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地形や自然環境が与える「世田谷における民家の特徴や立地」についてご紹介|世田谷の歴史

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地形や自然環境が与える「世田谷における民家の特徴や立地」についてご紹介|世田谷の歴史

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今回は、地形や自然環境が与える「世田谷における民家の特徴や立地」についてご紹介します。

骨董・民具・古民家関連サイトマップのご紹介

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地形や自然環境が与える「世田谷における民家の特徴や立地」

東京の世田谷は、関東ローム層で形成されたなだらかな武蔵野台地の東南部に位置します。その地形は、大部分が武蔵野台地の上に広がっていて、ここを流れる香川や北沢・烏山・蛇崩・水無・目黒川などの各水系が台地に深い切れ込みを入れ、また、台地の南側には多摩川下流沿いに開けた沖積層平野が広がり、世田谷特有の地形を生み出しています。
東京の世田谷は、関東ローム層で形成されたなだらかな武蔵野台地の東南部に位置します。その地形は、大部分が武蔵野台地の上に広がっていて、ここを流れる香川や北沢・烏山・蛇崩・水無・目黒川などの各水系が台地に深い切れ込みを入れ、また、台地の南側には多摩川下流沿いに開けた沖積層平野が広がり、世田谷特有の地形を生み出しています。
このような地形や自然環境が、農村地帯であった世田谷の人々の暮らしや生産に影響を与えてきたことはいうまでもありませんが、さらに、民家やそれを取り巻く屋敷環境にも大きな影響を与えてきたといえるでしょう。

今回は、世田谷における民家の特徴を屋敷の立地や環境(屋敷内に建つ付属屋及び屋敷林の配置関係)等も含め、広い観点からご紹介します。

世田谷領と六郷領「六郷用水(次大夫堀)の管理と取水問題」についてご紹介

徳川家康がに江戸へ入府(1590年)する以前の世田谷の風景

近世における世田谷の地勢は、いったいどのようであったのでしょうか。江戸時代後期に編纂された「新編武蔵国風土記稿」によれば、荏原郡世田ヶ谷領の項に
「領中総テ高キ地ニテ山林原野多シ、田畝モ水田ハナクシテ陸田ハ多シ、御入国ノ後ハ年々ニ新墾セシ田地モ多ケレハ、昔ニ比スレハ田数モハルカニカルヘケレト、…」
とあり、徳川家康が天正十八年(1590)に江戸へ入府する以前は、雑木林や原野のままに放置されるところが多く、開発が著しく遅れた場所でした。
とあり、徳川家康が天正十八年(1590)に江戸へ入府する以前は、雑木林や原野のままに放置されるところが多く、開発が著しく遅れた場所でした。

当時の武蔵野台地は、自然の水系に恵まれず、わずかに天水や湧水池沼から出る流水に依存するところが多かったことから、田地も少なく、常に旱害の危険にさらされた土地柄でした。

家康入府後は、急速に開発が進められた「世田谷の地」

家康入府後は、世田谷も急速に開発が進められ、慶長八年(1603)江戸に幕府が開かれて幕藩体制が確立されると、その大部分は天領(幕府直轄地)に組み入れられ、検地や用水開削などの農業振興政策が盛んに実施されていきました。

世田谷地方南部地方南部の村々に多大な恩恵を被る「六郷用水(次大夫堀)の開削」

特に、多摩川の治水工事として行った六郷用水(次大夫堀)の開削は、世田谷地方南部の村々に多大な恩恵を被って、以後の暮らしぶりに大きな影響を与えたと言えるでしょう。
多摩川沿岸で生活する人々にとって重要な水路「次大夫堀(六郷用水)の開削」についてご紹介
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四つに分割支配(天領/大名領(彦根藩井伊領)/旗本・御家人領/寺社領)されるようになった世田谷の村々
さて、この頃の世田谷には、四十ヶ村余り(和泉・岩戸・猪方・駒井村を含む)の村がありましたが、近世初期にはそのほとんどが天領(幕府直轄地)でした。
その後、寛永年間(1624~1643)に入ると、世田谷の村々は、天領、大名領(彦根藩井伊領)、旗本・御家人領、寺社領の四つに分割支配され、以後明治維新まで、ほぼこの体制が続くことになります。
こうした各村は、年貢の負担者でもある本百姓や、小作を行って生活をする水谷百姓などによって成り立っていましたが、それぞれに村方三役(名主、年寄、百姓代)と呼ばれる村役人が置かれて、村の行政一般が行われていました。
「江戸時代の農村(組織と生活)」についてご紹介
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農村に暮らす庶民の家屋敷の地域ならではの違い

こうした農村に暮らす庶民の家屋敷は、周辺の地形や環境、気候風土等によって、その立地場所や屋敷構えに地域ならではの違いが見られました。
それは、その土地それぞれの持つ自然環境から、自分たちの住まい(暮らし)を守っていく必要があったからです。このため、各集落各家屋敷では、様々な自然条件に対応するための工夫がなされ、それらがまた、その村特有の景観を形づくっていました。

厳しい自然との対峙のなかで形成された「世田谷の屋敷環境」

世田谷の古い記録を見ると、風により倒壊した建物の事や、大水で浸水した事などが記されており、世田谷においてもこうした厳しい自然との対峙のなかで屋敷環境を形成して来たことがわかります。

特に、大雨などによる河川の氾濫や、厳しい北風、台風時に吹く強い辰巳の風などは、世田谷の村々に多くの被害をもたらしました。

過去の経験から形成された生活基盤(村地や水田の配置)

このため、古くからその土地で暮らしていた人々は、過去の経験からこうした被害の受けにくい場所(谷戸や谷合、窪地など)に村地を確保し、低湿地(沖積層平野)に水田を開いて、生活生産の基盤を形成するのが常でした。

また、こうした谷戸に接する台地の先端には湧泉がある場合が多かったので、水の利にも良い場所でした。

「未開発地の開拓」と「災害に備えた環境作り」

しかし、近世になって未開発の地が次第に開拓され、河川の治水として堤防の構築や用水の開削が行われるようになると、荒野の真っ只中や台地部にも集落が形成されるようになりました。
このため、屋敷廻りに大木を植えたり高垣を造って大風を防いだり、また、屋敷地、特に建物の建つ部分に土盛りをして浸水から家を護ったりと、様々な手段を工夫して、これらの災害に備えるようになりました。

集落の2つの形態「集村と散村」

集落の形態としては、人家が1ヵ所に集中して集落を形成する「集村」の形態と、人家が密集せず広い地域に散在して集落を形成する「散村」の形態との、2つに大別することができます。
板絵著色大蔵氷川神社奉納絵図(区指定有形文化財)

板絵著色大蔵氷川神社奉納絵図(区指定有形文化財)

上の板絵図は明治七年(1874)に大蔵氷川神社へ奉納されたものですが、これには江戸時代末期から明治時代初期頃の大蔵本村の様子が描かれており、昔日の村の地勢を窺い知ることができます。

世田谷の典型的な農村集落の特徴「集村形態」
これを見ると、村は台地の麓(ふもと)に次大夫堀に沿って拓けていて、その中心に村の「鎮守」や「寺」が建てられ、さらにその廻りに「名主屋敷」や「百姓農家」などの人家が建ち並ぶといった「集村」の形態になっていることがわかります。

こうした姿は、多摩川流域の河岸段丘沿いにおいてよく見ることができ、その大部分が自然発生的な集落として成立したもので、この地域における典型的な農村集落の特徴と言うことができるでしょう。

人家が建ち並ぶ集落の形態を「列村/街村」

人家が建ち並ぶ集落の形態を「列村/街村」

甲州街道烏山宿

また、甲州街道沿いの烏山宿のように、街道に沿って人家が建ち並ぶ集落の形態を「列村」あるいは「街村」と呼びますが、これらもまた集村の一形態に含まれます。このような集落は、街道が整備されることによって計画的に開拓・形成されたものですから、屋敷地に規制を受けることが多く、一般的には短冊型に細長い敷地となっていて、これらが帯状に規則正しく配列されているのが特徴といえるでしょう。

様々な条件(自然/経済/交通など)によって形成される「集落の疎密化」

こうした集落の疎密は、先に述べた地形・気象などの自然的条件に左右される側面も大きいのですが、それと同時に交通・交易関係を含めた経済的条件や、権力的規制、民俗的・文化的要素なども多分に影響を与えていたようです。

そして、こうした村のあり方が、個々の家の屋敷構えにも影響を与え、それぞれに特色のあるものとなって現れていました。

農家の屋敷構えとは(立地条件や配置形式、諸施設など)

村を構成する農家の屋敷構えとは「敷地の形状」から「日照」や「風向き」「地形の高低」「道路との関係」などの立地条件、「屋敷内の建物」や「井戸」「千庭(にわ)」「庭園」などの配置形式、四周を区切る「門塀」や「防風林」「石垣」などの諸施設まで、これら一切が含まれます。

そのため「自然環境」はもとより「集落の形態」「権力」や「経済的条件」などによって、各家の屋敷構えは大きく左右されてくるのです。

世田谷で見られる農家の屋敷構え

世田谷で見られる農家の屋敷構えは「主屋」を中心にしてその前面に広く「庭」を取り、これを取り囲むように「土蔵」や「納屋」「物置」「蚕室」「堆肥小屋」「外便所」「長屋門」などの付属屋を配置し、さらに屋敷の北側から西側にかけては、冬の厳しい北風を防ぐために屋敷林で囲んでいる例が多いようです。

[深沢]秋山家旧屋敷配置図

[深沢]秋山家旧屋敷配置図

農家とって重要な空間「主屋前面の庭」

このうち、主屋前面の庭は、棒打ちなどの農作業を行う場として農家ではとても重要な空間でしたが、主屋にとっても、日照や通風条件を良くするための重要な空間でした。
そのため、常に小石一つ落ちていないように掃き清められ、雨の日などは庭への出入りを禁じたり、冬期には霜で庭が荒れるのを防ぐために莚を敷き込んだりする程の気の遣いようでした。

そして、その廻りに付属屋を配置することは、農作業をする上でより機能的であり、さらに強い風が直接主屋や庭へ吹き込まないための工夫にもなっているのでしょう。

世田谷南部の多摩川流域の村々の工夫

また、世田谷南部の多摩川流域の村々では、多摩川から国分寺崖線に向かって吹き上げて来る強い南風や、夏季の強い日差しを防ぐために、南側沿いにも木々を植えてこれを並木や高生垣にしている家が多く見られます。

多様な目的を兼ね備えた「植えられた樹木や植物」

この場合、冬期の日照条件も考慮して、などの落葉樹を植えるのが一般的でしたが、瀬田2丁目の長崎家のように高垣(高クネ)とする場合には、樫などの常緑樹が植えられました。

この場合、冬期の日照条件も考慮して、などの落葉樹を植えるのが一般的でしたが、瀬田2丁目の長崎家のように高垣(高クネ)とする場合には、樫などの常緑樹が植えられました。

この外、屋敷内には「竹」や「茶の木」「生り物(なりもの)」と呼ばれる木々(柿、梅、栗)なども多く植えられ、その一部は市場へも出荷されていました。このうち「竹」は、建築用材や生活用具(篭や漁労具)の材料として、また、若芽は筍として食用ともなり、とても需要の高い植物でした。
そして、こうした屋敷内や屋敷廻りに植えられた樹木や植物は、単に「風塵」を防ぐだけではなく「防火」や「防盗」「防寒」あるいは「洪水の勢いをそぐ」のにも役立ち、また、落ち葉は「堆肥」にしたり、年経たものは「家作の材」として利用するなど、多様な目的を兼ね備えていました。
人為的に構築されたものによって変わる「樹木の選定」
一方、こうした自然条件による要因とは別に、人為的に構築されたものによって、各家の屋敷構えに影響を与える場合もありました。街道を中心に形成された「列村」などはその例で、一般的には間口が狭くて奥行きの深い、短冊状の敷地となっているため、必然的に建物の配列は決められてしまいます。
しかし、こうした場合にも街道沿いには「欅」や「杉」などの並木が、また、屋敷境には境界争いが起こらないように、あまり根の張らない「樫」などが植えられ、各家や道行く人々にも樹木が有効な役割を果していました。
[松原]柵木家旧屋敷配置図

[松原]柵木家旧屋敷配置図

様々な功用をもたらしてくれる「屋敷林」

このように、様々な用途を持つ屋敷林は、各家屋敷にとって無くてはならないものでしたが、その家のためばかりではなく、単調な平野の景観に変化と適切なかげりを与え、また、緑が人の心をなごませたり、空気を清浄に保つ役割を担うなど、間接的にも様々な功用を持っていました。

そして、こうした樹木を含む屋敷構えが独特の景観を創り出し、世田谷の農村の原風景を生み出してきたといえるでしょう。

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