トレリス(Trellis)フレーム‐イタリアンスポーツバイクを象徴する構造

「トレリス(Trellis)フレーム」は、イタリアンスポーツバイクを象徴する構造であり、機能と美の両立を体現したフレーム形式です。以下では、その構造・歴史・特徴・代表車種を体系的にご紹介します。
🧱 トレリスフレームとは?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称の由来 | “Trellis”=英語で「格子状の構造」「編み目」を意味。 |
| 基本構造 | 細い鋼管を三角形(トラス構造)に組み合わせた空間フレーム。 |
| 素材 | クロモリ鋼(Cr-Mo合金鋼)やステンレス鋼が主流。 |
| 設計思想 | 「剛性の分散としなやかさの両立」。すべての力を一点に集中させず、全体で支える構造。 |
🔩 トレリス構造の仕組み(概念図)
側面図(トラス構造イメージ)
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| ●(エンジン) |
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・細い鋼管を三角形に溶接 → 各方向からの荷重を分散。
・エンジンはフレームの一部(ストレスメンバー)として機能。
・「強いのにしなる」=操縦感覚が自然で疲れにくい。
⚙ トレリスフレームの特徴
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 構造的特徴 | – 三角構造で剛性バランスが均一– 局所的応力集中が少なく、長寿命 |
| 走行特性 | – しなやかにたわみ、コーナリング中の情報伝達が自然- 高速安定性よりも“ライダー感覚”を重視 |
| 整備性 | – 構造が開放的で、エンジン脱着が比較的容易 |
| デザイン性 | – 機械美に優れ、外装デザインの一部として魅せられる |
| 製造 | – 溶接箇所が多く職人技が必要。手作業中心でコスト高。 |
🏍 歴史と進化
| 時代 | 主な動向 |
|---|---|
| 1970年代後半 | Bimotaが軽量チューブラーフレームを採用。 |
| 1980年代前半 | Ducatiがレーサーでトレリス構造を採用開始。 |
| 1994年 | Ducati 916で完成形に到達(美と機能の融合)。 |
| 2000年代 | Monster/999/1098シリーズで量産化。 |
| 現代 | Panigaleシリーズでモノコックへ移行するも、デザインモチーフとして継承。 |
🏁 代表的な採用車種
| メーカー | モデル | 備考 |
|---|---|---|
| Ducati | 916/Monster/999/Hypermotard | 代表的ブランド。ドゥカティ=トレリスの代名詞。 |
| Bimota | KB1/DBシリーズ | 高精度クロモリチューブで軽量化を極めた。 |
| KTM | Duke/RC8/Adventure | スチールトレリス+WPサスで剛柔バランスを最適化。 |
| MV Agusta | Brutale/F4 | デザインと剛性の両立。後期モデルは部分トレリス構造。 |
| モトグッツィ | V7/Le Mans | クラシックスポーツ構造として採用。 |
📊 他構造との比較
| フレーム形式 | 剛性 | 重量 | デザイン性 | 製造コスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダブルクレードル | 中 | 中 | 伝統的 | 低 | 安定・整備性良 |
| ツインスパー(アルミ) | 高 | 軽 | 工業的 | 中 | スポーツ走行向け |
| モノコック | 最高 | 最軽 | 近未来的 | 高 | MotoGP・高価格帯 |
| トレリス | 高(しなやか) | 軽 | 芸術的 | 高 | 職人技が要 |
🎨 トレリスの「美」
まとめ
・工業的効率よりも「ライダーとの一体感」を重視する感性派フレーム。
・その編み目は、まるで“鉄で描かれた詩”のように、今なお多くのファンを魅了しています。
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