袴の種類 ― 形の違いは「用途」と「立場」の違い

袴の違いは、流行や好みではありません。 どの袴を選ぶかは、「どの立場で、どう在るか」を選ぶことでした。
袴は「一種類」ではない
袴と一口に言っても、 その形・構造・用途は大きく異なります。
共通するのは、 下半身を覆い、所作を整える という役割だけ。
それ以外は、
・ 動く人か
・ 立つ人か
・ 座る人か
によって、 袴の形は厳密に分かれてきました。
・ 動く人か
・ 立つ人か
・ 座る人か
によって、 袴の形は厳密に分かれてきました。
行灯袴(あんどんばかま)
最も古く、最も儀礼的な袴です。
特徴
・ 脚が分かれていない
・ 筒状
・ 動きは制限される
・ 脚が分かれていない
・ 筒状
・ 動きは制限される
用途
・ 公家装束
・ 礼装
・ 儀式
・ 公家装束
・ 礼装
・ 儀式
行灯袴は、 動かないことを前提 とした袴。 立つ・座るという 静の所作 を美しく見せるための形です。
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馬乗り袴(うまのりばかま)
脚が左右に分かれた袴。
特徴
・ 動きやすい
・ 騎乗可能
・ 実務向き
・ 動きやすい
・ 騎乗可能
・ 実務向き
用途
・ 武家
・ 実務
・ 現代の男性袴の主流
・ 武家
・ 実務
・ 現代の男性袴の主流
馬乗り袴は、 動くための袴。 武家社会において、 儀礼と実用を両立させた 最も完成度の高い形です。
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裁付袴(たっつけばかま)
脚に密着する特殊な袴。
特徴
・ 細身
・ 裾がすぼまる
・ ほぼズボン状
・ 細身
・ 裾がすぼまる
・ ほぼズボン状
用途
・ 下級武士
・ 労働
・ 近世以前の実務
・ 下級武士
・ 労働
・ 近世以前の実務
裁付袴は、 機動性最優先。 美しさよりも 動作効率が重視されました。
長袴(ながばかま)
裾が極端に長い袴。
特徴
・ 裾を引きずる
・ 歩きにくい
・ 裾を引きずる
・ 歩きにくい
用途
・ 将軍
・ 大名
・ 極めて高位の儀礼
・ 将軍
・ 大名
・ 極めて高位の儀礼
長袴は、 動けないこと自体が権威 を示す装束。 不便さそのものが、 身分の証明でした。
野袴(のばかま)
日常・野外向けの袴。
特徴
・ 丈が短め
・ 実用重視
・ 丈が短め
・ 実用重視
用途
・ 狩猟
・ 外仕事
・ 移動
・ 狩猟
・ 外仕事
・ 移動
野袴は、 生活に寄った袴であり、 格式よりも 現実を優先した形です。
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女袴(参考)
本来、袴は男女共通の衣でした。
女性用袴は、
・ 行灯型
・ 装飾性が高い
という特徴を持ち、
・ 行灯型
・ 装飾性が高い
という特徴を持ち、
近代以降、 女学生の象徴 として定着します。 ただし思想的には、 男子袴とは 役割が異なります。
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袴の種類と役割 早見表
| 種類 | 脚の構造 | 主用途 | 思想 |
|---|---|---|---|
| 行灯袴 | 分かれない | 礼装・儀礼 | 静 |
| 馬乗り袴 | 分かれる | 武家・実務 | 動と礼 |
| 裁付袴 | 密着 | 労働 | 機動 |
| 長袴 | 分かれない | 最高位儀礼 | 権威 |
| 野袴 | 分かれる | 日常 | 実用 |
なぜ袴はここまで分化したのか
理由は明確です。 所作が、そのまま身分評価に直結した社会 だったから。
・ 立ち方
・ 歩き方
・ 座り方
これらを 自動的に制御する装置 として、 袴は進化しました。
・ 歩き方
・ 座り方
これらを 自動的に制御する装置 として、 袴は進化しました。
袴とは、 衣服でありながら 行動規範そのもの だったのです。
まとめ
・ 袴は用途ごとに厳密に分かれる
・ 行灯=静、馬乗り=動
・ 裁付は機動特化
・ 長袴は権威の象徴
・ 袴は所作を作る衣
・ 行灯=静、馬乗り=動
・ 裁付は機動特化
・ 長袴は権威の象徴
・ 袴は所作を作る衣
名言「袴の形は、足を覆うためではない。人の立場を、先に決めてしまうためにある」
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