ニコン ポートレートレンズの歴史‐“人物をどう写すか”

ニコンの ポートレートレンズの歴史 は、「柔らかさ」と「解像感」という相反する要素の“理想的なバランス”を追い求めて進化してきました。時代ごとに思想が変わり、レンズの個性も大きく変化します。
◆ ニコン・ポートレートレンズの歴史(時代別の流れ)
| 時代 | 主なレンズ | 特徴 | ポートレートへの思想 |
|---|---|---|---|
| 1950–1960年代(レンジファインダー期) | 5cm f/1.4、8.5cm f/2 | “Nikkor”の名を世界に広めた時代 | 柔らかい描写、滑らかな階調 |
| 1970–1980年代(MF黄金期) | 105mm f/2.5、85mm f/1.8、135mm f/2.8 | 金属鏡筒+精密光学 | 人物の立体感と自然なボケ |
| 1980–1990年代(AF初期〜Dタイプ) | 85mm f/1.4D(AAA)、105mm f/2D DC、135mm f/2D DC | AF化・味を残す設計 | 肌の質感重視、ボケ味研究期 |
| 2000–2010年代(Gレンズ時代) | 85mm f/1.8G、85mm f/1.4G、58mm f/1.4G | デジタル前提の収差補正 | 滑らかな周辺ボケ+高描写 |
| 2018〜(Zマウント) | Z 85mm f/1.8 S、Z 85mm f/1.2 S | 新光学基準の時代 | 極限解像+自然ボケの両立 |
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◆ 名作レンズでたどるポートレートの進化
● 1. 105mm f/2.5(1971)
“ニコンの魂”と言われる歴史的名玉。
・ガウス型の柔らかい立体感
・背景の溶け方が自然
・金属鏡筒の精密ヘリコイド
・ガウス型の柔らかい立体感
・背景の溶け方が自然
・金属鏡筒の精密ヘリコイド
フィルム時代のポートレート基準を作った一本です。
● 2. 85mm f/1.4D “AAA”(1995)
プロが絶大に信頼したポートレートレンズ。
・肌の階調がきれい
・ボケが柔らかく暴れない
・中望遠として最も使いやすい距離感
・肌の階調がきれい
・ボケが柔らかく暴れない
・中望遠として最も使いやすい距離感
D750世代でも“人物はこれで十分”と言われる力があります。
● 3. DC(Defocus Control)シリーズ 105mm f/2D / 135mm f/2D(1993)
ニコン独自の“ボケ調整レンズ”。
・DCリングで前ボケ・後ボケの性格を操作
・背景の雰囲気を作り込める唯一の構造
・ポートレート専用の思想が色濃い
・DCリングで前ボケ・後ボケの性格を操作
・背景の雰囲気を作り込める唯一の構造
・ポートレート専用の思想が色濃い
「ボケを自分で作る」時代の象徴です。
● 4. 85mm f/1.4G(2010)
G世代のポートレート基準点。
・球面収差を絶妙に調整
・デジタル対応の高い解像
・ボケの滑らかさが圧倒的
・球面収差を絶妙に調整
・デジタル対応の高い解像
・ボケの滑らかさが圧倒的
“D → G” で、ニコンの人物描写はさらに洗練されました。
● 5. Z 85mm f/1.2 S(2023)
Z世代の“完成系ポートレートレンズ”。
・完全に乱れないボケ
・極限解像でも肌が硬くならない
・AFが高速で瞳AFも優秀
・完全に乱れないボケ
・極限解像でも肌が硬くならない
・AFが高速で瞳AFも優秀
ポートレート光学の長い積み重ねが結実した一本です。
◆ 用途別 ニコン歴代ポートレートレンズの代表
| 用途 | 最適モデル | 理由 |
|---|---|---|
| フィルムの雰囲気を味わう | 105mm f/2.5、85mm f/1.8 Ai | 階調が柔らかく、金属鏡筒の描写が味になる |
| クラシックなボケ味 | 85mm f/1.4D | “トリプルA”の自然ボケ |
| 柔らかめ+調整可能 | 105mm/135mm DC | ボケを作れる唯一のシリーズ |
| デジタルで万能 | 85mm f/1.8G | 軽量・高描写・コスパ最高 |
| 最高峰で撮りたい | Z 85mm f/1.2 S | ボケ・解像・AFすべて頂点 |
◆ ニコンのポートレート思想の変化
1. 1950〜70年代 柔らかい階調が中心
フィルムの“味”を重視し、過度にシャープにしない設計。
フィルムの“味”を重視し、過度にシャープにしない設計。
2. 1980〜90年代 ボケの質感を強く意識
85mm f/1.4D や DC レンズが誕生し、人物専用の思想が明確に。
85mm f/1.4D や DC レンズが誕生し、人物専用の思想が明確に。
3. 2000年代 デジタル高画素へ適応
解像力を上げつつ、肌の質感を壊さない方向へ。
解像力を上げつつ、肌の質感を壊さない方向へ。
4. Z時代 解像とボケを同時に極める
開放1.2でも乱れないボケ、瞳AFで“技術と光学が融合”。
開放1.2でも乱れないボケ、瞳AFで“技術と光学が融合”。
◆ まとめ
・ニコンのポートレートレンズは、105mm f/2.5 → 85mm f/1.4D → G世代 → Z世代 と段階的に進化してきました。
・各時代で“人物をどう写すか”という思想があり、光学の性格がはっきり変わります。
・今も昔も、ニコンは 自然な立体感と柔らかいボケ を大切にしていることが共通点です。
名言 「光をどう扱うかで、人物の物語は変わる。」
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