「電子工作:専用ICを使ったリチウムイオンバッテリ充電器の製作」についてご紹介

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今回は、「電子工作:専用ICを使ったリチウムイオンバッテリ充電器の製作」についてご紹介します。
「電子工作:専用ICを使ったリチウムイオンバッテリ充電器の製作」について

電気工作でリチウムイオンバッテリで安全に充電できる作品を製作するのは、少し難易度が高くなります。過充電や逆流防止など複雑な機能を設計する必要があるからです。

そこで安全、簡単に製作できる頼もしい専用ICが発売されています。このバッテリを管理してくれる専用ICがあれば安全、簡単にリチウムイオンバッテリ充電器を製作することができます。
「基本回路」について

今回使用したリチウムイオン充電池用の充電制御用ICは、マイクロチップ社が開発販売しているもので、MCP73855というUSBのポートまたは5VのACアダプタなどから電源を供給するタイプの充電用ICです。組み立て後の使用中の外観が下記(使用中のリチウムイオン充電器外観)となります。
使用中のリチウムイオン充電器外観


今回は古い充電用ICを利用しましたが、現在オススメの充電器モジュールは、18650リチウムバッテリー充電器モジュールです。
「専用ICの概要」について

今回使った充電制御用ICM「CP73855」の仕様は下記のようになっています。
| MCP73855の仕様一覧 | ||
| 項目 | 仕様内容 | 備考 |
| 入力電圧範囲 | 4.5V~5.5V | 5Vが前提 |
| 充電用出力電圧 | 4.1V±0.021V または4.2V±0.021V |
Vset端子により切り替え Vset=0Vのとき4.1V Vset=電源のとき4.2V |
| 最大充電電流 | 0.1A~1.2A | PROG端子により切り替え PROG=0Vのとき400mA±75mA PROG=Openのとき85mA±15mA |
| 温度制御 | なし | MCP73853はあり |
| イネーブル機能 | あり | EN端子により制御 |
ICが充電を自動制御してくれる

このICの充電制御の方法は下記(充電のシーケンス)のようなシーケンスになっています。全体のシーケンスが3つの段階に分かれています。このシーケンスで充電を自動制御してくれますので、外部からの制御は何も必要ありません。
充電のシーケンス

電圧と電流を監視とタイマー機能

基本動作としては電圧と電流を監視しながら制御しますが、タイマー機能も内部に持っていて、電圧や電流が期待通りにならなかった場合にはタイマーの時間で制御します。

シーケンスとは、「あらかじめ行わせる動作を順序正しく覚えさせておくこと」で、このICは3つの段階に分けて制御するように設定されています。
【1】第一段階:バッテリーの正常確認

まず電源がオンとなったときバッテリー電圧が、2.8V(Vpth)より高い場合には、この第一段階を省略します。低い場合には、第一段階を実行します。少しの充電電流を流してみて、バッテリ電圧が上昇するかどうかをチェックします。

これでバッテリが正常かどうかを判定します。もし一定時間経っても電圧が上昇しなければ、異常として充電動作を終了します。この時間は、標準では60分15分となっています。
【2】第二段階:充電

バッテリが正常と判定されたら、設定された最大電流(Ireg)の一定電流で充電します。充電で電圧が4.2V(Vreg)に到達したら第3段階に移行しますが、一定時間たっても電源電圧が4.2Vにならない場合には、強制的に第三段階に移行します。この時間は標準1.5時間±0.4時間となっています。
【3】第三段階:満充電

充電が満充電に近づいて電池電圧が4.2Vになったら、今度は充電を定電圧で行うように切り替わります。次第に電流が減少し、規定電流(Iterm)以下になった時点で充電を終了します。

一定時間経っても規定電流以下にならなかった場合には、強制終了とします。この時間は第二段階から合計で3時間±0.8時間となっています。
「回路」について

MCP73855を使った小型充電器を作ってみましょう。データシートにある推奨回路に従って作成した回路図が下記(USB接続充電器の回路図)となります。
USB接続充電器の回路図


PROG端子をオープンにするかグランドに接続するかで充電電流が切り替わりますが、これはUSBの仕様に合わせてあり、ノートパソコンなどの100mA供給のUSBの場合にはオープン側に、500mA供給のUSBの場合はグランド側に切り替えます。
発光ダイオードでの状態表示

発光ダイオードで状態が表示されるようになっていて、下記のような状態表示となります。
発光ダイオードの表示と状態
| 発光ダイオードの表示と状態 | |
| 状態 | LED |
| 充電中 | 点灯 |
| 充電完了 | 消灯 |
| 充電異常 | フリッカ |

MCP73855は小型フラットパッケージタイプなので、プリント基板で製作しています。回路図をベースにして作成したプリント基板のパターン図が、下記となります。
パターン図


基板の実サイズは「28mm×41mm」です。
「部品、組み立て、調整」について
| 部品一覧 | |||
| 部品番号 | 品名 | 型番仕様 | 数量 |
| U1 | 充電制御用IC | MCP73855 | 1 |
| J1 | USBコネクタ | 基板取付け用Bタイプ | 1 |
| LED1 | LED | 赤 | 1 |
| C1 | セラミックコンデンサ | チップ型コンデンサ0.1μF 16V | 1 |
| C2,C3 | セラミックコンデンサ | チップ型コンデンサ10μF 25V | 2 |
| S1 | スイッチ | スライドスイッチ | 2 |
| みの虫クリップ | 赤、黒 | 2 | |
| ビニールコード | 赤、黑 | 少々 | |
【質問】基板に取り付けたスライドスイッチの役目はなんですか?

この回路で組み立てた充電器の基板が下記(基板完成状態)となります。コンデンサには表面実装タイプのチップ型高容量セラミックコンデンサを使いましたので、はんだ面側にはんだ付けされています。
基板完成状態

「調整」について

簡単な回路ですから、はんだ付けさえ間違いなく行えば確実に動作します。充電するバッテリを出力に接続して、パソコンのUSBポートに接続したとき、発光ダイオードが点灯すれば充電動作が始まっています。

デスクトップパソコンの場合には0.4A側に切り替えて充電しても問題ありませんが、ノートパソコンから充電する場合には、0.1A側に切り替えて行った方がよいでしょう。
リチウムイオン電池のプラス/マイナスを間違えないようにして下さい。
この充電器ではニッケル水素、ニッカド電池の充電はできません。
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