- インドの税制の歴史
- 1. 古代インド（紀元前1500年～1000年） ヴェーダ時代の税制
- 2. 古典時代（紀元前300年～600年） マウリヤ朝・グプタ朝の税制
- 3. イスラム時代（1206～1526年） デリー・スルタン朝の税制
- 4. ムガル帝国（1526～1857年） ザミンダーリー制度
- 5. イギリス植民地時代（1757～1947年） 近代税制の導入
- 6. 独立後（1947年～現在） 税制改革
- 7. 現代インドの税制（2024年時点）
- まとめ
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インドの税制の歴史
インドの税制は、古代の土地税と商業税から始まり、ムガル帝国時代のザミンダーリー制度、イギリス植民地時代の収税制度を経て、独立後の所得税・付加価値税（GST）改革へと発展しました。特に2017年のGST導入が近年の大きな税制改革です。
| 時代 | 主な税制・特徴 | 背景・影響 |
|---|---|---|
| – バリ税：収穫の一定割合を王に納める – ブータ税：動物や特産品に課税 – ヴェーダ文献に王による徴税の記述 |
農業中心の社会で土地や収穫物を基盤とした課税体系 | |
| – マウリヤ朝：アルタシャーストラに基づく詳細な税制 ・農業税（生産物の25%） ・塩税、道路税、関税 – グプタ朝：商業税・輸送税の発展、宗教施設への免税措置 |
貨幣経済の発展と商業活動の活性化 | |
| – ジズヤ（人頭税）：非ムスリム対象 – カラジ（土地税）：収穫の1/3を納税 – 商業税が発展し都市経済が活性化 |
イスラム教支配下で非ムスリムへの課税強化、都市経済の成長 | |
| – ザミンダーリー制度：封建地主制による徴税 – アクバル帝：トダル・マルによる農地生産量に基づく課税（収穫の1/3） – アウラングゼーブ帝：ジズヤ復活、貿易関税拡大 |
農業中心の徴税体制から商業活動への課税拡大へ移行 | |
| – ザミンダーリー制（地主から徴収）とライヤットワーリー制（農民から直接徴収） – 1871年：インド初の近代的所得税導入 – 塩税強化（ガンディー「塩の行進」の要因） |
植民地支配下で財政確保を目的とした重い課税体制、農民への負担増大 | |
| – 社会主義期（1950～70年代）：高額所得者に最大97%課税、企業国有化 – 経済自由化（1980年代以降）：所得税・法人税減少、輸入関税削減 – 2017年：GST導入で間接税統一 |
経済自由化と市場経済化を背景にした改革。GST導入で全国統一の消費課税制度確立 | |
| – 所得税：累進課税制（5%～30%） – 法人税：25%（中小企業15%） – GST：5～28% – 関税：輸入品への課税 |
保護主義政策を維持しつつ国際競争力強化を目指す現代的な課税体系 |
1. 古代インド（紀元前1500年～1000年） ヴェーダ時代の税制
・ヴェーダ文献（リグ・ヴェーダ、マヌ法典）に、王が税を徴収する記述がある。
・バリ（Bali）税 収穫の一定割合を王に納める制度。
・ブータ税（Bhuta） 動物や特産品の税。
・バリ（Bali）税 収穫の一定割合を王に納める制度。
・ブータ税（Bhuta） 動物や特産品の税。
2. 古典時代（紀元前300年～600年） マウリヤ朝・グプタ朝の税制
マウリヤ朝（紀元前321～185年） 税制の確立
・アルタシャーストラ（政治論書）に、詳細な税制の記述あり。
・生産物の25%が税（農業税中心）。
・塩税・道路税・関税なども導入。
・アルタシャーストラ（政治論書）に、詳細な税制の記述あり。
・生産物の25%が税（農業税中心）。
・塩税・道路税・関税なども導入。
グプタ朝（320～550年） 貨幣経済の発展
・商業税・輸送税が増加。 ・宗教施設への免税措置が発展。
・商業税・輸送税が増加。 ・宗教施設への免税措置が発展。
3. イスラム時代（1206～1526年） デリー・スルタン朝の税制
ジズヤ（Jizya） 非ムスリムへの人頭税を導入。
・カラジ（Kharaj）。土地税（収穫の1/3を納税）。
・商業税が発達し、都市経済が活性化。
・カラジ（Kharaj）。土地税（収穫の1/3を納税）。
・商業税が発達し、都市経済が活性化。
4. ムガル帝国（1526～1857年） ザミンダーリー制度
アクバル帝（1556～1605年）の税制改革
・トダル・マルによる税制改革。
・ザミンダーリー制度（封建地主制）を確立。
・農地の生産量に基づき課税（収穫の1/3）。
・ジズヤ（人頭税）を一時的に廃止。
・トダル・マルによる税制改革。
・ザミンダーリー制度（封建地主制）を確立。
・農地の生産量に基づき課税（収穫の1/3）。
・ジズヤ（人頭税）を一時的に廃止。
アウラングゼーブ帝（1658～1707年）
・ジズヤを復活し、非ムスリムの負担増大。
・貿易関税を拡大し、ヨーロッパ商人との取引を制限。
・ジズヤを復活し、非ムスリムの負担増大。
・貿易関税を拡大し、ヨーロッパ商人との取引を制限。
5. イギリス植民地時代（1757～1947年） 近代税制の導入
東インド会社統治（1757～1857年）
・1765年、ベンガルでディーワーニ（徴税権）を取得し、本格的な植民地課税を開始。
・ザミンダーリー制度（地主制）を強化し、地主が税を集めてイギリスに納付。
・1765年、ベンガルでディーワーニ（徴税権）を取得し、本格的な植民地課税を開始。
・ザミンダーリー制度（地主制）を強化し、地主が税を集めてイギリスに納付。
イギリス植民地政府（1858～1947年）
・1871年 所得税を導入（インド史上初の近代的所得税）。
・塩税の強化（ガンディーの「塩の行進」の要因）。
・1943年 第二次世界大戦の戦費調達のため増税。
・1871年 所得税を導入（インド史上初の近代的所得税）。
・塩税の強化（ガンディーの「塩の行進」の要因）。
・1943年 第二次世界大戦の戦費調達のため増税。
6. 独立後（1947年～現在） 税制改革
1950～1970年代 社会主義的税制
・高額所得者に最大97%の税率（1970年代）。
・企業の国有化と高税率政策。
・高額所得者に最大97%の税率（1970年代）。
・企業の国有化と高税率政策。
1980年代 経済自由化と減税
・インディラ・ガンディー政権後、所得税の最高税率を50%以下に引き下げ。
・輸入関税を削減し、貿易の自由化を促進。
・インディラ・ガンディー政権後、所得税の最高税率を50%以下に引き下げ。
・輸入関税を削減し、貿易の自由化を促進。
1991年 経済改革
・マンモハン・シン財務相（後の首相）が市場経済化を推進。 ・法人税・所得税を段階的に削減。
・マンモハン・シン財務相（後の首相）が市場経済化を推進。 ・法人税・所得税を段階的に削減。
2017年 GST（物品・サービス税）の導入
・中央政府と州政府の税を一本化し、全国統一の消費税（GST）を導入。
・税率は5%、12%、18%、28%の4段階（贅沢品は28%）。
・中央政府と州政府の税を一本化し、全国統一の消費税（GST）を導入。
・税率は5%、12%、18%、28%の4段階（贅沢品は28%）。
7. 現代インドの税制（2024年時点）
主要な税目
1. 所得税 累進課税制（5%～30%）。
2. 法人税 25%（中小企業は15%）。
3. GST（物品・サービス税） 5～28%。
4. 関税 輸入品に対する課税（保護主義政策）。
1. 所得税 累進課税制（5%～30%）。
2. 法人税 25%（中小企業は15%）。
3. GST（物品・サービス税） 5～28%。
4. 関税 輸入品に対する課税（保護主義政策）。
まとめ
1. 古代は土地税と商業税が中心、ヴェーダ時代から税制が発展。
2. ムガル帝国時代のザミンダーリー制度が後の地主制に影響。
3. イギリス植民地時代に所得税・塩税・関税が整備され、経済の搾取が進む。
4. 独立後の社会主義的税制を経て、1991年以降は自由市場経済へ移行。
5. 2017年にGSTを導入し、全国統一の消費税制度を確立。
2. ムガル帝国時代のザミンダーリー制度が後の地主制に影響。
3. イギリス植民地時代に所得税・塩税・関税が整備され、経済の搾取が進む。
4. 独立後の社会主義的税制を経て、1991年以降は自由市場経済へ移行。
5. 2017年にGSTを導入し、全国統一の消費税制度を確立。
インドの税制は、歴史の中で大きく変化しながらも、経済発展に合わせた改革を続けています。
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