- 大口径へのロマン ─ Nikkor-S Auto 55mm F1.2 の物語
- 1. 一眼レフ時代と「大口径の壁」
- 2. F1.2という「無茶振り」にどう挑んだか
- 3. 設計者・清水義之氏と「ガウスタイプの職人技」
- 4. 収差と描写──F1.2の現実と美点
- 5. 作例から見える「三次元描写」とボケの表情
- 6. 「なぜ 55mm? なぜ 50mmにこだわる?」という話
- 7. Nikkor-S Auto 55mm F1.2 というレンズのまとめ
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大口径へのロマン ─ Nikkor-S Auto 55mm F1.2 の物語

今回の主役は、ニコン初期の 大口径標準レンズ F1.2、 Nikkor-S Auto 55mm F1.2 です。
・当時、F1.2という明るさはどれほど無茶な挑戦だったのか
・実際の写りはどんなキャラクターなのか
このあたりを、「ガウスタイプ標準レンズの歴史」と一緒に掘っていきます。
1. 一眼レフ時代と「大口径の壁」
● レンジファインダー時代の大口径レース
1950年代、まだレンジファインダー全盛の頃、 各社がこぞって大口径レンズを出していました。
・各社の 50mm F1.2 / F1.4
・キヤノンの 50mm F0.95 でひとつのピーク
● 一眼レフになると一気に難易度アップ
ニコンFに代表される 一眼レフ時代 になると状況が一変します。
・ガウスタイプは後側主点の位置の関係で、長いバックフォーカスが苦手
・標準レンズ F2 です。 50mmを諦めて 55mm にするメーカーが出る
・5.8cm F1.4(58mm) で大口径を実現 → しかし設計者は「これはあくまで“暫定”」という感覚
・「いつかは 50mmでF1.4 、そして F1.2 を」という執念が続いていきます
2. F1.2という「無茶振り」にどう挑んだか
● まずは焦点距離を 55mm に伸ばす
50mmでF1.2+長いバックフォーカス+高画質
を同時に満たすのはかなり厳しい条件でした。
・その後 コーティング多層化版(55mm F1.2 (C))
・1975年 最短距離短縮などを反映した New Nikkor 55mm F1.2
・1977年 AI Nikkor 55mm F1.2
・1978年 ついに AI Nikkor 50mm F1.2 登場 → 55mm F1.2 の役目が終了
3. 設計者・清水義之氏と「ガウスタイプの職人技」
・50mm F1.4
・55mm F1.2
● 典型的なダブルガウスだが、中身は相当攻めている
・F1.8〜F2なら6枚構成
・F1.2〜F1.4クラスだと 7枚構成 が必要
4. 収差と描写──F1.2の現実と美点
● 収差傾向(設計値から見たキャラ)
・像高中間までサジタル・メリジオナルが揃っており、非点は少なめ
・近接では全体的にアンダー方向へ変動 → そのぶんボケが柔らかくなる
・特に四隅のサジタルコマフレアは大きい
・ただし「点像の形」に気を使って、あえて両方向にほどよくフレアを残す設計
「シャープさを少し犠牲にしてでも、点像の形を写真として自然に」 という思想が見えます。
● 実写での絞り別キャラクター
◆ F1.2 開放
・中間〜周辺 フレア感が増すが、像高6割付近でピーク、その先はビネッティングで少し緩和
・四隅 解像は低め
・全体として 線が細く、空気感のある描写。色にじみは少なく発色はスッキリ
◆ F1.4〜F2
・F2 中心〜中間部はフレアが抜けて解像向上
・四隅だけはやや改善が遅い
ポートレート向きの“甘さ+芯”バランスになります。
◆ F2.8〜F4
・「柔らかさの中に高い解像感」というおいしいゾーン
・高精細寄りの描写に切り替わり、風景にも十分使えるレベル
◆ F5.6〜F11
・このレンズの 最高画質域
・F16では回折の影響でわずかにシャープネス低下
5. 作例から見える「三次元描写」とボケの表情
作例の要点を整理するとこんな感じです。
● F1.2 開放・ポートレート(作例1・2)
・瞳の解像は良好
・顎、髪の毛、背景へと なだらかに溶けていく立体感
・点列の背景でも二線ボケが出にくく、破綻のない後ボケ
と表現されていましたが、まさに立体感のある描写が得意なタイプです。
● F2.8 付近(作例3・4)
・それでも「大口径らしい柔らかさ」は残る
・逆光や中距離ポートレートでもボケが破綻しにくい
● F4〜F5.6(作例5・6)
・風景やスナップに十分使える
・「このレンズの実力を測るなら F5.6〜F8」が一番わかりやすい
6. 「なぜ 55mm? なぜ 50mmにこだわる?」という話
● そもそも、なぜ標準レンズ=50mmなのか
・エルマックス 5cm F3.5
ここから「35mm判の標準=5cm(50mm)」という慣習が生まれます。
・広角と望遠の性格がちょうど打ち消し合うバランス
・画面対角線に近い焦点距離
という歴史の積み重ねが決定打です。
● 実は標準レンズの多くは「51.6mm」
面白いのはここからで、 設計値としての「標準レンズ」は 51.6mm 周辺に集中しています。
・ライカ互換を意識した各社が「公称50mm・実質51.6mm」で設計
・のちの一眼レフ時代にも、この習慣が引き継がれる
「50mm」という数字の裏には、51.6mmという“歴史の誤差”がずっと生きている というのがすごく面白いポイントです。
7. Nikkor-S Auto 55mm F1.2 というレンズのまとめ
このレンズを一言でまとめると…
「絞りごとにキャラクターが変わる、玄人好みの大口径標準」 と言えます。
→ 柔らかく、空気感のある三次元描写。ポートレートや物撮り向き
→ 柔らかさとシャープさのちょうど中間。ポートレートの“イイ感じゾーン”
→ 風景、スナップでも通用するしっかり描写
→ 「数字としてのMTF」より、「写真として見た時の点像・ボケの自然さ」を重視
「限界へ挑むレンズは、いつも少し不器用だが、その不器用さこそが味になる。」
Nikkor-S Auto 55mm F1.2 は、 完璧ではないからこそ、 絞りごと・距離ごとに表情を変えて、 撮る人をずっと楽しませ続けてくれる一本だと思います。
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