レンズフードの歴史‐レンズフードとは、光を守る小さな盾であり、写真の品格を決める影の名脇役
レンズフードの歴史を、写真文化の流れとともに体系的にまとめます。 なるべくシンプルに、しかし本質はしっかり押さえて解説します。
◆ レンズフードの歴史（概説）
レンズフードは「余計な光をカットしてコントラストを守る」ための付属品ですが、 その歴史はレンズの進化と深く結びついています。
◆ ◆ レンズフードの歴史年表
| 時代 | 主なフード形式 | 特徴・背景 |
|---|---|---|
| 19世紀後半（大型カメラ期） | 木製・布製の深い箱型 | ガラス面が多くフレアが強かったため、光を徹底的に遮る必要があった |
| 1900〜1930年代（レンジファインダー黎明） | 金属の筒型・角型 | レンズの口径が小さく、シンプルな丸筒で十分だった |
| 1950年代（戦後〜一眼レフ初期） | 金属ねじ込み式フード | ねじ込み式ステップアップフードが一般化。しっかりして重い |
| 1960〜70年代（オールドニッコール黄金期） | 金属バヨネット式・内蔵式フードが登場 | NikonやLeicaが採用。金属フードの完成形が生まれる |
| 1980〜90年代（AF機の普及） | プラスチック成形フード | 軽量化、角度最適化（花形フード）の登場 |
| 2000年代〜（デジタル一眼の発展） | 花形フードが標準化 | 画角に合わせて最適化されたフード形状、逆付け収納が一般化 |
| 現代（ミラーレス時代） | 花形＋浅型、専用設計へ特化 | 逆光耐性が向上したため浅めでも十分。デザイン性向上 |
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◆ ◆ ① 初期のフード 木箱から始まった
19世紀〜初期写真のレンズはコーティングがなく、
“ちょっと斜めから光が入るだけで画が白く飛ぶ” 時代。
その対策として、 木の箱・深い金属筒・布のカーテン状フードが使われていました。 いまより“フードありきの設計”だったほど重要でした。
◆ ◆ ② レンジファインダー時代 金属筒の完成
LeicaやContaxが普及した1930年代、 軽くて丈夫な金属筒のレンズフードが登場。
・ねじ込み式（39mm径など）
・画角に合わせた長さ
・蓋としての役割も併用
・画角に合わせた長さ
・蓋としての役割も併用
この時代の金属フードは今見ても美しく、クラシックの象徴です。
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◆ ◆ ③ SLR普及（1960〜70年代） ニコンの内蔵フード登場
ニコンF・オールドニッコールの時代、 金属バヨネット式と内蔵式フードが同時に普及。
代表例
・Nikkor 105mm f/2.5（内蔵フード）
・Nikkor 135mm f/2.8（内蔵フード）
・Nikkor 180mm f/2.8 ED（金属フード）
・Nikkor 105mm f/2.5（内蔵フード）
・Nikkor 135mm f/2.8（内蔵フード）
・Nikkor 180mm f/2.8 ED（金属フード）
この頃のフードは 「金属＋精密な削り出し」で質感が圧倒的に良い。
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◆ ◆ ④ AF時代（1980〜90年代） プラスチック化
オートフォーカス化に伴い、 軽量化・大量生産が求められます。
ここで
・樹脂製バヨネットフード
・専用花形フード が一気に普及。
・樹脂製バヨネットフード
・専用花形フード が一気に普及。
花形は画角別に「不要部分だけ削る」設計で、 ワイドでケラれにくく、効率が上がりました。
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◆ ◆ ⑤ デジタル時代 逆光耐性の向上でフードは“短く”なる
現代のレンズは
多層コーティング＋ナノコート＋フレア制御の発展により、 昔ほど長いフードが必要なくなりました。
現代ミラーレスの特徴
・浅い“ショートフード”増加
・フードがデザインの一部に
・バヨネットでワンタッチ脱着
・逆付けで携行性UP
・浅い“ショートフード”増加
・フードがデザインの一部に
・バヨネットでワンタッチ脱着
・逆付けで携行性UP
フードは「光学必需品」から「最適設計のアクセサリー」へ。
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◆ ◆ ⑥ レンズフードの種類と役割の違い
| タイプ | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 丸型（円筒） | 望遠・標準用、光線を均等に遮る | 85mm以上の中望遠 |
| 角型（昔のRF用） | ケラれにくく無駄光を抑える | レンジファインダー |
| 花形（ラージペタル） | ワイド用、画角に合わせた最適形状 | 35mm以下 |
| 内蔵フード | 携帯性抜群、金属製で質感高い | オールドニッコール |
◆ なぜオールドレンズは“フード必須”だったのか？
コーティングが弱いからです。
1950〜70年代のレンズは
・フレア
・ゴースト
・白っぽさ
に弱いので、フードの有無で描写が激変します。
・フレア
・ゴースト
・白っぽさ
に弱いので、フードの有無で描写が激変します。
昔の写真家はフードを“必ず”使うのが常識でした。
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◆ まとめ
・フードは古くは「巨大な光遮断箱」からスタート
・1930年代で金属筒が普及 ・1960〜70年代はニコンの内蔵金属フードが完成形
・AF時代でプラ製・花形が一般化
・デジタルで短く・軽く・専用最適化が進む
・1930年代で金属筒が普及 ・1960〜70年代はニコンの内蔵金属フードが完成形
・AF時代でプラ製・花形が一般化
・デジタルで短く・軽く・専用最適化が進む
名言 「レンズフードとは、光を守る小さな盾であり、写真の品格を決める影の名脇役である。」
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