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農具の生産・修理を行う「鍛冶道具一覧」のご紹介|民俗学/古民家を訪ねる旅

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農具の生産・修理を行う「鍛冶道具一覧」のご紹介|民俗学/古民家を訪ねる旅

ご訪問ありがとうございます。
今回は、農具の生産・修理を行う「鍛冶道具一覧」をご紹介します。

骨董・民具・古民家関連サイトマップのご紹介

骨董・民具・古民家関連サイトマップをご紹介します。

農具の生産・修理を行う「鍛冶屋」はなくてはならないもだった

鍛冶道具 農業が社会の中心だった時代、農具の生産・修理を行う鍛冶屋はなくてはならないものでした。かつて鍛冶屋は多くのムラに存在していました。

独立するまでに必要な道具は一通り作ってしまう「鍛冶屋の修行」

鍛冶屋の道具は多種多様です。それこそ作られる製品の数だけ道具があると言っても過言ではありません。昔、鍛冶屋にとって重要な「カナトコ」は、鍛冶屋の修行を成し遂げ、年季奉公(ねんほうこう)を終え、独立する時に師匠から渡されたそうですが、その他の道具は独立するまでに一通り自分で作っていました。

このように自分の手足の代わりとなって使う道具が作れないうちは、一人前の鍛冶屋として認められませんでした。

【年季奉公(ねんほうこう)】鍛冶修行の最後に行うお礼奉公

「鍛冶道具一覧」のご紹介

今回、今ではなかなか見ることが出来なくなったなった鍛治道具の数々をご紹介します。

「鍛冶道具一覧」のご紹介
ホド(火床)
フイゴ(鞴)
イレヅチ(小槌/大槌)
炭掻き・ホドツキ・ジュウノウ
カナトコ(金床)
イレヅチ(小槌/大槌)
火箸(ひばし)
タガネ(鏨)
カヅラハリ
トリグチ
セン/せん鋤(せんすき)
ヤスリ(鑢)
万力
鍛接剤
砥石

ホド(火床)

道具というより場所を指します。火をおこし「フイゴ(鞴)」から送られてきた風を利用して燃料を燃やし、鉄を焼く場所です。火の中からものを生み出すところとして、鍛冶屋では神聖な所とされています。
ホド

火力が強く火持ちがいい「松炭」

燃料は時代とともに変化していきましたが、主に炭を使用していました。特に「松炭」は火力が強く火持ちがいいため「火造り」に向いており、鍛冶屋ではよく使われていました。昭和にはいるとより安く手に入るコークスが主流になっていきました。
【火造り】鉄を熱して、大まかな製品の形に整えること

鍛冶の中で最も費用のかかる「炭」
「鍛冶の会」の方にお聞きした所、鍛冶の中で最も費用のかかるのは「炭」を工面することだそうです。「鍛冶の会」では週3〜4日鍛冶作業を行っているので「炭」を大量に必要とします。鍛冶で利用する「炭」は、火力の高い「松炭」が理想ですが、費用をおさえるためにコースクなど安価な炭も利用しているそうです。

ホド(火床)の形態

ホドの形態は「荒木田(あらきだ)」で壁を作り、そこに直接送風管(羽口)を差し入れて火をおこす「横吹ホド」が一般的です。民家園のホドは地面に鉄の箱を埋め込み、そこに送風管を差し入れて下から風を吹き上げる「箱ホド」を採用しています。

これは強い火力が得られること、ホド全体に平均的に火がおきること、手入れのしやすさなどの理由から使用しています。

【荒木田(あらきだ)】田の土で、古民家の土壁にも使われている

フイゴ(鞴)

フイゴ(鞴)

ホドに風を送り、それによって火の強さを調節する道具です。フイゴは形こそ違うものの、その存在は「日本書紀」にも見られます。次大夫堀公園民家園で使われているようなフイゴを「箱フイゴ」と言います。
最初に確認されている「箱フイゴ」は鎌倉時代から
この「箱フイゴ」が最初に確認されているのは鎌倉時代からです。もっともその頃の絵図に描かれている箱フイゴを見ると、外にせり出している「風回廊(押し出された風を集めてホドに送るところ)」の部分がないただの立方体の箱でした。
空気を押し出す仕組み

空気を押し出す仕組み

内部はポンプのように空気を押し出す仕組みになっています。そして空気を押し出す板には動物の皮、特に「狸の皮」が張られています。これは空気の押し出しを良くするのと、滑りを良くしてスムーズに風を送り出す役割があります。
空気を押し出す仕組み
昭和のフイゴ
また、昭和に入るとフイゴをよりなめらかに動かすために、フイゴの底にガラスを入れるようになりました。鍛冶屋では「足吹き」といって足でフイゴを吹くやり方があります。手より力が入らないため、よりスムーズに動くことが必要不可欠だったからです。

「炭掻き・ホドツキ・ジュウノウ」

これらの道具はホドで使われます。「炭掻き(すみかき)/ホドカキ」はホド(火床)に入れた炭を掻き出すのに使い、「ホドッキ」はホドに火が入っている時に炭をかき混ぜて空気を入れたり、ホドの底にある空気穴にゴミがつまらないように突いたりするのに使い、「ジュウノウ」はホドに炭を入れるのに使います。どれも、火造りを行うにはなくてはならない道具です。
カナトコ(金床)
焼いた鉄を叩く台です。「カナシキ(鉄敷)」とも言います。多くは地金の台に鋼を鍛接(たんせつ)したものですが、中には全て鋼で作られたものもありました。次大夫堀公園民家園で使われているのは地金と鋼を鍛接したものです。

カナトコ(金床)

その他にも「トリグチ」や「カヅラハリ」を立てる台として使用された「ハチノスドコ」と呼ばれるカナトコなどもあります。

イレヅチ(小槌/大槌)

鉄を「叩き」「のばし」「形」を整える道具です。作るものによってイレヅチの大きさが違い、主にヨコザが一人で使う「コヅチ(小槌)」と「サキテ」が両手で使う「オオヅチ(大槌)」などがありました。これらを総称して「イレヅチ」と呼んでいます。
【ヨコザ】サキテに指示を出す人。親方がなる
【サキテ】ムコウウチともいい、ヨコザの指示に従ってイレヅチを振る人。主に修行中の弟子がなる

火箸(ひばし)

焼いた鉄を扱うときに、素手で鉄をつかむことは出来ません。その指先の代わりに使われるのが「箸」です。ハシは形状から「丸箸」「小箸」「平箸」「大箸」の4種類に分類されます。
火箸(ひばし)

ハシを製作してから製品を作る

ハシを製作してから製品を作る
その中で更に作るものの形態や大きさによって様々な形がありました。一軒の鍛冶屋で最低10本以上のハシが必要でした。特殊な製品を作る時は、まずそれにあったハシを製作してから製品作りに入ったそうです。

ハシを製作してから製品を作る

タガネ(鏨)

タガネ(鏨)とは鉄を切る道具、又は文字などの刻印を入れる道具のことを指します。前者は使用用途により名称が様々でした。

中でも大型のものでは斧に似ていて、柄(え)にカマツカ(鎌柄)という木が使われています。柄の先端の中央を割いてその中に刃の部分を入れ込み、割れ込みの両端を鉄の棒で締め上げて刃が落ちないようにしています。
この形状は通常各「サキテ」がいるときに使用され、より正確に鉄を切り落とすことができます。又、一人で使用する「オトシ」と呼ばれるものもありました。これはカナトコ(鉄床)の上に刃をのせ、棒で支えて使用しました。

後者は、打つ文字の大きさなどにより「目打ち鏨」と呼ばれていました。

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カヅラハリ

農具などによく使われる柄と刃の部分をつなぐ鉄輪の「カツラ」を作るのに使われました。まずカヅラハリを「ハチノスドコ」に立て、そこに鉄板を巻き付けるようにして作ります。

カヅラの形状によってカヅラハリも丸いものや四角いものがありました。

トリグチ

カナトコ(鉄床)のすぐ脇に立てたり「ハチノスドコ」に立てて、鉄材を曲げたり切ったりする台です。形が鳥の口に似ているところから付けられた名前で「ツルノクチ」と呼んでいる鍛冶屋もいます。

カヅラハリでは作れない大きな「カツラ」や「タガ」を作るのに使われました。

セン/せん鋤(せんすき)

鉄の表面を削る道具です。火造りの後の「荒削り」やその後の仕上げにも使用しました。刃の両側に付いている「取っ手」を持ち、製品を「マンリキ」などに挟んで削っていきます。

セン/せん鋤(せんすき)

刃の大きさなどによって数種類に分けられ、代表的なものに「トンボセン」「ムラスキ」「タケセン」などがあります。

センは刃を当てる角度が難しく、それぞれの製品に合わせて形良く削るには熟練した技が必要です。

カナトコ(金床)

ヤスリ(鑢)

購入することもありますが、基本的に鍛冶屋は自分たちで作ります。使っている段階によって名称と使い方を変えていきます。作りたてのものを「オロシタテ」、ある程度使い込んで目が減り始めたものを「ツカイナカ」、使い込んで目が無くなってきたものを「オワリカケ」と呼んでいます。

「オロシタテ」は粗目、「ツカイナカ」は中目、「オワリカケ」は細目として使われています。鍛冶屋ではヤスリに限らずどのような道具も最後まで大事に使っています。

万力

鍛冶で使われるのは「立ち万力」と呼ばれる万力で、木の切り株などに設置されています。「ヤスリ掛け」や「セン掛け」の時に製品を挟んで固定するのに使用します。

立った姿勢で作業を行うので、力が入る高さに調節すること、又動かないようにしっかり固定しておくことが重要です。

鍛接剤

鍛接剤とは、鋼と地金を合わせるときに使われる薬品です。鉄臘(てつろう)とも言われ、接着剤の役割を果たします。基本的には硼砂(ほうさ)と鉄粉を混ぜたものですが、鍛冶屋によってその調合の比率を変えたり、他のものを混ぜるなどして独自のものを作り、それらの内容は秘伝としてよその人間には明かすことはほとんど無いそうです。

砥石

「火造り」「荒仕上げ」「仕上げ」を終え、最後に刃を研ぎ出すのに使います。砥石は目の細かさなどにより多くの種類がありますが、大別すると、「粗砥」「中砥」「仕上げ砥」の3種類になります。砥石を使うのに重要なのは、使用する面を常に平らにしておくことです。

使う面がデコボコしていると製品を平均に研ぐことができず、切れるところと切れないところが出てきてしまいます。そうなっては売り物にはなりません。ですので、そうならないために研ぐときはできるだけ大きく平均的に使い、そして使い終わったら必ず手入れをして平らな面を常に保持しておくことが重要です。
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古来の鍛冶屋が再現されている「次大夫堀公園民家園内の鍛冶小屋」

今回ここで紹介した鍛冶道具は代表的なものであり、これが全てではありません。紹介した道具も含めて、鍛冶道具一式は「次大夫堀公園民家園」に復元された鍛冶小屋の中で展示されています。是非本物を見学してみてください。

今回ここで紹介した鍛冶道具は代表的なものであり、これが全てではありません。紹介した道具も含めて、鍛冶道具一式は「次大夫堀公園民家園」に復元された鍛冶小屋の中で展示されています。是非本物を見学してみてください。

又、民家園では鍛冶小屋の維持と運用に協力しているサークルがあり、毎月活動を行っています。そこでは実際に「ホド」に火を入れ、フイゴ(鞴)で製品を作る修行などもしていますので、興味のある方は見学にいらしてください。
世田谷区立次大夫堀公園民家園

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