『ドラゴンクエスト2』幻の湖に囲まれた『サマルトリア城』
ご訪問ありがとうございます。
今回は、『ドラゴンクエスト2』幻の湖に囲まれた『サマルトリア城』をご紹介します。
幻の湖に囲まれた『サマルトリア城』?
『サマルトリア城』は、『ドラゴンクエスト2』でゲームスタートする場所だよ。
『ドラゴンクエスト』のスタートは、
『ドラゴンクエスト』制作の教訓から、『お城』からスタートするようになったんだ。
だから『ドラゴンクエスト2』でも『サマルトリア城』という『お城』からスタートするんだけど。
この『サマルトリア城』は、ゲームが完成した時には、別の場所にあったんだ。
なぜ、そうなったかというとドラゴンクエスト2』制作チームが
開発段階でトラブルに遭遇したからなんだ。
トラブル?
そんな、なぜ幻の『サマルトリア城』になってしまったかの開発秘話をご紹介します。
『ドラゴンクエスト2』の企画スタート
『ドラゴンクエスト2』の企画がスタートして、およそ7ヶ月後。
『ドラゴンクエスト2』は、プログラムも完成し
いよいよ、ゲームのバランス調整をする段階にはいっていた。
当初の予定より少しは遅れたが
11月初旬ゲームプログラムは一応の完成。
このまま商品化すれば、予定通り年内発売
つまり12月下旬に発売可能である。
だが、しかし!
制作チームは、11月初旬にゲームプログラムが完成すると
次は、とても重要な『ゲームバランス調整』の作業に入るんだ。
『ゲームバランス調整』?
『ゲームのバランス調整』とは
実際にゲームをプレイしてみて
バグ発見やゲームが面白くなるように、ゲームを再調整することなんです。
『ドラゴンクエスト2』制作チームは、『ゲームのバランス調整』をとても重要だと思っていたんだ。
実際にゲームプレイをしたときに
ユーザーに
このゲーム面白いねー。
とユーザーの喜んでもらうには
ゲームが完成してから『ゲームのバランス調整』でどれだけ面白いゲームにできるかが勝負なんだよ。
ということで、制作チームは早速、
『モニター』を集めてゲームをプレイしてみることに。
『ドラクエ2』の『ゲームのバランス調整』スタート
そして、制作チームは早速、ゲームをスタートしてみることに。
ゲームスタート
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
うーー
なんで直ぐ『ゲームオーバー』するんだー。
『ドラクエ2』では、最初、主人公のプレイヤーは1人ですからね。
・・・・
それに、モンスター強すぎるかもしれませんね。
モンスターの数も沢山出てきてますかね。
これじゃー、仲間を見つけずに『ゲームーオーバー連発』だよ。
これは、プレイヤーがへこみますね。
『ゲームオーバー』
うーむ、やっぱり主人公のキャラクターの強さと
モンスター側の強さのバランスが全然だめですね。
中村くん(プログラマー)のほうから
先頭のシミュレータ(プレイヤーのデータ・モンスターのデータ)を入れてもらって
テストしながら設計したんだけどなー。
実際にゲームでプレイしてみると・・・
あっぱり、シュミレーションとプレイしてみるとでは
違うなー。
これは、徹底的にバランス調整し直さなきゃならんな。
これじゃー、12月下旬の発売は無理ですねー。
やむを得ない。
千田さんがまた頭抱えますねー。
・・・・・
千田さん頭ハゲますよ。
納得できるゲームが完成するまでは、発売はできない。
というわけで、商品化を1ヵ月遅らせて
ゲームバランス調整がはじまったのだった。
『ローレシア大陸』のスタート地点で、直ぐにゲームオーバーしてしまう問題は
『ローレシア大陸』においては、同時に出現するモンスターの数を3匹までとした。
そして、大幅なバランス調整を終えて
再び遊んでみる。
では、気を取り直してゲームスタート
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
『ゲームオーバー』
うー、なぜだー
モンスターの数も減らして、
バランス調整も徹底的に変更したのにー。
無理もないですよ、
一人目の主人公は『呪文』が使えませんからねー。
いくらレベルが上がってもホイミ(体力回復)の呪文を覚えられないから
そのつど薬草をつかったり宿屋に泊まったりしなければなりませんからね。
宿屋に着く前に『モンスター』に襲われて
ゲームオーバーになっちゃうんですよ。
遠出をすれば、まず生き残れませんよー。
うーむ、どうしようか
せっかく『ドラゴンクエスト2』ではパーティー制を導入して
本格的なRPGを目指したのにー。
そうですねー
せめて『宿のある町』から近ければ
なんとかなると思うんですけど。
『宿のある町』から近ければ・・・
そうか、スタート地点の『城』から体力を回復させる『宿』が遠いからかー。
そうだ、スタート地点の城を宿屋のある『リリザの町』
の近くに移動させては?
『サマルトリアのお城』をですか?
そう、そうすれば、呪文の使えない主人公でも
『リリザの町』の宿で体力を回復できるじゃない。
そうですねー、いいかもしれませんね。
というわけで、『サマルトリアのお城』の位置を変更してみるんだ。
実をいうと、最初『サマルトリア城』は現在の湖の位置にあったんだ。
しかしそこは、宿屋のある『リリザの町』からはあまりに遠い。
ここは仲間とふたりになってから来るようにしよう。
『ドラゴンクエスト2』発売時に、LPレコードが発売されていますが
なんとジャケットの裏に、
湖に囲まれている城の写真が出ています。
これが実は初期の『サマルトリア城』。
LPレコードのジャケットの撮影が比較的早めに行われたため
ジャケット写真は初期のバージョンのものになってしまったのでした。
このLPレコード貴重品ですね。
そんなわけで『サマルトリア城』を『リリザの町』に近づけたのはいいけど、
それだけだと、せっかくの湖が何の意味もなさなくなってしまう。
というか、こっち方面に来る必要がなくなってしまう。
せっかく地形までつくったのに、それはもったいないですね。
というわけで、『元サマルトリア城』の位置には洞窟を置いたのだった。
このことにより、モンスターの分布図の再構成
さらに元の『サマルトリア城』の位置を洞くつにしたため
アイテムのある場所の再考などの問題がおこってきたが、
ゲームバランスをとるためだからと、再びそれらのデータを作りなおすことに・・・。
ひえー
さらに試してみて、モンスターデータやレベル設定、武器・防具の値段、効力を調整してゆく。
これで、12月までの発売は望みは、露と消えた・・・・
いうまでもなくRPGはバランスが命である。
そして、バランスをとるためには、実際にプレイしてみて
データを少しずつ変更し
またプレイし、さらに変更してゆく、という方法しかない。
というわけで、当初スタート地点だった、湖に囲まれた『サマルトリアのお城』は、
宿のある『リリザの町』の近くに移設され、
そして、湖に囲まれた『サマルトリアのお城』から
湖に囲まれた『洞窟』へと変貌してしまったのである。
まさか、ユーザーは、『洞窟』へ入る時に
昔、『サマルトリアのお城』あったとは知る由もない。
ということで
湖に囲まれた『サマルトリア城』は
『幻』と城となったのです。
『ドラゴンクエスト2』の制作チームは、
『ゲームのバランス調整』に熱心ですね。
実際にゲームをプレイしてみて
それから、ゲームをいかに面白くするかに時間を費やすのは
『ドラゴンクエストシリーズ』の重要な方針なんだよね。
だから『ドラクエ』こんなにも
ユーザーに支持され続けるんだろうようね。
ちなみに『ドラゴンクエスト2』が無事
12月中旬に完成することができました。
そしてに堀井さんは、胃かいようで、倒れてしまい。
プログラマーの中村さんは、一時廃人になりました。
燃え尽きた。真っ白にな・・・・
今回は、ここまで。
ご閲覧ありがとうございました。