- Ai AF Nikkor 28mm F1.4D‐10年もの時間、4人の設計者、そして非球面技術の進化
- 1. 28mm F1.4 開発の背景
- 2. 非球面技術とノクトニッコールが与えた追い風
- 3. 設計と製造の二人三脚 ― 10年、延べ4人の設計者が挑んだ“長期戦のレンズ”
- 4. レンズ構成の特徴 “ノクトの思想”を広角で実現するための構造
- 5. 描写特性 ― “広角版ノクト”と呼びたくなる一本
- 6. 総評 ― “広角F1.4の到達点”であり、“技術者の執念の結晶”
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Ai AF Nikkor 28mm F1.4D‐10年もの時間、4人の設計者、そして非球面技術の進化

Ai AF Nikkor 28mm F1.4D は、点光源に強い“広角のノクト”とも呼べる大口径レンズです。 非球面技術を磨きながら10年かけて完成し、開放からシャープで夜景・流星に最適。 技術者の情熱が凝縮された、28mm F1.4 の到達点です。
1. 28mm F1.4 開発の背景
「35mm F1.4 を作れたなら、次は28mmだ」…とは簡単にいかなかった
広角化+大口径化で、サジタルコマフレア補正がもっと難しくなる
✔ サジタルコマフレアとは?
■ 補正の難しさ(比較テーブル)
| 条件 | サジタルコマフレアの増え方 |
|---|---|
| F値が明るくなる | 大幅に増える |
| 焦点距離が短くなる(広角化) | 急激に増える |
| レトロフォーカス構成 | 凹レンズが多くさらに発生しやすい |
2. 非球面技術とノクトニッコールが与えた追い風
1968年に OP フィッシュアイで非球面を量産化。 しかし大口径に応用するには精度不足でした。 そこに転機が訪れます。
「研磨非球面」という、量産には向かない方法ながら、 “非球面で大口径の新しい世界を切り開いた” 一本。
3. 設計と製造の二人三脚 ― 10年、延べ4人の設計者が挑んだ“長期戦のレンズ”
■ 並行して進められた2つの開発
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 光学設計 | 最適なレンズタイプと非球面形状の探索 |
| 非球面製造方式の開発 | 精度と量産性を両立させる新方式の確立(精研削非球面加工) |
✔ そして試作が完成
しかし……
「近距離性能が不足」
という理由で品質保証部門から 量産NG。
✔ ふたたびゼロから再設計
・延べ 4人の設計者が参加
・総開発期間は約 10年
4. レンズ構成の特徴 “ノクトの思想”を広角で実現するための構造
■ 特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 強い曲率の両凸レンズ(絞り直前) | サジタルコマ補正の要となる構成 |
| 明確に見える強い非球面レンズ | サジタルコマフレアを積極的に抑制 |
| 凹レンズの曲率を弱く設計 | 広角レンズで発生しやすい収差を軽減 |
| 複雑な近距離補正フォーカス | 非点収差・球面収差・コマ収差を同時補正 |
5. 描写特性 ― “広角版ノクト”と呼びたくなる一本
5-1. 作例1 しし座流星群
✔ 広角28mm+F1.4 の組み合わせが「流星撮影」に最適
✔ 周辺の明るい星ではわずかにコマフレアが見える
✔ しかし28mmとしては“驚くほど抑え込まれている
5-2. 作例2 夜景
✔ 点光源が破綻しない
✔ サジタルコマフレアが極めて目立ちにくい
✔ ノクトの思想を正しく受け継ぐ描写 著者はこう推測しています。
6. 総評 ― “広角F1.4の到達点”であり、“技術者の執念の結晶”
✔ 良い点
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 開放性能 | 点光源に強い、広角とは思えない抑え込み |
| コマ収差 | 非球面の効果で優秀 |
| 近距離 | 複雑フォーカスで良好 |
| 汎用性 | 夜景・星景・スナップすべて対応 |
| デジタル時代 | APS-Cで42mm相当の“明るい標準レンズ”に化ける |
✔ 注意点(弱点)
| 弱点 | 内容 |
|---|---|
| 周辺減光 | 開放では目立つことがある |
| 重量・大きさ | 同クラスとしては大きめ |
| 玉数が少なく希少 | 価格が高騰しがち |
🌟 最後に、28mm F1.4D にふさわしい名言
10年もの時間、4人の設計者、そして非球面技術の進化。
Ai AF Nikkor 28mm F1.4D は、まさに“困難と向き合い続けて完成した一本”と言えます。
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