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「AI」と「AI-S」の違い‐AIは機械式MFニッコールの基礎、AI-Sはその完成形

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「AI」と「AI-S」の違い‐AIは機械式MFニッコールの基礎、AI-Sはその完成形

「AI」と「AI-S」の違いは、ニコンMFレンズの操作性とカメラ側の制御方式の差にあります。構造は似ていますが、“撮影時の挙動”が一段洗練されたのが AI-S です。

◆ AI と AI-S の違い(結論から)

項目 AI(Automatic Indexing) AI-S(AI改良版 / Super)
世代 1977〜 1981〜
絞り制御 カメラ側からの制御が段階式 リニア(直線的)制御に改良
シャッター優先A/Sモード 一部機種で制限あり 対応しやすい(FA/PF系で必須)
絞りリングの動き 機械的でやや重め 軽くスムーズ
最短絞り位置の表示色 多くは「最小絞り=青」 多くは「最小絞り=オレンジ」
外観 ピントリングゴムが太めの世代 細くなっていることが多い
評価 MF初期の名玉多数 操作性が洗練された“後期の完成形”

◆ 違いの本質 絞り制御の“直線化”

AI-Sで最も重要なのは、 絞りリングの動きと光量変化が完全に直線的(リニア)になったこと です。
これにより
 ・カメラ側が絞り値を正確に読みやすい
・シャッター優先(S/Tv)での制御が安定
・自動露出精度が向上
・絞り動作が軽くて滑らか
結果として、FA・F301・F501 などの後期フィルム機で完璧に動作します。

◆ 操作感の違い(体感で分かるポイント)

操作項目 AI AI-S
ピントリングの感触 金属ヘリコイドの“ヌルヌル感”が強い 同じく滑らかだが軽快
絞りリングのクリック コツッと重め 軽く・正確で気持ち良い
レンズ全体の扱いやすさ 昭和の重厚感 昭和〜平成初期の“完成された設計”
オールドニッコールの操作の“極致”は AI-S と言われます。

◆ どっちが良い?(ポートレート視点)

撮影スタイル 向いているレンズ
味・階調重視のクラシック描写 AI(例:105mm f/2.5 前期)
操作性や滑らかさ重視 AI-S
D750・デジタルで安定した露出 AI も AI-S もOK(大差なし)
フィルム機の後期モデルで完全動作 AI-S が有利
両方いいのですが、操作の完成度はAI-Sが1段上です。

◆ 名玉で見る AI / AI-S の違い例

レンズ名 AI版 AI-S版
105mm f/2.5 ソンナ―→ガウスに進化、前期は味が濃い 操作性が軽快、描写の安定度も高い
28mm f/2.8 初期は普通の広角 AI-SはCRC搭載の名玉に進化
50mm f/1.4 重厚感がある描写 絞り制御が軽快で扱いやすい

AI-Sが単なる“マイナーチェンジ”ではなく、操作性と光学仕様が同時に成熟したタイミングでもあります。

◆ まとめ

・AIは機械式MFニッコールの基礎、AI-Sはその完成形です。
・絞り制御のリニア化により、後期フィルム機や自動露出での扱いやすさが大きく向上しました。
・どちらも金属鏡筒の滑らかさが魅力ですが、操作性はAI-Sが一歩リードしています。

名言 「成熟した機械は、操作するたびに静かな説得力を放つ。」

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