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建物のシンボル「大黒柱の誕生」についてご紹介|民俗学/古民家を訪ねる旅

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建物のシンボル「大黒柱の誕生」についてご紹介|民俗学/古民家を訪ねる旅

ご訪問ありがとうございます。
今回は、建物のシンボル「大黒柱の誕生」についてご紹介します。

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【大黒柱(だいこくばしら)】とは

家の中央にあって、最初に立てる柱。民家の土間と床上部との境にある太い柱。~岩波書店・国語辞典 第六版より~

「大黒柱」生まれたのは近代から

古民家の、土間と部屋との境の中央にあって、ひときわ目立つ太い柱は「大黒柱」と呼ばれています。住宅の歴史の中で「大黒柱」が生まれたのはそれほど古い時代ではなく、当初は全て同じ太さの柱でした。

太い柱がつくられ、さらに象徴的な呼び名が付けられるようになったのはなぜでしょう?
現在、消えつつある「大黒柱」の誕生までの流れをご紹介します。

日本の住居形式の流れ(竪穴式。平地式・高床式建築)

日本の住宅は縄文時代の頃から「竪穴式」「平地式」「高床式」など様々な住居形式がつくられてきました。
【竪穴住居・平地式住居・高床住居】とは
面を掘り込んで半地下とし、その上に屋根を架けたのが竪穴住居です。穴を掘らずに屋根を架けたのが「平地式住居」。柱を立てて、地面から高い位置に床を設けたのが「高床住居」となります。

竪穴住居というと縄文、弥生時代の住居というイメージがありますが、実際には平安時代の遺跡からも発掘例があります。

特定の柱が、特別の意味を持っていなかった時代
しかし、人類が生存を始めてから住宅を舞台として定着するまでの気の遠くなるような長い期間を含め、原始から古代の住宅において、居住生活そのものの必然性や住宅の構造上の問題として、特定の柱が、特別の意味を持ってクローズアップされてくる場面はありませんでした。

空間の骨格を形づくる「柱」
とはいえ、当時の木造住宅の中心部をつくる構造は「竪穴式」も「高床式」も「掘立柱(ほったてばしら)」であり、しかも数少ない太い柱を「梁(はり)」と「桁(けた)」でつなぐ構法でしたから、内部空間全体に与える柱の影響は勢い大きかったに違いありません。

柱を立てることが「空間の骨格を形づくること」だという意識は十分持っていたであろうと、柱一般に対する畏敬の念はあったのだと推測できます。

「機能としての柱」という認識
しかし、それぞれの柱の太さや長さに際立った差があるわけではないため、使い勝手から、床面の広さや特定の場所など「住宅の平面上に自然にそなわってくる機能を柱が象徴している」という認識で留まっていたのかもしれません。
【掘立柱(ほったてばしら)とは】
掘立柱(ほったてばしら)とは、根元を地中に埋めた柱のことをいいます。「横材」を用いなくとも柱が自立するので組み立てが簡単ですが、根元が腐りやすい欠点があります。

「礎石建て」が主流に
そのため「仏教建築」が導入された後は、礎石の上に柱を立てる「礎石建て」が主流になってゆくことになります。しかし民家の建築では、地域によっては江戸時代まで掘立柱で建てられ、礎石建てのことを「石場建て(いしばだて)」と呼んでいました。

日本建築の基本構造【柱梁桁構法(はしらはりけたこうほう)】について

日本建築の基本的な構造は、木製の「柱」や「梁(はり)」を組み合わせた骨組みをつくるところから始まります。二本の柱の頭に「梁」を架け渡し、それを等間隔に並べます。
【掘立柱(ほったてばしら)とは】
日本建築の骨格「柱」「梁」「桁」
それらが倒れないように、柱の上に「梁」と垂直な方向に「桁(けた)」を渡すと、ようやく建物が自立できるようになるのです。
梁と束の組み合わせ「小屋組」
梁の上には「小屋束(こやづか)」を立て、時によっては何段も「梁」と「束」を積み重ね、屋根の頂上にある「棟木」を支えます。この梁と束の組み合わせを「小屋組」といいます。
「軒」と「軒桁」
棟木から桁(けた)へ「垂木(たるき)」を架けて、屋根を葺きます。屋根の外壁から出た部分を「軒(のき)」といい、この垂木を架ける桁を「軒桁(のきけた)」ともいいます。

日本建築の柱はこうして太くなっていった

江戸時代の民家は、江戸中期までは、広間と二室からなる3部屋の「広間型」が主流でしたが、やがて幕末、明治初期になると「広間型」の広間を「勝手」「広間」に分け4部屋にした「四間型(よつま/四間取り型)」がつくられるようになります。
【四間型(よつまがた)】とは
民家の間取りの形式の一つ。「四間取り型」ともいいます。主に八畳または十畳の部屋を四室「田の字型」に配置し、土間を付けた間取りのこと。

広間と二室からなる「広間型」から広間を二つに区切った「喰い違い四間型」、そして「四間型」が江戸時代中期以降に一般的となったと考えられていますが、実際にはその変遷は地域によって大きく異なります。

江戸時代の民家間取りの変化

江戸時代の民家間取りの変化
間取り名 時代 間取り
広間型 江戸中期まで 広間と二室(勝手と納戸)
喰い違い四間型 江戸中期以降 広間、勝手、納戸、奥座敷
四間型 江戸末期以降 広間、勝手、納戸、奥座敷

江戸時代末期・百姓代の古民家「旧長崎家住宅主屋(世田谷区立岡本公園民家園内)」のご紹介|古民家を訪ねる旅

広間型【江戸時代中期(18世紀末頃)間取り】
旧長崎家住宅主屋(世田谷区立岡本公園民家園内)

【昭和52年(解体時)の間取り】旧長崎家住宅主屋 ナンド 押入、便所1、便所2 チャノマ カッテ 置戸棚、風呂場 デイ 床の間、平書院、戸棚 ザシキ ダイドコロ 置戸棚、ミソ部屋、物置

喰い違い四間型【江戸時代後期(文政10年頃)間取り】
旧長崎家住宅主屋(世田谷区立岡本公園民家園内)

【江戸時代後期(文政10年頃)間取り】旧長崎家住宅主屋

四間型【明治時代初期の間取り】旧長崎家住宅主屋

【明治時代初期の間取り】旧長崎家住宅主屋

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幕末・明治初期の主流間取り「四間形式」の特徴

幕末・明治初期にはほぼ全国で見られるようになった間取り「四間形式」主な特徴は、

【1】土間」と「揚床」部分に大きく分かれ、床上は「田の字型」へ
間取りが「土間」と「揚床(あげゆか)」部分に大きく分かれ、床上は「田の字型」と呼ばれるような整然とした四つの部屋に区画されている。
【2】柱の間隔が長くなり開放的な間取りが生まれる
「内外を隔てる側の柱」の間隔が長くなる(90→180→272cm)
民家の柱は、内外を隔てる側(がわ)まわりが、16〜17世紀頃まで〇.五間(約3尺、約90cm)間隔で柱が立ち、開口部を板戸で塞ぎ、他は土壁というのが普通でした。それが一間(6尺、180cm)に変わり、19世紀には1.25間(227cm)や1.5間(272センチ)の柱間が出現するようになります。
「内部空間を区画する柱間」の間隔が長くなり開放的な間取りが生まれる
一方、内部空間を区画する柱間は一間(6尺、180センチ)が長く続いていましたが、これも幕末期には二間(363センチ)の柱間、つまり部屋境の柱を全部取り払って、文字どおり田の字型に柱が配置される開放的な間取りが生まれるようになります。
【間(けん)】とは
間はもともと柱間の数を数える単位であり、この数で建物の規模を表していました。そのため時代によって、また地方によっても長さが異なります。現在は明治42(1909)年に定められた度量衡法(どりょうこうほう)により、一間=六尺=六十寸=1.8メートル。
身舎(もや)の桁行の柱間の数を表す間と、庇の付く面の数の組み合わせで建物の規模を示す方法を、間面記法(けんめいきほう)といいます。
日本の昔ながらの長さの単位である「尺貫法」
単位 長さ メートル換算
里(り) 36町(12,960尺) ≒ 3.927km
町(ちょう) 60間(360尺) ≒ 109.09m
丈(じょう) 10尺 ≒ 3.03m
間(けん) 6尺 ≒ 1.818m
尺(しゃく) 1尺(10寸) ≒ 30.303cm
寸(すん) 0.1尺(10分) ≒ 30.303mm
(10/33m)
分(ぶ) 0.01尺(10厘) ≒ 3.030 mm
厘(りん) 0.001尺(10毛) ≒ 303.03 µm
毛(もう) 0.0001尺 ≒ 30.303 µm
【尺貫法】間(けん)の長さ換算(尺/メートル)一覧
間(けん)単位 尺換算 メートル換算
1 間 6 尺 1.818 m
2 間 12 尺 3.636 m
3 間 18 尺 5.454 m
4 間 24 尺 7.272 m
5 間 30 尺 9.09 m
6 間 36 尺 10.908 m
7 間 42 尺 12.726 m
8 間 48 尺 14.544 m
9 間 54 尺 16.362 m
10 間 60 尺 18.18 m

中心柱が際立ち、柱の断面を太くする必要が出てくる

以上の結果、田の字型の中心と、土間と揚床境の中心にある柱が際立ってくることになります。さらに、それまでは一間(6尺、180cm)ごとに柱を立てていたものを、中間の柱を省略して、二間(12尺、363センチ)飛ばして柱を配置すれば、一本の柱にかかる荷重が大きくなり、柱の断面を太くする必要が出てきます。

「中央柱」と「畳」との関係

しかし「田の字型」の中央柱は、あまり太くすると敷居からはみ出してしまい、畳の隅を欠かないと納まらなくなってしまうのです。

「中央柱」と「畳」との関係

「隅々で大工をそしるタタミかな」

という川柳があるように、これではみっともない。そこで、田の字型の中央柱は、あまり太くすることができないという問題が浮かび上がります。 中央柱を敷居をはみ出して太くすると畳の隅が欠けてしまいます。

中央柱の「逃げ道」

一方、土間境の中央柱も事情は同じように思われるかもしれませんが、こちらには敷居や畳寄せからはみ出す柱の断面分を「土間側に片寄せる」という「逃げ道」が隠されていました。このようにして、土間境の柱は細部の納まりを気にせずに太くすることができたのです。
一方、土間境の中央柱も事情は同じように思われるかもしれませんが、こちらには敷居や畳寄せからはみ出す柱の断面分を「土間側に片寄せる」という「逃げ道」が隠されていました。このようにして、土間境の柱は細部の納まりを気にせずに太くすることができたのです。

土間側にこの柱をずらします。これを「逃げ」といいます。

大黒柱の「逃げ」が実現できるようになった大工技術(架構法・継ぎ手・加工技術)
日本の木造建築のたぐい稀な発展のうち大きな顕著な点は、構造のシステムである「架構法」と力の伝達システムである「継ぎ手」、仕口の「加工技術」にあります。

これにより大黒柱の「逃げ」も容易に実現できるようになったのです。

大黒柱の誕生

いったん太い柱を立ててみると、その立派さはなかなかの迫力であります。また、折から幕末期、現金収入につながる作物づくりなどの発展により裕福になった庶民は、ますます太い欅(けやき)などを用いて力強い表現をこの柱に与え、この柱に大黒天(恵比寿)を祀り、さらに内部空間の中心としての象徴性を高めていったのです。
大黒柱の誕生

下大黒柱(長者柱)の誕生

こうして、土間と揚床境の中心にあり、床部の表と奥を分ける中心点でもある一本の太い柱を「大黒柱」と呼ぶようになります。そうなるとこの柱は余計太くなり、立派になり、一本では足りなくなり、下大黒柱(長者柱)が生まれることになります。
こちらの柱も太くして、これらを「下大黒柱」「長者柱」と呼ぶこともあります。

こちらの柱も太くして、これらを「下大黒柱」「長者柱」と呼ぶこともあります。

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