境内に、一体の石碑が立っています。そこに刻まれた文には、延宝五年(1677年)に、亡き父、平瀬源入(初代清信)の供養のために西蓮寺の梵鐘（ぼんしょう）を改鋳（かいちゅう）した平瀬貞把(二代保古)の親孝行を称える内容となっています。
西蓮寺の石碑(宍粟市千種町千草)
このように鉄山師たちは、神社や寺院への寄進を積極的に行い、数多くの文化遺産を残しています。
山崎千草屋を経営した平瀬家の菩提寺である大雲寺(宍粟市山崎町上寺)
最後の粋人「平瀬露香（1839~1908年）」
平瀬露香は、天保一〇年(1839年)に大阪の富裕な両替商「千草屋」に生まれました。幕末維新の激動期に当主となった露香は、維新の動乱を何とか乗り切り、近代大阪財界の要職を歴任した財界人である一方、茶道や能楽など三一もの趣味を極めて「上方の最後の粋人」と言われた人物です。
露香を生んだ平瀬家は、大阪で鉄販売のみならず、その流通網を利用した諸国物産の問屋経営や大名への貸し付けを行い、経済力を蓄えました。明治四年(1871年)の調べでは、千草屋の諸藩への貸し付けは、約40藩にわたり、その額は幕府を含めて実に67万両に及んでいました。金一両が米一石の相場で、現在の米価に換算すると約400億円に近い莫大な金額でした。
平瀬香肖像画 松原三五郎作 個人蔵(出典:「大阪歴史博物館特別展図録集」)
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