ミシン針規格の歴史‐標準とは、過去の混乱と未来の普及をつなぐ架け橋
ミシン針規格の歴史をご紹介します。家庭用・工業用・国際標準化の流れを年代順に追うと理解しやすいです。
19世紀 ― 発明期
1830年代〜1840年代
・初期のミシン（ホウ、シンガー、ハントなど）は専用設計の針を使用。
・針の規格はなく、メーカーごとに独自の長さ・太さ・穴の位置。
・例 Singer 12型の「12×1」針。
・初期のミシン（ホウ、シンガー、ハントなど）は専用設計の針を使用。
・針の規格はなく、メーカーごとに独自の長さ・太さ・穴の位置。
・例 Singer 12型の「12×1」針。
1850〜1900年 ― 規格の多様化
Singer社の拡大
・世界中に輸出され、各国でコピー品やライセンス生産。
・その結果、Singer針規格（12×1, 20×1 など）が広まる。
・世界中に輸出され、各国でコピー品やライセンス生産。
・その結果、Singer針規格（12×1, 20×1 など）が広まる。
ドイツ系（Pfaff, Adler, Dürkopp）
・工業用で独自の長針規格を採用。
・家庭用よりも太糸・厚物対応。
・工業用で独自の長針規格を採用。
・家庭用よりも太糸・厚物対応。
1900〜1950年 ― 標準化の兆し
工業用規格
・DB×1（16×231とも呼ばれる）が普及。工業用の世界標準に。
・DB×1（16×231とも呼ばれる）が普及。工業用の世界標準に。
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家庭用規格
・各国メーカー（ジャノメ、ブラザーなど）はSinger規格を踏襲。
・日本国内では「家庭用HA針」が基準化される。
・各国メーカー（ジャノメ、ブラザーなど）はSinger規格を踏襲。
・日本国内では「家庭用HA針」が基準化される。
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1950〜1970年 ― 国際規格への統一
ISO化の動き
・工業規格 DB×1 → ISO 939規格に統合。
・家庭用規格 Singer 705型 → 130/705H（HA針）に統一。
・工業規格 DB×1 → ISO 939規格に統合。
・家庭用規格 Singer 705型 → 130/705H（HA針）に統一。
日本工業規格（JIS）
・JIS規格として家庭用針（HA系）、工業用針（DB系）を制定。
・「DB×1」や「HA×1」という表記が浸透。
・JIS規格として家庭用針（HA系）、工業用針（DB系）を制定。
・「DB×1」や「HA×1」という表記が浸透。
1980年〜現在
家庭用
・世界標準は130/705H（別名 HA×1）。
・太さは 9〜18（60〜110番）が一般的。
・世界標準は130/705H（別名 HA×1）。
・太さは 9〜18（60〜110番）が一般的。
工業用
・DB×1、DP×5など厚物縫い用。
・伸縮生地用（ニット針 H-SUK）、皮革用（H-LL）など特殊針が規格化。
・DB×1、DP×5など厚物縫い用。
・伸縮生地用（ニット針 H-SUK）、皮革用（H-LL）など特殊針が規格化。
特殊針
・ダブルニードル（ツイン針）、ウィング針、金属用など多様化。
・ダブルニードル（ツイン針）、ウィング針、金属用など多様化。
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🧵 年代別ミシン針規格の系統図（18世紀〜現代）
18世紀末〜19世紀初頭
└─ ワイゼンタール針（1755, 独）……最初期の専用縫製針
↓
19世紀中期
├─ Singer 家庭用針規格（1846〜）……初期の本縫いミシン用
└─ 欧州工業用針（独・仏で独自規格乱立）
20世紀前半（標準化前）
├─ 家庭用
│ └─ Singer 15型・家庭用針 …… 各国でバラバラ
│
└─ 工業用
├─ 16×231（欧州呼称）
└─ DB×1（日本・米国呼称）
→ 工業用本縫いの標準に定着
戦後（1940〜1950年代）
├─ 家庭用
│ └─ 130/705H（別名 HA×1） …… DIN規格化（独）
│ → 世界の家庭用標準に
│
└─ 工業用
└─ DB×1 が国際規格 ISO に統合
→ 世界工業用標準に
1970年代〜現代
├─ 家庭用
│ └─ 130/705H の派生
│ ├─ ニット用（STレッチ）
│ ├─ レザー用（皮革専用）
│ ├─ ダブルニードル（Twin）
│ └─ 金糸・刺繍用など特殊化
│
└─ 工業用
├─ DB×1（直線縫い標準）
├─ DP×5 …… 厚物・高速用
├─ UY×128 …… オーバーロック用
└─ 134R / 135×17 …… 特殊工業用展開
21世紀
├─ 家庭用
│ └─ 依然として 130/705H が世界標準
│ → 電子制御・コンピューターミシンにも継続
│
└─ 工業用
└─ DB×1 系列が主軸
→ 材質（チタンコート・セラミック）や
精度の進化で耐久性UP
🔑 まとめ
・19世紀 各社バラバラ → Singer主導で普及。
・20世紀前半 Singer系（家庭用）、ドイツ系（工業用）で二極化。
・戦後 ISO・JISで標準化（HA針／DB針）。
・現代 標準規格をベースに、用途別の特殊針が追加。
・20世紀前半 Singer系（家庭用）、ドイツ系（工業用）で二極化。
・戦後 ISO・JISで標準化（HA針／DB針）。
・現代 標準規格をベースに、用途別の特殊針が追加。
名言 「標準とは、過去の混乱と未来の普及をつなぐ架け橋である。」
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