- Ai Nikkor 135mm F2 — ボケの品位を極めた“大口径中望遠の名玉”を読み解く
- 🟦 1. ボケ表現の時代とともに生まれた 135mm F2
- 🟦 2. 135mm F2 は「ボケ」を主役にした中望遠レンズ
- 🟦 3. 光学構成 — 4群6枚の変形エルノスター型
- 🟦 4. 描写の特徴 ― シャープ × 美しいボケ
- 🟦 5. 作例で描写をチェック
- 🟦 6. その後の中望遠へ — DCニッコール誕生の前夜
- 🌟 まとめ Ai Nikkor 135mm F2 は“ボケ味”を中心に作られた名玉
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Ai Nikkor 135mm F2 — ボケの品位を極めた“大口径中望遠の名玉”を読み解く
大口径中望遠レンズの世界で、ひときわ存在感を放つ一本があります。 それが Ai Nikkor 135mm F2。
“ボケ”という写真表現が確立していく過程で誕生し、 ポートレート・夜景・花・舞台撮影など、現在でも多くのファンを惹きつける歴史的レンズです。
🟦 1. ボケ表現の時代とともに生まれた 135mm F2
写真の「ボケ」は今でこそ一般的な表現ですが、その源流は ライカ・ローライなど 小型高性能カメラの誕生 にあります。
・高速シャッターを使うには開放撮影が多かった
・結果として前後ボケが大きく写り込む
・それが徐々に“表現”として意識されるようになった
・結果として前後ボケが大きく写り込む
・それが徐々に“表現”として意識されるようになった
さらに時代が進むと、
Nikkor 50mm F1.1 のような超大口径レンズが登場し、 ボケ味への関心は一気に高まっていきます。
そんな流れの延長線上で誕生したのが 135mm F2 の系譜です。
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🟦 2. 135mm F2 は「ボケ」を主役にした中望遠レンズ
🔸 85mm F1.8 vs 135mm F2（企画思想の違い）
| レンズ | 目的 | コンセプト |
|---|---|---|
| 85mm F1.8 | 明るさの確保 | “標準レンズを少し伸ばした”明るい中望遠 |
| 135mm F2 | ボケの品質向上 | “望遠の短焦点版”としてボケ表現を主眼に開発 |
さらに興味深いのが 有効径の違い です。
■ 有効径（被写界深度の浅さ＝ボケ量に直結）
・85mm F1.8 → 47.2mm
・135mm F2 → 67.5mm（約1.4倍ボケが大きい）
・135mm F2 → 67.5mm（約1.4倍ボケが大きい）
→ 数値の時点で “135mm F2 のほうが明確にボケが強い” ことがわかります。
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🟦 3. 光学構成 — 4群6枚の変形エルノスター型
135mm F2 の大きな特徴がこの構成です。
■ レンズ構成のポイント
・基本は「変形エルノスタータイプ（4群6枚）」
・色収差・球面収差の補正がしやすい
・望遠レンズとしては小型にまとめやすい
・135mm F2 の明るさを実現しながら軽量化に成功
・基本は「変形エルノスタータイプ（4群6枚）」
・色収差・球面収差の補正がしやすい
・望遠レンズとしては小型にまとめやすい
・135mm F2 の明るさを実現しながら軽量化に成功
担当は 180mm F2.8 と同じ 松井靖氏。
1970年代のニッコールを支えた設計者の一人です。
1970年代のニッコールを支えた設計者の一人です。
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🟦 4. 描写の特徴 ― シャープ × 美しいボケ
135mm F2 が「名玉」と呼ばれる最大の理由はココです。
🔶 遠距離 シャープで切れ味のある描写
・コントラストよし
・線が太くならず、輪郭がクリア
・スポーツ・スナップにも耐える
・コントラストよし
・線が太くならず、輪郭がクリア
・スポーツ・スナップにも耐える
🔶 近距離 球面収差をやや残した“溶けるボケ”
設計上、あえて近距離で
✔ 球面収差
✔ コマ収差
をわずかに残すことで…
→ 背景ボケのエッジが溶けるように柔らかい
→ ポートレートと相性が極めて良い これが “Nikonらしい中望遠のボケ” と呼ばれる理由です。
設計上、あえて近距離で
✔ 球面収差
✔ コマ収差
をわずかに残すことで…
→ 背景ボケのエッジが溶けるように柔らかい
→ ポートレートと相性が極めて良い これが “Nikonらしい中望遠のボケ” と呼ばれる理由です。
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🟦 5. 作例で描写をチェック
■ 作例1 花（開放F2）
・手前の雄しべはキリッと解像
・奥に向かって輪郭が滑らかに溶けていく
・後ボケのエッジが柔らかく、美しいグラデーション
・手前の雄しべはキリッと解像
・奥に向かって輪郭が滑らかに溶けていく
・後ボケのエッジが柔らかく、美しいグラデーション
→ まさにボケ味を楽しむためのレンズ
■ 作例2 遠景（F8）
・全域が均質で隅々までシャープ
・看板文字や人影までしっかり描写
・わずかに倍率色収差が見える（RAW現像で容易に補正可能）
・全域が均質で隅々までシャープ
・看板文字や人影までしっかり描写
・わずかに倍率色収差が見える（RAW現像で容易に補正可能）
→ “万能望遠” としても優秀。
■ 作例3 夜景（開放）
・前ボケはシャープに立ち上がる（後ボケと性質が異なる）
・二線ボケやリングボケになりにくい
・イルミネーションが幻想的に表現できる
・前ボケはシャープに立ち上がる（後ボケと性質が異なる）
・二線ボケやリングボケになりにくい
・イルミネーションが幻想的に表現できる
→ 135mm F2 の“前後で性格が違うボケ”がよく分かる作例
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🟦 6. その後の中望遠へ — DCニッコール誕生の前夜
135mm F2 の成功は、中望遠レンズのラインナップ強化につながります。
・105mm F1.8S（1981）
・85mm F1.4S（1981）
・135mm F2（1976 → Ai化 1977）
・105mm F1.8S（1981）
・85mm F1.4S（1981）
・135mm F2（1976 → Ai化 1977）
1980年代前半は、中望遠の黄金期と言える時代でした。
しかし—— 1986年、F-501 の登場でオートフォーカス時代が始まると状況は一変します。
135mm F2 のような重量級レンズを 「AFで高速駆動させる」ことが難しい課題として浮かび上がり、 中望遠レンズは存続の危機に立たされます。
この課題の結果生まれたのが…
👉 Ai AF DC Nikkor 135mm F2（“ボケを調整できる”唯一無二のレンズ）
🌟 まとめ Ai Nikkor 135mm F2 は“ボケ味”を中心に作られた名玉
✔ 4群6枚エルノスター型の合理的な構成
✔ 遠距離はシャープ
✔ 近距離は溶けるボケ
✔ 色のりも良く、ポートレート向き
✔ 中望遠黄金期を象徴する一本
✔ 遠距離はシャープ
✔ 近距離は溶けるボケ
✔ 色のりも良く、ポートレート向き
✔ 中望遠黄金期を象徴する一本
今見ても、非常に魅力のあるレンズです。 D750・Zシリーズ（FTZ経由）でも実用性が高く、 オールドレンズ好きにはぜひ一度触れてほしい一本だと感じます。
🌙 レンズを締めくくる名言 「美しさとは、光が作る余白のことだ。」
135mm F2 は、その“余白”を最も美しく描くために生まれたレンズです。
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