- Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S‐ ニコン初の“大口径標準ズーム F2.8通し”が生まれるまで
- 1. F2.8標準ズームという「難題」
- 2. 開発の流れと設計者・稲留清隆さん
- 3. 光学構成のポイント ─ 凹群先行4群ズーム+シンプル機構
- 4. 匠の技① ─ ED無しで色収差を抑えた「3枚貼り合わせ」
- 5. 匠の技② ─ 歪曲収差とボケのバランス
- 6. 焦点距離・絞りごとの描写傾向まとめ
- 7. 作例から見える “35-70mm F2.8Sらしさ”
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Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S‐ ニコン初の“大口径標準ズーム F2.8通し”が生まれるまで

Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S は、 ニコンで初めて ズーム全域F2.8 を実現した標準ズームレンズです。 いまでこそ「24-70mm F2.8」は定番ですが、 その“始まりの一本”ともいえる源流が、この 35-70mm F2.8S です。
1. F2.8標準ズームという「難題」
まず前提として、大口径(F2.8)かつ標準ズームは、 光学設計的にかなりハードルの高いジャンルです。
「そこそこ広角」+「そこそこ望遠」+「F2.8」という
“わがまま全部入り”スペックだから です。
■ ズームレンズの2つのタイプ
ズームレンズを大きく2種類に分かわれます。
| タイプ | 特徴(ざっくり) |
|---|---|
| 凸群先行タイプ | 最初が“凸レンズ”スタート |
| 凹群先行タイプ | 最初が“凹レンズ”スタート |
■ 凸群先行タイプ vs 凹群先行タイプ
| 方式 | 有利な点 | 不利な点 |
|---|---|---|
| 凸群先行 | ・前で光束を収束できるので後群を小型にしやすい・望遠側の収差補正がしやすい | ・周辺光量が稼ぎにくい・フィルター径が大きくなりがち |
| 凹群先行 | ・凹レンズスタートなので周辺光量を確保しやすい・広角側の収差補正に有利 | ・前で光を広げるため後群が大型化・収差発生量も増えやすい |
・広角側 → 周辺光量・周辺像質
・望遠側 → 中心・周辺の解像と収差
この両方をバランスさせなければいけません。
2. 開発の流れと設計者・稲留清隆さん
■ 開発年表(ざっくり)
| 年・時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1986年 春 | 光学設計が完了 |
| 1986年 9月 | 試作図面を出図、試作・検証・実写テスト開始 |
| 1987年 冬 | 量産図面が完成 |
| 1987年12月 | Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S 発売 |
・几帳面な性格
・特に “凹群先行4群ズーム” に強い
・ズームのIF化に必要な「カム計算ソフトの開発」も行っていた
という、ザ・職人系設計者 です。
3. 光学構成のポイント ─ 凹群先行4群ズーム+シンプル機構
このレンズは、凹群先行・4群構成のズームレンズ です。
中でも特徴的なのが、レンズ群の動かし方です。
■ レンズ群の動き
・第2群(凸)と第4群(凸)を ペアで同時に移動
・光学設計的には「かなり制約が大きい」
・でも鏡筒構造は とてもシンプル にできる という性格があります。
■ 鏡筒構造の工夫
カム(曲線溝)が1本、リード(直線溝)が1本だけ
→ 安価な2群ズームと同じシンプル機構で作れる
・生産性が高く
・コストを抑えつつ
・プロ仕様の F2.8標準ズームを実現した という、かなり“攻めた設計”になっているわけです。
4. 匠の技① ─ ED無しで色収差を抑えた「3枚貼り合わせ」
このレンズ、なんと EDレンズを1枚も使っていません。
凹・凸・凹の「3枚貼り合わせ(トリプレット)」
と呼ばれる構成です。
■ 3枚貼り合わせの役割
| 要素 | 効果 |
|---|---|
| 凹レンズ+凸レンズ+凹レンズ | 異なるガラス材を組み合わせることで、色収差を相殺し合う |
| EDガラスなし | コストを抑えながら、アポクロマート方向の色補正を狙える |
5. 匠の技② ─ 歪曲収差とボケのバランス
設計値から見える特徴として、
・軸上色収差・倍率色収差とも少ない
・非点収差・像面湾曲も少なめ
・歪曲収差 −3%以内
・非点収差が少ない
・像面湾曲はやや大きいが、立体感やボケに寄与
・歪曲収差 +2.5%以内
・コマ収差が少し残っている → 硬すぎない自然なシャープさ とまとめられています。
「パキパキの解像だけでなく、
ポートレートに向く“柔らかさ+立体感”も残したバランス」 になっている、
ということです。
6. 焦点距離・絞りごとの描写傾向まとめ
■ 焦点距離×絞りごとの性格
| 焦点距離 | 絞り値 | 描写の傾向 |
|---|---|---|
| 35mm | F2.8(開放) | 適度なコントラスト+自然なシャープさ。周辺はやや緩むが破綻なし |
| 35mm | F4〜5.6 | コントラスト・解像力とも向上。周辺もしゃきっとしてくる |
| 35mm | F8 | 画面全域ほぼフラットな画質。風景にも十分耐える描写 |
| 50mm | F2.8 | 中心はシャープ。人物とその周辺の描写バランスが良く、ポートレート向き |
| 70mm | F2.8 | やわらかさの中に芯がある描写。背景ボケも素直で、人物撮影に好適 |
| 70mm | F4〜5.6 | シャープネスアップ&周辺も安定。スナップ・ポートレート両用に最適 |
| 全域 | F11〜22 | 回折の影響で徐々にシャープさが低下 |
7. 作例から見える “35-70mm F2.8Sらしさ”
● 作例1 35mm F2.8(広角端・開放)
・背景のボケもクセが少なく、広角としてはかなり素直なボケ方
● 作例2 50mm F2.8(中間域)
・背景のとろけ方も自然で“標準域ポートレート”にちょうどよい印象
● 作例3 70mm F2.8(望遠端・開放)
・それでいてボケはうるさくなく、後ろにすっと溶けていく
ポートレート用としてはちょうど心地いいシャープさ」
というポジションに収まっていると感じます。
Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S は、
・凹群先行・4群構成で、機構を極限までシンプルにした設計
・ED無しでも色収差を抑えた「3枚貼り合わせ」の匠の技
・広角〜望遠まで、 「硬すぎず、しかし芯のある」ポートレート向きの描写
という、“大口径ズーム時代の幕開け”を告げた一本 でした。
「道具の品位は、その裏にある工夫の量で決まる。」
この35-70mm F2.8Sには、 スペック表には載らない設計者たちの工夫と職人技が、ぎゅっと詰まっているように感じます。
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