第6回『ファミコン』初の『サードパーティ』誕生 – 『ハドソン』の『ファミコン』参入物語
今回は、
後に歴史的な出来事になる、『ハドソン』と『任天堂』の『ライセンス交渉』
そして『ファミコン』初の『サードパーティ』誕生
をご紹介します。
1983年の冬『ハドソン』は『ファミコン』の『開発環境』も整い、
いよいよ『任天堂』との『ライセンス交渉』に臨むことになる。
この『任天堂』との『交渉』が、
それ以後『家庭用ゲーム機』の30年以上にものぼる『ビジネスモデル』になるとは
『任天堂』にとっても『ハドソン』にとっても思いもよらないことだった。
『ハドソン』と『任天堂』の交渉
『ハドソン』と『任天堂』は、
『シャープ』の仲介で『ファミリベーシック』の開発を行っていることもあり
『ファミコン』のゲームソフト発売についての交渉の場を設けることは、予想以上にスムーズに行われたんだ。
『ハドソン』は『任天堂』との交渉のため、『任天堂』の本社に訪問することになる
『任天堂』の本社での『ハドソン』と『任天堂』の交渉
『任天堂』さん、この度は、お時間を頂きまして誠に有難うございます。
いえいえ、『ハドソン』さん、
わざわざ『札幌』から『京都』までご足労をお掛けしてしまい申し訳ございません。
御社からの事前のお電話で、
ご用件はお聞きしているのですが
なんでも、弊社の『ファミリーコンピューター』の『ゲームソフト』を開発したいとのことで。
そうなんですよ。
弊社は、すでに御社の『ゲームソフト』を制作できる環境も準備できているんです。
そうですか、さすが『ハドソン』さんですね
それで、あらためてご相談なのですが
・・・
是非、御社の『家庭用ゲーム機』のソフトを開発させて頂けないでしょうか
うーむ
それは、問題ありませんよ。
そうですか、ありがとうございます。
弊社の『家庭用ゲーム機』のソフトを制作頂くということは、ありがたいことです
うーん
・・・
そうなりますと、御社に少しご相談があるのですが
と言います
・・・
我社の『ファミリーコンピューター』で、『ゲームソフト』を発売して頂くとなると
少しばかり、『ゲーム機本体』の使用料として、
『ゲームソフト』の販売本数に応じた手数料を頂きたいのですが
そのへんは、いかがでしょうか
もちろん、それはかまいませんよ
・・・
それで、いかほどの『手数料』でしょう
そうですね
・・・
これくらいでは、どうでしょう
うーん
・・・
わかりました、それなら『手数料』をお支払いしましょう。
ありがとうございます。
それでは、契約成立ということで。
はい、宜しくお願いします。
・・・
あ、そうそう
あと一つ『ゲームソフト』を販売する上で『解決』しておきたいことがあります。
なんでしょうか?
はい、弊社の『ファミリーコンピューター』の『ゲームソフト』は、自社内の工場で生産させて頂いているんですよ
そのために『ゲームソフト』であるROMの製造が必要になりますので
御社と弊社とで『ゲームソフト』のROM製造について、条件を話し合う必要がございますね。
『ゲームソフト』のROM製造ですか?
はい、恐らく御社は『ゲームソフト』の製造工場は、持ち合わせておられないと思いますので
弊社のほうで、製造させて頂くことになりますから。
それに、製造後の販売先についても、
弊社は、長年玩具業界で商いさせて頂いておりますので、
『ハドソン』さんに、販売先をご紹介させて頂くことも可能だと思います。
それは、ありがたいですね。
・・・
そうなりますと、ROMカセットの製造費用をどうするのかを決める必要があります
ROMカセットの製造費用ですか?
はい、御社の『ゲームソフト』を製造してから、製造費用を頂くのでは、ちょっと弊社の社内調整が難しそうなんですよ。
なるほど
それで、御社にご相談なのですが
・・・
御社が発売するゲームソフトの製造本数費用の『半金』を先に頂きまして
それから、ROMカセットの納品時に残りの『半金』を頂くかたちは、如何でしょうか?
なるほど。
・・・
わかりました、そうしましたら、その条件で弊社は『ゲームソフト』を発売させて頂きます。
こうして、『ハドソン』の『ファミコン』への参入が決定したんだ。
『ファミコン』初の『サードパーティ』が誕生した瞬間だね。
『任天堂』と『ハドソン』の契約条件とは
この時、『任天堂』と『ハドソン』が、契約をかわした『条件』とは、
『ハドソン』から『ファミコン』用のゲームソフトを、制作してもかまわないということ
ゲームソフト1本につき『任天堂』に手数料を支払うこと
そして、制作したゲームソフトは『任天堂』が製造し、
製造費用は、製造前にゲーム本数の『半額』を支払うこと、
そして、残りの費用は、製造後に支払うという条件だったんだ。
『任天堂』から『ハドソン』が何のゲームを作る予定なのかなどは、全く問われなかったんだ。
『任天堂』は『サードパーティ制』を考えていなかった?
『ハドソン』との交渉は、
『任天堂』にとっては
『ファミリーコンピューター』の発売した頃は、自社のみで『ゲームソフト』を発売してゆく予定だったため、
『ハドソン』から突然
御社の家庭用ゲーム機のゲームソフトをつくらせて下さい
との提案は『寝耳に水』の出来事だったんだ。
そのため、『任天堂』は、他社からの『ファミコン』参入については、まったく想定していなかったんだよ。
『ハドソン』の勝ち取った有利な条件とは?
そのため、1番最初に『ファミコン』参入に手を上げた『ハドソン』は、
有利な条件で『任天堂』と契約を結ぶことができたんだよ。
有利な条件?
そう『ハドソン』が、後に参入する会社より、有利に働いた条件は、主に『2つ』あるんだ
一つは、『任天堂』へのゲームソフトの『手数料』を低く抑えることが出来たこと。
二つ目は、年間に発売できるゲームソフトの『本数制限』がなかったことなんだ。
その後『任天堂』は、ゲーム会社に年間本数の制限など、『ファミコン』のゲームを発売するには、厳しい制限が取られてゆくことになるんだよ。
『ファミコン』の『黄金時代』がやって来る
そして『ハドソン』の参入を見ていた
『アーケード業界』の『雄』である『ナムコ』も『ファミコン』の独自解析によって
『ファミコン』に参入することになるんだよ。
ゲーム会社の『タイトー』や『コナミ』『アイレム』そして、『ジャレコ』なども追随し
その後、多数の会社が『ファミコン』に参入してくるようになるんだよ。
そして『ハドソン』を皮切りに『サードパーティー』が参加し始めた、1984年以降『ファミコン』のゲームの発売本数は急上昇。
こうして『任天堂』の『ファミリーコンピューター』は、黄金時代を迎えることになる。
1983年冬の『ハドソン』と『任天堂』との交渉が、
それ以後の30年以上にものぼる『家庭用ゲーム機』の『ビジネスモデル』をつくったんだよ。
歴史の『if』、『任天堂』との交渉が決裂していたら
ねえ、これはあくまでも『仮説』なんだけど
もし『任天堂』との交渉が『決裂』していたらどうなっていたんだろうね
もし、『任天堂』が『ファミコン』のゲーム制作は自社のみで行い
他社のゲーム発売は認めないとなった場合
どうなっていたんだろうね
そうだね、これは歴史の『if』だけど。
もし、『ハドソン』と『任天堂』との交渉が決裂した場合、
どうゆう世界になっていたのかをイメージしてみるのも面白いかもしれないね
今回はここまで、
次回は、
歴史の『if』
『任天堂』との交渉が決裂していたら、
その後の『家庭用ゲーム機業界』はどうなっていただろう?
天下人は『ナムコ』か、それとも『セガ』か・・・
ご閲覧ありがとうございました。