「地金の種類/銀(Silver)」のご紹介｜彫金/ジュエリー入門

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今回は、「地金の種類/銀(Silver)」ついてご紹介します。

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彫金で使われる貴金属で、最も多く使われるのは銀です。展性、延性に富み、金、プラチナに比べて安価なことと、作品の仕上げ状態が、磨いて光らせて良し、光を閉じ込めたいぶし(後述)でも良しと、その色味に魅かれる人が多いからです。

純銀は、1,000分比で999.9と不純物をほとんど含まず、シルバーフォーナインあるいは「さら」とも呼びます。電気と熱の伝導率は金属の中では最も大きく、延性、展性は金に次ぎ、1gの銀は2,200mの細線に伸びるといわれています。

ただし、このような特性は金属としては柔らかすぎるため、作品完成後の使用で変形しやすく、純銀のままではあまり装身具に使われません。まれに柔らかさを利用して、石留めの覆輪、飾り物や打ち出しものなどに使われることがあります。

銀の中でも最もポピュラーなものです。1,000分比で純銀を950、銅を50含みます。5%の銅を含んだ銀ということで「5分落ち」とも呼びます。

地金を注文する時の3つポイントをご紹介します。

1. 必要サイズを材料店に知らせる。
2. なまし上がり(焼鈍して柔らかい)か、硬上がり(硬い)かのどちらかを指定する。
3. 見積りを取ることをおすすめします。地金の価格は、その日の相場に連動しますので、代金によるトラブル防止の上からも見積りは必須です。

925銀は、1000分比で純銀を925、銅75んだ素材です。925(キュウニイゴ)とも呼ばれます。950銀より2.5%多く銅が含まれるため、若干硬度も上がります。

925銀の大きな特性に時効硬化(析出硬化)があります。延ばしたり叩いたりしなくても地金が硬くなることです。

その処理方法はいくつもありますが、参考までに2つほどご紹介します。

1. 電気等で40分間くらい、温度を380°C~400°Cに保つ。その後室温で放冷。
2. ≒700℃で5〜10分間焼鈍した後、水中で急冷。これは正確には溶体化熱処理といいます。この硬くなる特性を利用して、スプーンやフォークの首などが使用中の負荷で曲がってしまう弱点が解消されたことが、この銀合金が西洋で花開いた大きな理由といえます。ゆえに、欧米の銀製品は、そのほとんどが925銀(スターリングシルバー)です。

900銀は、1,000分比で純銀を900、銅を100含みます。1割落ちとも呼ばれましたが、純銀が90%入っているという意味の900銀や900のほうが、イメージがよいようで、今はあまり1割落ちとは呼びません。

ドイツの銀製品やクサリは、835銀が多く使われています。品位(性)が落ちるほど錆やすいのですが、ドイツの仕上げ技術はすぐれているので、そのハンディは感じません。

ブリタニアシルバー(958.4銀)は、中世イギリスで銀武器として使われたり、スターリングシルバーの代わりに1697〜1720年まで貨幣として使われたものです。

銀は、時の経過とともに黒く変色するのはよく知られています。純銀でも性落ち銀でも表面が黒くなるのは、大気中の硫化水素(温泉地)や硫化化合物(廃ガス)、水の中では二硫化硫黄などと化学反応をし、地金の表面が硫化したものなのです。

この黒ずむ性質を利用したのが「いぶし(古美ともいいます)仕上げ」です。時を経て自然と黒ずんできた風合いを良しとする日本人の、「わびさび」の審美眼に応える仕上げ技法の一つといえるでしょう。

その方法も、市販のいぶし液を塗るだけですぐ黒くなります。濃淡を付けるのは塗った液を拭き取る手加減しだい、失敗してもやり直しができます。

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