フランス軍の軍服を構成した三要素の詳細解説― 長い上着(ジュストコール)/ベスト/下衣 ―

以下の三点は、17世紀後半のフランス軍で制度化され、のちにスーツの直接的祖先となった構成要素です。重要なのは、これらが「流行服」ではなく、国家・軍事・気候・技術の要請から生まれた点です。
1. 長い上着(ジュストコール|Justaucorps)
① 何者か
ジュストコールとは、膝丈前後まである長い上着で、
17世紀後半(ルイ14世期)にフランス軍の公式軍服として定着しました。
語源の Juste au corpsは
「身体に沿った」「身体にぴったりした」 という意味で、
だらしなく広がらない軍装を指します。
「身体に沿った」「身体にぴったりした」 という意味で、
だらしなく広がらない軍装を指します。
② なぜ短い上着から「長い上着」へ変わったのか
それ以前のヨーロッパ男性服は、
ダブレット(丈の短い上着)+半ズボン が主流でした。
転換が起きた理由は以下の通りです。
● 軍事的理由
・行軍・警備・野営で体幹を保温する必要
・鎧(甲冑)廃止後、布で身体を守る構造が必要になった
・下級兵から将校まで同じシルエットで統制を取れる
・行軍・警備・野営で体幹を保温する必要
・鎧(甲冑)廃止後、布で身体を守る構造が必要になった
・下級兵から将校まで同じシルエットで統制を取れる
● 気候的理由
・17〜19世紀は「小氷期」
・短い上着では寒さに耐えられない
・17〜19世紀は「小氷期」
・短い上着では寒さに耐えられない
● 国家統制の理由
・長い上着は → 身体の線を整え、姿勢を矯正し、威厳を出す
・王権・国家の象徴として視覚効果が高い
・長い上着は → 身体の線を整え、姿勢を矯正し、威厳を出す
・王権・国家の象徴として視覚効果が高い
✅ この結果、 「丈の長い構造服」=軍装の基本 が確立します。
③ スーツとの直接的つながり
・ジュストコール → フロックコート → モーニング → ジャケット
・現代スーツの上着は、軍用コートの短縮形
・現代スーツの上着は、軍用コートの短縮形
つまりスーツの上着は
「鎧を脱いだ後の軍人用コート」 なのです。
2. ベスト(Waistcoat)
① 何者か
ベストは、ジュストコールの下に着る中間着として制度化されました。
イギリスではチャールズ2世が民間衣服として採用しますが、 それ以前からフランス軍で実戦的に使われていた装備です。
② なぜベストが必要だったのか
● 温度調整のため
・外套(ジュストコール)を脱いでも体温を保つ
・重ね着で兵士の体調管理が容易
・外套(ジュストコール)を脱いでも体温を保つ
・重ね着で兵士の体調管理が容易
● 装備分散のため
・懐(のちのポケット的役割)に 小物・書類・合図具などを収納
・懐(のちのポケット的役割)に 小物・書類・合図具などを収納
● コスト管理のため
・表から見える部分だけ上質
・見えない背中側は安価な布
・表から見える部分だけ上質
・見えない背中側は安価な布
👉 これはすでに
「見える規律」「見えない合理性」 という軍服思想です。
「見える規律」「見えない合理性」 という軍服思想です。
③ スーツへの継承
・スリーピーススーツの核となる存在
ベストがあることで
・上着を脱いでも「きちんと見える」
・階級・礼節が保たれる
ベストがあることで
・上着を脱いでも「きちんと見える」
・階級・礼節が保たれる
これは完全に 将校服の作法です。
3. 下衣(キュロット → 長ズボンへの前段階)
① 当時の下衣の位置づけ
17〜18世紀フランス軍で使われた下衣は主に
・キュロット(膝丈の半ズボン)
・下にストッキング+ブーツ でした。
・キュロット(膝丈の半ズボン)
・下にストッキング+ブーツ でした。
② なぜ半ズボンだったのか
● 騎兵・将校文化の名残
・馬上での動作に適していた
・騎士階級の象徴でもあった
・馬上での動作に適していた
・騎士階級の象徴でもあった
● 装備との相性
・ブーツ・脚絆と組み合わせやすい
・構造が単純で補修しやすい
・ブーツ・脚絆と組み合わせやすい
・構造が単純で補修しやすい
③ 革命がもたらした決定的転換
フランス革命によって、
・半ズボン=特権階級
・長ズボン=労働者・兵士
という意味が逆転します。
・半ズボン=特権階級
・長ズボン=労働者・兵士
という意味が逆転します。
結果として
✅ 軍服にも長ズボンが正式採用
✅ 現代スーツの下衣が誕生
三点をまとめた構造的理解
| 要素 | 軍事的役割 | 現代スーツでの役割 |
|---|---|---|
| ジュストコール | 外装・威厳・統制 | ジャケット |
| ベスト | 保温・装備分散 | ウエストコート |
| 下衣 | 機動性・統一 | トラウザーズ |
結論(本質)
フランス軍のこの三点構成は、
「大量の人間を同じ形・同じ意識で動かすための設計」でした。
その完成度があまりに高かったため、
・王政が終わっても
・革命が起きても
・市民社会になっても
・革命が起きても
・市民社会になっても
👉 服の構造だけが生き残った
それが、スーツです。
名言で締めます
「スーツとは、戦わない時代に残った、最も完成された軍服である。」
「スーツとは、戦わない時代に残った、最も完成された軍服である。」
この視点でスーツを見ると、 一着の意味がまったく変わって見えてきます。
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