極秘の情報監視プログラム「PRISMプログラム」とは
PRISM（プリズム） は、アメリカ国家安全保障局（NSA）が2007年に開始した極秘の情報監視プログラムです。Microsoft、Google、Apple、Facebook などのIT企業を通じて、ユーザーの通信データを収集し、テロ対策や国家安全保障を目的として監視を行っていました。 2013年、元NSA職員のエドワード・スノーデンが、このプログラムの存在を暴露し、世界中で大きな波紋を呼びました。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| PRISMの仕組み | ・NSAがIT企業のサーバーから直接データを収集 ・対象データ：メール内容、チャットログ、通話履歴、クラウドデータ、検索・閲覧履歴、SNS投稿・メッセージ ・リアルタイムでデータを分析し、テロリストや脅威となる人物を特定 |
| 参加企業とMicrosoftの関与 | ・Microsoft（2007年）：最初の参加企業、Outlook、Skype、OneDriveのデータ提供 ・Yahoo!（2008年）：メール、検索履歴提供 ・Google（2009年）：Gmail、YouTube、Google Driveデータ提供 ・Facebook（2009年）：ユーザーデータ、メッセージ履歴提供 ・Apple（2012年）：iCloudデータ提供 ・Dropbox（2013年予定）：クラウドストレージデータ提供計画 |
| PRISMの問題点と世界的な影響 | 1. 個人情報の大規模収集：一般市民も対象、51%が国外の人物 2. IT企業の信頼性低下：関与否定後に部分的協力を認める 3. ヨーロッパでの反発：GDPRの導入のきっかけに |
| PRISM事件後の変化 | 1. IT企業のセキュリティ対策強化：暗号化強化、透明性向上 2. 米国 vs. EU のデータプライバシー問題：EU市民データの米国移転制限 3. 個人のプライバシー意識向上：プライバシー重視サービスの人気上昇、VPN利用増加 |
PRISMの仕組み
🔹 チャットログ（Facebook, Skype, WhatsAppなど）
🔹 通話履歴（Skype, Google Voice など）
🔹 クラウド上のデータ（Google Drive, OneDrive, iCloudなど）
🔹 検索履歴・ブラウザの閲覧履歴
🔹 SNSの投稿やメッセージ（Facebook, Twitterなど）
NSAはこのデータをリアルタイムで分析し、テロリストの活動や国家の脅威となる人物を特定することを目的としていました。
参加企業とMicrosoftの関与
| 企業 | PRISMへの参加時期 | 備考 |
|---|---|---|
| Microsoft | 2007年 | PRISMに最初に参加。Hotmail（Outlook）やSkype、OneDriveのデータ提供 |
| Yahoo! | 2008年 | メールや検索履歴の提供 |
| 2009年 | Gmail、YouTube、Google Driveのデータ提供 | |
| 2009年 | ユーザーデータやメッセージ履歴の提供 | |
| Apple | 2012年 | iCloudのデータ提供 |
| Dropbox | 2013年（予定） | クラウドストレージデータの提供計画 |
PRISMの問題点と世界的な影響
・PRISMは「テロ対策」として運用されていたが、実際には一般市民のデータも広範囲に収集されていたことが問題視された。
・スノーデンのリークによると、「監視対象の51％がアメリカ国外の人物」であり、外国人の通信も大量に収集されていた。
・GoogleやMicrosoftなどの企業は当初、PRISMへの関与を否定したが、後に部分的な協力を認めた。
・企業の透明性が問題視され、プライバシー保護のために通信の暗号化が急速に進むきっかけとなった。
・EU（欧州連合）はPRISMによる監視を強く批判し、EU市民のデータが米国政府に監視されることを問題視。
・これをきっかけに、2018年にGDPR（一般データ保護規則）が導入され、EU圏のデータ保護ルールが厳格化された。
PRISM事件後の変化
・2014年以降、MicrosoftやGoogleはエンドツーエンド暗号化を強化し、政府機関のデータ要求に対して透明性を向上させる対応を取った。
・Microsoftはデータ提供の際にユーザーへ通知する方針を導入した（ただし例外もあり）。
・「シュレムスII判決」（2020年） により、EU市民のデータを米国に移転することが大幅に制限されることに。
・米国政府の監視を回避するため、欧州企業は米国クラウド（Azure, AWS, Google Cloud）を避ける傾向が強まった。
・SignalやProtonMailのようなプライバシー重視のサービスが人気に。
・VPNの利用者が増加し、政府の監視を避ける動きが強まる。
まとめ
この事件をきっかけに、各国でデータ保護の法整備が進み、企業のセキュリティ対策も強化されましたが、現在も政府による監視プログラムは形を変えて継続している可能性が高いと考えられています。
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