第10回『ロードランナー』と『ナッツ&ミルク』の発売『ファミコン』初のサードパーティの誕生(その1)
今回は『ロードランナー』と『ナッツ&ミルク』の発売『ファミコン』初のサードパーティの誕生 をご紹介します。
『ハドソン』はいよいよ『ファミコン』ゲームの開発を開始する。
社運をかけた『ゲームソフト』として選択したのが、
『ロードランナー』と『ナッツ&ミルク』なんだよ。
でも、なぜ『ハドソン』は、この2本のゲームを選んだの?
『ハドソン』がどのようにして、この2本のゲームを選んだのかを見ていこう
『ハドソン』は、なぜ『ファミコン』デビュー作に『ロードランナー』と『ナッツ&ミルク』を選んだの?
『ハドソン』のゲーム選定会議
それでは『ファミコン』で発売するゲームは、何にしましょう
うーん、そうだなー
我社初の『ファミコン』ゲームで、失敗するわけにはいかないからな
第1弾のゲームで転けたら会社が傾いちゃいますものね。
そうなんだ『ファミコン』の参入には、我社の命運が掛かっているからな
気合いれていきましょう
まず『ファミコン』初のゲームは、2本立てでいこうと思うんだ
2本立てですか?
そう、1本のゲームが失敗しても、もう1本が成功すればいいからね
リスク分散ってことですね。
そう、そして1本は『札幌』の『開発チーム』が『ナッツ&ミルク』を制作する予定だから
あとは『東京』の『開発チーム』が何をつくるかだな。
今回の『ゲーム開発』は
はじめづくしだし、開発期限も厳しいからな
ゲームの制作は、1月にはじめて3月には、完成していなくてはならない
ということは、開発期間は、2ヶ月半しかないということですね。
そう、4月からは営業活動をしなければならないからな、
だから3月完成は必須なんだよ。
それに『ファミコン』の『ゲーム開発』は、はじめてのこと
どんな不測の事態が起こるかわからないからね
しかも『ファミコン』のCPUは、日本ではあまり普及していない、CPU『6502』だからな。
もっとも確実に開発するなら、
CPU『6502』の『パソコン』で、大ヒットしているゲームを『移植』することが確実だよな。
たしかにそうですね。
CPU『6502』の『パソコン』といいますと、
日本ではあまり普及してませんから、海外の『パソコン』になりますね。
海外でCPU『6502』を搭載していて、人気のある『パソコン』と言えば
『アップル社』の『AppleII』とか
『コモドール社』の『コモドール64』とかですかね
そうだな、
あの『パソコン』は『ゲームソフト』も豊富に揃っているしな。
それなら『AppleII』か『コモドール64』で大ヒットしているゲームで
しかも『ライセンス』が獲得できそうなゲームってないかな。
そういえば『ブローダーバンド社』のゲームは、比較的『ライセンス』が獲得しやすいですよ。
あの会社なら、いろんなゲーム会社に『ライセンス』を販売してますから版権交渉はしやすいと思います。
なるほど『ブローダーバンド社』ねー、いいかもしれないな
それで、あの会社でヒットしているゲームって何があるのかな
そうですねー
例えば『チョップリフター』とか『スペランカー』
後『ロードランナー』なんかがありますね。
『ロードランナー』?
はい、『ロードランナー』は
『AppleII』や『コモドール64』で大ヒットしています。
そういえば、あのゲームは、社長の友達がハマっていたよな。
社内でも、遊んでる人がいますし
『ロードランナー』はすごく面白いですよ。
『ファミコン』で遊べたら最高ですね。
なるほど『ロードランナー』ねえ、いいかもしれないな
・・・
あのー『ロードランナー』を『ファミコン』に『移植』しませんか
きっと、大ヒットしますよ
そうだな、いいかもしれない
それに、あのゲームの『ライセンス』を獲得できれば『ソースコード』も手に入るぞ。
そうすれば『ファミコン』と同じCPUの『6502』だから
ゲームの『移植』が、簡単にできるかもしれないな。
それは、いいですね
面白いゲームで、しかも『移植』が簡単にできるって
『一石二鳥』じゃないですか
よーし、それじゃー『ロードランナー』で勝負しよう
わかりました、では早速、アメリカの『ハドソンUSA』に相談して
『ブローダーバンド社』への『ライセンス交渉』をしてもらいます。
『ハドソン』『ファミコン』デビュー作は2本立てで決定
ということで『ハドソン』の『ファミコン』の第1弾のゲームは、
『ナッツ&ミルク』と『ロードランナー』に決まったんだ。
『ハドソン』が、2本立てにしたのは
どちらかの1本のゲームが失敗しても、もう1本がヒットすればいいという理由だったんだね。
そうなんだよ
そして『札幌』の『開発チーム』が『ナッツ&ミルク』を担当して
『東京』のチームが『ロードランナー』を『移植』することになったんだよ。
もし『ロードランナー』の『ライセンス』が獲得できなくても
『札幌』の『開発チーム』のゲームが発売できるからね。
『ロードランナー』を選んだのは『移植』しやすいから?
それに『ロードランナー』を選んだのは、
『ファミコン』のCPUと同じ『6502』を搭載した『パソコンゲーム』なら『移植』がしやすいという理由もあるんだね。
そうなんだ、
同時アメリカで大ヒットしていた『パソコン』は、
『アップル社』の『AppleII』や
『コモドール社』の『コモドール64』などがヒットしていて
CPUには『6502』を採用していたんだよ。
日本では『Z80』や『Intel製』のCPUが採用されることが多かったからね。
『ロードランナー』の生みの親『ダグ・スミス』
それと、『ロードランナー』って『ハドソン』の『オリジナルゲーム』じゃないんだね。
そう『ロードランナー』は、
アメリカの『ゲーム作家』である『ダグ・スミス』さんが制作して、『AppleⅡ』で大ヒットした『アクションパズルゲーム』なんだよ。
そして、アメリカの『ブローダーバンド社』が『ライセンス』を保有しているんだよ。
ということは
『ハドソン』が『ブローダーバンド社』から『ライセンス』を取得できれば『ファミコン』で発売できるってことだね。
それで『ハドソン』は、『ロードランナー』の『ライセンス』を獲得するために
『ブローダーバンド社』との交渉に乗り出すんだ。
当時、『ハドソン』にはアメリカに『ハドソンUSA』という、アメリカ支局があったんだ。
そこで『ハドソンUSA』が版権交渉のため『ブローダーバンド社』に訪問するんだ。
『ハドソンUSA』と『ブローダーバンド社』との『ライセンス交渉』
『ハドソンUSA』担当者
『ブローダーバンド』さん、今度弊社が発売します、日本の『家庭用ゲーム機』で
御社の『ロードランナー』を使用させて頂きたいのですが
如何でしょうか
・・・
オーケー
日本の『家庭用ゲーム機』に、弊社の『ロードランナー』を『移植』することは構いません
そのかわり、ゲーム1本につき1ドルの『ロイヤリティー』と
そのゲームが完成したら、弊社にそのゲームを見せてください。
それが、同意頂けるのなら契約しましょう。
ありがとうございます、その条件なら問題ないです。
オーケー、それならすぐ契約手続きをはじめましょう。
こうして、『ロードランナー』の『ライセンス』契約が成立したんだよ。
『ブローダーバンド社』とは
ちなみに『ブローダーバンド社』ってどんな会社なの
『ブローダーバンド社』は、
1980年にアメリカで設立された、『ゲームソフト』などを販売している会社なんだ。
この会社は、多くの優秀なゲーム作家と共同企画をして、それを販売するというビジネスをしていたんだよ。
『ブローダーバンド社』が契約していた有名なゲーム作家としては
『チョップリフター』の作者『ダンゴーリン』さん
『ロードランナー』の作者『ダグスミス』さん
そして『バンゲリングベイ』は『シムシティ』の作家としても有名な『ウィルライト』さんなどが契約していたんだよ。
その後『ハドソン』は
『チャンピオンシップロードランナー』や『バンゲリングベイ』もこの会社から『ライセンス』契約受けて『ファミコン』から発売することになるんだ。
おー、懐かしい、『バンゲリングベイ』
今回はここまで、
次回は、
『ブローダーバンド社』との『ライセンス』契約も無事に完了し
いよいよ『ロードランナー』の開発をはじめる『ハドソン』
『ロードランナー』の移植を担当したのは、
『ハドソン』の『エースプログラマー』の『中本』さん
『ソースコード』からの移植で簡単に、開発できると思っていた『中本』さんに
大きな壁が立ちはだかる・・・
ご閲覧ありがとうございました。