【3DOリアル】3DOREAL（FZ-1）3DOREAL2（FZ-10）のご紹介～短命に終わった3DOの栄光なきヒストリー～

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今回は、90年代の次世代ゲーム機ゲーム機戦争で先陣を切りながらも3年という短い期間で終わりを告げた、3DO（松下）についてご紹介させて頂きます。

3DORealから発売された名作（7本）プレミアム・人気（16本）・全タイトル（215本）をご紹介します。

94年、スーパーファミコンに継ぐ、次世代ゲーム機戦争の幕が切って落とされた。

その新時代の扉を開けたのが3DO陣営でした。そして94年3月20日、松下電器産業が3DOREAL発売されます。

この家庭用ゲーム機はCD-ROMドライブを搭載した32bitゲームマシンであり、同年に登場するセガサターン（セガ）やプレイステーション（ソニー）などと合わせて『第5世代ゲーム機』と言われるようになります。

この第5世代ゲーム機の特徴は光メディアの採用した大容量化とマルチメディア展開、高画質ムービーやオーケストラの生演奏も収録でき、音楽CDやフォトCDの再生などゲーム機が家電のように機能する時代の到来することになるんです。

マルチメディア・マシン。そうこそがまさに家電メーカーの松下がゲーム業界で勝機を見出したポイントだったのです。

マルチメディアという言葉は現在は死語になってしまいましたが、90年代には頻繁に言われていた言葉でしたね。

3DO規格の提唱者はエレクトロニック・アーツ創業者のひとり、トリップ・ホーキンスです。

彼はライセンシー会社である3DO社を設立し、ライセンス供与先メーカーがハードを製造し、ハードやソフトが売れるごとにライセンス料を得るという、これまでのゲーム業界ではあまり類を見ないビジネスモデルを構築します。

3DO端末を発売するのは1社ではなく、松下や三洋、金星社(現：LGエレクトロニクス)など3社から商品が発売されていたのもそのためなのです。

3DO端末は松下、三洋以外にも東芝やAT&Tなどもメーカーも参入を表明していました。

しかし実際には

• 金星社(現：LGエレクトロニクス)の『3DOALIVE』『3DOALIVE2』
• クリエイティブテクノロジーのPC用ボード、『3DOBlaster』を発売するにとどまってしまいます。

関連端末としては、松下がその後『M2』という3D後継機を発表しましたが、その後一般販売はされることはなく、コナミのアーケードゲーム基板などの業務用分野で使われたことが確認されています。

東芝はカーナビ対応の3DO本体を発売する予定でした。3DOの出荷台数の低迷から計画は中止されます。

3DOはゲームだけを志向した規格ではなかったのです。
90年代によく語られていたマルチメディア構想の一環・・・

テレビ、映画、音楽、出版、教育、ゲームなどの他業種を巻き込むコンテンツ構想の中心となるものだったのです。

発売当時のファミ通(94年3月11日号)でインタビューで、3DO構想の中心人物であるトリップ・ホーキンスは

と捉えており、実際、ホーキンスさんはこのマシン（3DO）を『ゲーム機』ではなく『インタラクティブ・マルチプレイヤー』と呼ぶのを好んだといいます。

はたしてこのビジョンはユーザーに受け入れられるかどうかは、市場に投入してみないとわかりませんが・・・・

いよいよ、3DOの発売、従来ゲーマー以外へのリーチが期待されたが・・・

94年3月、3DOが日本市場で発売されることになります。
そしてこの年の後半には、

• SNKからネオジオCD、
• セガからセガサターンが
• ソニー（SCE）からは、プレイステーションが発売されることになります。

マルチプレイヤーと提唱する3DOとバリバリーのゲーム機で勝負する、プレイステーションやセガ・サターンとの戦いはいかに・・・

しかし3DOのライバル機より半年以上早い市場投入もアドバンテージにはならず、この年はアーケード市場で大人気のバーチャルファイターを看板に発売されたセガサターンが優勢に。

翌年になるとプレイステーションも負けてはおらず、次々とサードパーティを増やすながら、得意の低価格攻勢でセガサターンを追いかけることになります。

一方の3DO（松下）は、逆ザヤ覚悟で本体ハードの普及を図るセガやSCE（ソニー）に対し、本体ハードでも利益を上げる家電寄りのビジネスモデルで勝負することになります。

その結果、ゲーム業界独特の価格競争に巻き込まれるようなり、翌年にはライバルマシンに対抗するため廉価モデルの『3DOREAL2』を発売しましが価格面で苦戦を強いられることになります。

加えてキラータイトル不足が痛かった。

スーパーストリートファイター2X（カプコン）、ポリスノーツ（コナミ）、Dの食卓（ワープ）など高い評価を得る作品も登場しますが、いずれのタイトルも安価なライバルマシンに移植されることになってしまします。

3DOのゲームタイトルは洋ゲー趣向の作品が多く、更に3DO陣営いわく

という3DOのソフト展開（教育ソフト多数）は、リッジレーサー（PS）やバーチャファイター（セガサターン）などのビックタイトルを揃えるライバルマシンから比べるとインパクトの少ないマシンとなり、発売から2年目で、そうそう苦境に立たされてしまうことになります。

北米展開でのつまずきもあり、94年初頭には5000万ドルもの赤字を出していたという3DO社。

そして3DOの発売から2年も経たない95年12月、後継規格『M2』の独占使用権を松下へおよそ1億ドルで売却し、事実上撤退することになってしまいます。

そして残ったのは、松下電器のみに・・・

松下はその後、新たなプロモーションに努めるもM2への参入表明メーカーが飯野賢治率いるワープ1社という状況。（この頃、ワープ社はDの食卓2を開発中でした。）

しかし2年後の97年7月にM2の発売を断念し、ゲーム業界撤退の判断を下すこととなります。

ゲーム機に徹したプレイステーションとセガサターンが勝ち、マルチメディアを志向した3DOが負けることになったのです。

ちなみに世界一売れなかった家庭用ゲーム機、ピピンアットマーク（バンダイ・アップル）もマルチメディア・マシンを提唱していました。

結果、3DO端末は全世界で200万台を出荷し、そのうち日本市場では最多の出荷台数の73万台を記録し終焉を迎えることになります。

3DOは日本では松下（2機種）とサンヨー（1機種）の合計3機種が発売されていました。

日本市場に投入された3DO端末は3機種。3DO規格に基いて設計された端末の性能はどうだったのでしょうか?

94年3月に発売された初代、3DOREAL（FZ-1）はギリシャ神殿を思わせる妙に神秘的な外観が印象に残るデザインを採用していました。

フォトCDやビデオCD(要周辺機器)再生機として重宝したユーザーもいました。（アメリカでは1年前の93年10月に発売されています。）

初代3DOREALのメインとなるチップは

• CPUのARM60（アーム社）を搭載し
• グラフィック処理にはMADAMチップ
• サウンド及び周辺処理を行うCLIOチップが採用されていました。

CPUはインテルi486DX（89年）相当の性能、処理能力は11MIPSでプレイステーションのCPU、R3000が30MIPSなので性能はPSと比べて、1/3くらい落ちてしまいます。

CD-ROMドライブユニットは、ATAPI(E-IDE)規格のドライブが普及する以前のハードのため、サウンドカード経由でユニットを接続していた頃のPanasonic型ドライブをベース開発が行われていました。

ちなみに当時のCD-ROMドライブは、音楽CDを鳴らすためのオーディオ信号をPCで処理する必要があったために、サウンドカードとセットで売られていました。

またインターフェース規格がまだ統一されていなかったためMITSUMI製、SONY製、Panasonic製などの規格があり、それぞれ異なるインターフェースで接続しなければならなかった時代です。

実は三洋電機も3DO端末を発売していました。
外観は完全に『VHSビデオデッキ』。まさに家電屋がつくったマシンそのものですね。

国内発売の3機種では3DO TRY（三洋電機製）が最も消費電力が小さいのです。
(2代目・REAL 2 17W → 初代・3DREAL 16W → 3DO TRY 11W)

3DO TRYの取扱店舗は極端に少な かったため、雑誌広告には全店舗名と 電話番号を掲載されていました。

3DO TRYは発売わずか1年で製造中止。累計出荷台数は2万台足らずでした。

初代マシン発売から半年後の94年11月に安価なプレステやセガサターンに対抗すべく、登場したのが2代目3DOREAL2（FZ-10）です。

初代モデルの価格が54,800円のところを1万円も安い、44800円という3DO・廉価版として発売されまいした。当然ながら半年前に初代を購入したユーザーは激怒・・・

初代、3DOREALからわずか8カ月後に発売された2代目、3DOREAL2（FZ-10）は1年もしないうちの10000円の大幅値下げは初代機ユーザーから大ひんしゅくを買うことになります。

しかし、ライバルのセガサターンやプレイステーションが採算度外視の価格で勝負してくたのですから仕方がないことかもしれません。

2代目、3DOではコストダウンのため、CD-ROMドライブの制御部が本体基板に統合され、スチール製の構造部品が大幅に削減されています。

プレイステーションのようなチップを統合してコストダウンをするような技術の進化は見られませんが。

• 本体の回路構成は初代から大きな変更はないようですが、
• ドライブ部はピックアップメカが直接本体基板にマウントされる形式に変更され、
• 電源も初代機のトランス電源方式からスイッチング電源方式になり、
• 本体が小型軽量化されています。（初代2.5キロから1.7キロと5キロの減量に成功）

初代3DO、2代目3DOともにハードの性能は、同年発売されたプレイステーションに比べるとCPUが1/3、GPUが1/8程度と性能面では劣勢でした。

しかし次世代規格の3DO M2ではプレイステーションの4～5倍の性能がありました。

しかしこの次世代（M2）は家庭用ゲーム機としては発売されず、住宅展示場などの説明ムービーの再生などに利用され、最後は自動販売機の組み込み基板などとして役目を終えることになります。

そんな、僅か3年という短命に終わった3DOですけれども、ハードのプラットフォームをライセンスするという売り方は当時、最先端だったようにも思えます。

しかし、設計と製造販売が別会社というような小回りの利かない体制は当時の技術革新と進歩の速かったゲーム業界にマッチしなかったのかも知れません。

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