第2回『ゼビウス』『ディグダグ』サウンドの生みの親『慶野由利子』-『ナムコサウンド・音楽』の魅力
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今回は、いよいよ
『慶野由利子』さんの
1980年はじめ頃の『ナムコ・サウンド』制作についての証言 を見ていくことにしよう。
『慶野由利子』が語る1980年代のナムコサウンド
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『慶野由利子』は、
『東京藝術大学音楽部楽理科』を卒業し
1981年にナムコに入社することになる。
『慶野由利子』さんが『ナムコ』で最初にサウンドを手がけたのは,1982年にリリースされた『ディグダグ』だった。
『ディグダグ』のサウンドつくり
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この頃の『ナムコ』のアーケードゲームは
自社で開発した『任意波形発生回路』、通称『パックマン音源』を使っていたんです。
この『音源』は、同時に『3音』を発することが可能な回路なんです。
そして、その『3音』は、それぞれの『音色』を作ることができるんです。
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縦16マス横32マスの方眼紙に波形を描くと,それに沿った音色が鳴るんです。
これは当時としては画期的な音源で、
1980年代初頭の『ナムコサウンド』を支えた存在だったんですよ。
『ディグダグ』は『音源』は『3音』?
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さらにこの『音源』は、基板によってはノイズを加えることもできるんです。
『ディグダグ』では『ノイズなしバージョン』を使っていたため
BGMも『効果音』も『3音』の中に収めなければならなかったんです。
そこでBGMに『2音』を使い,残り『1音』を『効果音』に使ったんです。
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だけど、ゲームのプレイ中は『複数の効果音』が同時に鳴るケースも少なくないので
ゲーム中のさまざまなケースを想定して,
この場合はこちらの効果音を優先,
また別の場合はあちらを優先といったように,
まるでパズルを組み立てるかのように考えていましたよ。
『ディグダグ』のBGMは、実は・・・
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だから、少ない『音数』を効果的に利用するために
『ディグダグ』のBGMに聞こえる楽曲は,
本当は、BGMではなくてプレイヤーの走行(移動)音なんです。
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当初,『鉄腕アトム』の『足音』のようなものなど
いくつか走行音を作ったのですが,
ことごとく却下されて、すごく悩みましたよ。
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そのとき『ゲームサウンド』の師匠にあたる『大野木宜幸』さんに
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『音楽にしてみれば』
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とアドバイスされた結果,製品版の形に落ち着いたんです。
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そのため,
『ディグダグ』では
プレイヤーの動きが止まると,BGMも止まるんですよ。
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『大野木宜幸』師匠さすがー。
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アーケードゲームとはいえ、この頃のゲーム機って
『3音』で『BGM』と『効果音』で作らなければならなかったんだね。
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その制約から、『ディグダグ』の『歩く効果音』を
発想の転換で、BGMにしてしまうって
まるで『コロンブスのたまご』ですね。
『ゼビウス』サウンドの登場
『ゼビウス』音源は、『ディグダグ』と同じ?
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1983年リリースの『ゼビウス』は,
『任意波形発生回路』を使った最後のタイトルなんです。
でも『ゼビウス』では『音源』は、
『ディグダグ』と違って『ノイズありバージョン』だったんです。
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でも『ノイズ』は『メインプログラム』でしか扱えないので,
BGMの中で『パーカッション』ような使い方はできなかったんです。
その代わり『ゼビウス』では,『ノイズ』を『爆発音』に使いました。
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でも『ノイズ』だけでは『爆発音』のように聞こえなかったので
『筐体』が『スピーカーのキャビネット』のような効果があることがわかったので
それで,低音を補完したんです。
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『筐体』の『反響音』を利用して低音で表現するって、すごいですね。
使える音はすべて使う時代ですね。
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いつの時代も、創意工夫だね。
『トーロイド』では、BGMが途切る?
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『バキュラ』の効果音は、『2音』使っているんでが、
序盤から登場する無人偵察機『トーロイド』の『効果音』は
『3音』すべて使ってるんです。
だから、効果音が鳴っている一瞬はBGMが途切れてしまうんです。
『遠藤雅伸』さん登場
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『ゼビウス』はもともと『シャイアン』というベトナム戦争をモチーフにしたゲームだったのですが,
『プログラマー』だった『遠藤雅伸』さんが企画にも携わることになったため
『世界観』や『設定』が一新されてしまったんです。
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それに伴い,メインBGMも『遠藤』さんから
![遠藤](https://kopenguin.com/wp-content/uploads/2020/03/gil_01_b.gif)
『慶野』さん、サウンドをもっと『無機質』なものにしてくれませんか?
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というオーダーに沿った結果,製品版の形になったという。
『ゼビウス』は『ミニマルミュージック』じゃない?
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『ゼビウス』では、『ミニマルミュージック』を取り入れたとよく言われますが?
『慶野』さんが『東京藝術大学』で『現代音楽』を学んだから
『スティーブ・ライヒ』由来の『ミニマルミュージック』を採用したと・・
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あれは、あとから尾ひれが付いたんですよ。
でも高校時代に、『現代音楽』を聴いていたのは確かですよ。
大学では『民族音楽』を学んでいましたし,
作曲に対する考え方の自由度は、私自身広い方だと思うんです。
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BGMと『効果音』をあわせて『3音』しか利用できない制約の中で、
企画担当の『遠藤』さんからの『無機質』な音をという要望もありまし
たから
そこから、自然に『ミニマルミュージック』風のサウンドになったのかもしれませんね。
『細野晴臣』・サウンドトラック『ビデオ・ゲーム・ミュージック』について
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そうですね、当時まだ珍しかった『PCM形式』で『基板』から直接ライン収録しましたね。
確か収録は、『ゼビウス』のBGMが『連射モード』で収録しました。
本当は、『連射モード』じゃなくて、
『通常モード』に『ディップスイッチ』の設定1つで直ったんですけど、
収録に立ち会えなかったので、残念なことをしました。
『ディグダグ』『ゼビウス』の音源は『パックマン音源』?
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ここまでの、『慶野由利子』さんの証言を聞いてみると
『ナムコ』の『波形メモリ音源』は、
『任意波形発生回路』、通称『パックマン音源』と呼ばれていたんだね。
『ゼビウス』の生みの親である、『遠藤』さんはよく『PSG』って言ってたけど。
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しかも、『ディグダグ』と『ゼビウス』では少しバージョンの違う『音源』だったんだね。
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そうだね、でも『ディグダグ』と『ゼビウス』ではほぼ同じ『波形メモリ音源』を利用していたってことだね。
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これで、
『パックマン』から『ゼビウス』まで『任意波形発生回路』、通称『パックマン音源』を採用していたことがわかるね。
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でも、BGMと『効果音』で同時に『3音』しか鳴らせないって、
『ファミコン』の音楽制作と同じくらい制約があったんだね。
その制約の中で、名曲を作り出すとは、すごいね『慶野由利子』さん
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ナムコゲーム音楽のご紹介│まとめ│
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ゼビウス・ディグダグ・サウンドの生みの親・慶野由利子・ナムコゲーム音楽のご紹介
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