第8回『ハドソン』『資金』集め大作戦 – 『ハドソン』の『ファミコン』参入物語
今回は、
『ハドソン』『資金』集め大作戦 をご紹介します。
『資金』集め大作戦？
そう『ハドソン』は『任天堂』との交渉も無事に終わり
『ファミコン』のゲームの発売に向けて動き出すんだ。
しかし、ここで大きな問題が『ハドソン』の前に立ちはだかる
問題？
そう、それは『ゲームソフト』の『製造資金』なんだ。
『ゲームソフト』の『製造資金』？
そうなんだ
『ハドソン』『資金』集め大作戦の動画も公開していますので、
是非御覧ください。
『ハドソン』『ゲームソフト』の『製造資金』どうしよう
『ハドソン』の社内会議
社長『任天堂』さんとの交渉はうまくいったみたいですね。
そうだな、『任天堂』さんから、我社の『ファミコン』のゲームの発売は喜ばしいことだと言われたよ。
販売手数料を『任天堂』さんに支払えば
『ゲームソフト』は、いつでも発売可能だよ。
よかったですね。
開発環境の準備も終わってますから
いつでも制作開始できますね。
そうだな
それじゃ、すぐに開発をはじめましょうよ。
まあ、開発は進めてもらっていいんだけれど
ひとつ問題があるんだよ
問題ですか？
そう
実は、ゲームROMの製造なんだ。
ROMの製造ですか？
そう『任天堂』さんとは、ROMの製造については
我社が発売する『ゲームソフト』は『任天堂』の自社工場で製造してもらうことになるんだけど
ROMの『製造費用』の半金を、先に『任天堂』さんに支払わなければならないんだよ。
たしかに『ゲームソフト』の『ROM製造』の自社製造は無理ですからね。
『任天堂』さんに製造を受け持ってもらうことはいいと思うんですけど。
何が、問題なんですか？
それがだな
・・・
『ROM製造』の『資金』なんだ
『ROM製造』の『資金』？
そう
『パソコンソフト』の場合、1万本くらいの販売本数だから
ソフトの『製造費用』といっても、そんなに費用はかからないんだよ
そうですね
しかし『ファミコン』の場合は、30万本以上も売れているんだよ
それは、いいことじゃないですか
まあ、何十万本も売れることはいいことなのだけど
我社で『ファミコン』のゲームを発売した場合も
30万本は売れるという予想ができるんだよ
30万本も売れるってすごいですね。
まあ、そうなんだけど
問題は、ROMを製造するために、あらかじめ30万本以上の製造『資金』を用意する必要があるってことだよ。
あー、そういうことですか
ということは、我社は同時に2本発売する予定ですから
ゲーム１本の販売本数を30万本とした場合には
30万本掛ける『2』ということで
60万本分の『製造費用』が必要になるってことですね。
そうなんだよ
それに、ゲームを発売する時には、広告費も必要になるからね
そうでしたね。
そうなると・・・
そう『ファミコン』のゲームを発売する前に、数億円の『資金』が必要になるんだよ。
ひえー
そして
我社にはそんな『資金』は
ない
・・・
社長、どうしましょう
とりあえず、『銀行』さんに融資してもらえるかどうか聞いてみるしかないな。
そうですか
開発チームは、予定通り『ファミコン』のゲーム制作をすすめてもらって
その間に、我々が『銀行』さんへ『追加融資』の交渉をしてみることにしよう。
わかりました、社長、宜しくお願いします。
『ファミコン』参入時の『資金の壁』
ということで『ハドソン』は『資金』集めに奔走することになるんだよ。
『ハドソン』は『任天堂』との交渉で、
『ファミコン』の『ゲームソフト』の製造を『任天堂』に委託することになるんだけど
『ゲームソフト』のROMの製造工場を持ち合わせていない、
『ハドソン』にとってはありがたいことではあるんだけど
問題は
『ゲームソフト』を発売する前に、ゲームROMの『製造費用』を事前に用意しておかなければならないんだよ。
『資金』繰りが大変そうだね
『ハドソン』は『パソコン業界』で名を知られているとは言え、当時はまだ小さな中小企業
数億円の『資金』を用意することは、容易なことではなかったんだよ。
こうして『ハドソン』はゲームを発売する前に、数億の現金を用意しなければならなくなったんだ。
これは、後に『ファミコン』に参入するゲーム会社にとっても、
大きな障害になるんだよ。
大変そうだね
資金繰りで苦労した『エニックス』『スクウェア』
大企業なら『資金』は簡単に用意することができるけど、
中小企業の場合、数億の『資金』を用意することは、簡単なことではないんだよ
その後『ドラゴンクエスト』で成功した『エニックス』や『ファイナルファンタジー』をヒットさせる『スクウェア』も
ゲームがヒットするまでは『資金』繰りには相当苦労したんだよ。
中小企業にとって『ファミコン』に参入することは、
ゲームの大ヒットで、大きな成功を収めることができる一方で
失敗すると、会社が消滅してしまうような、大きなリスクを抱えることでもあるんだよ。
『ファミコン』に参入するといことは、会社の命運をかけて、清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟が必要なんだ。
『ハイリスクハイリターン』の世界だね
『ハドソン』と『銀行』の交渉
そして『ハドソン』は、かねてから取引のある『銀行』を訪問する。
『ハドソン』と『銀行』の融資担当
『ハドソン』さん、わざわざご足労をおかけしまして申し訳ございません。
H『銀行』さん、この度は、お時間を頂きまして誠に有難うございます。
ご相談したいことがあるとお聞きしたのですが、どのようなご用件でしょうか
はい、今回、お時間を頂きましたのは
弊社が、新しい事業に進出するにあたりまして
『追加融資』についてのご相談なんですよ。
新しい事業の『追加融資』ですか？
はい、そうなんです。
御社もご存知のように弊社は『パソコンソフト』の開発や販売を行っております
それに、家電大手の『シャープ』さんにもひいきにさせて頂いており
おかげさまで、順調に業績を伸ばしてきました。
そうですね、喜ばしいことです
今もパソコン市場は大きく成長しているのですが
それよりも、もっと大きく成長している市場があるんですよ。
ほう、それはなんですか。
『家庭用ゲーム市場』です。
『家庭用ゲーム市場』ですか
はい
あのー
『任天堂』の『ファミリーコンピューター』はご存知でしょうか
はて？新聞にはよく記事がでてますが
どうも、子どもたちの間で人気があるとか
そうなんです。
弊社は、これから『家庭用ゲーム市場』が、大きく成長すると予想しているんですよ。
なるほど
それで『任天堂』の家庭用ゲーム機からソフトを発売しようと思っているんです。
ほう、『任天堂』さんの
はい、先方とは、すでにライセンス契約を締結しておりまして
開発体制の準備も整っております
いつでも、ソフトを発売できる状況なんですよ。
それは、喜ばしいことですね。
それで、御社にご相談なのですが、
御社とは弊社の創業時からお世話になっておりますし
現在も融資頂いております。
そこで、新しい『家庭用ゲーム市場』への参入のために
『追加融資』をお願いしたいんです。
『追加融資』ですか？
はい『任天堂』さんから『ゲームソフト』を発売するには
事前にソフトの『製造費用』と『広告費』が必要になるんですよ。
なるほど
弊社の『ファミリーコンピューター』のゲーム発売は
7月を予定しているのですが
ソフトの『製造費用』として、5月までに
●億の融資をして頂きたいんです。
●億ですか？
・・・
いやーしかし
申し訳ないのですが、5月までにこの金額の融資は
難しいかもしれませんよ
難しい？
はい、弊社はご存知の通り、融資するにはそのための担保が必要になります。
担保ですか？
申し訳ないのですが、
御社の現在の担保ではこの『融資金額』は、社内決裁が下りない可能性があります。
そうですか
たしかに、弊社はソフト会社ですから、
不動産のような担保は持ち合わせていませんからね。
そうなんです、大変申し訳ないんですけど。
御社の要望する『追加融資』をしたいのはやまやまなのですが
担保がなければ、社内決裁を通すことは難しいですよ。
そうですか
それは、困りましたね
うーん
・・・・・・
ということは『追加融資』がみこめる担保があればよいということですか
まあ、そうですね。
それでは、これはご相談なのですが
・・・
『追加融資』の金額を確実に回収できることが、弊社から証明できる書類みたいなものがあれば
『追加融資』の審査をして頂けますでしょうか
まあ、そうですね
例えば、御社が制作されております『ゲームソフト』の、受注金額の証明などがありましたら
弊社の融資審査の対象として、手続きを進めることも可能かと思います。
そうですか
例えば、どのような書類があれば宜しいのでしょうか
そうですね
・・・
例えば、販売先から御社への『注文書』などがありましたら
御社の売上が見込めると解釈できますので、弊社の審査を通すことが出来るかもしれません。
そうですか
弊社の『ゲームソフト』は３月に完成する予定ですので
4月の半ばまでに販売先から受注した『注文書』を、御社に提出させて頂ければ
『追加融資』の担保として、審査の対象にして頂けますでしょうか
それは、可能だと思います。
取引先に対しての『融資金額』に見合う『受注金額』が、証明さえできれば
それを、担保として『追加融資』は可能だと思います。
そうですか
わかりました、それでは御社の融資に見合う『注文書』を提出させて頂きます
わかりました。
それなら、私が社内を説得してなんとか、融資に持っていきましょう。
ありがとうございます
それでは、また『受注書』を持参してお伺いします。
と言うことで『ハドソン』と『銀行』との融資交渉はいったん終了するんだ。
ということは、『銀行』さんは現在の『ハドソン』の資産では、『追加融資』できないけど
『ハドソン』が、将来確実に見込めるという売上の証明ができれば
『銀行』から『追加融資』してもらえる可能性があるってことかな？
そういうことだね。
今回はここまで、
次回は 『ハドソン』は『銀行』から売上見込が証明できる『受注明細』があれば
『追加融資』かもしれないという、条件を引き出すことに成功する。
『ハドソン』は『社運を賭け』
『ファミコゲーム』の受注活動に奔走することになる。
『ハドソン』は、無事『追加融資』を獲得することができるのか・・・
ご閲覧ありがとうございました。
『ハドソン』のファミコン参入物語シリーズ
