フランス：税の歴史
フランスの税制は、中世の封建制度から始まり、絶対王政、革命、近代化を経て現在の形になりました。王権の強化や革命の発端、戦費調達など、歴史の重要な転換点で税が大きな役割を果たしています。以下、時代ごとにご紹介します。
| 時代区分 | 主な出来事・税制の特徴 |
|---|---|
| – 封建制と荘園税: 貴族や聖職者が農民から地代（Cens）や労役（Corvée）を徴収。国王の直接税収は少なく、戦争時に特別課税を実施。 – ガベル（Gabelle）の導入: 14世紀に塩税を導入し、民衆に負担を強いる。 |
|
| – 絶対王政と重税: ルイ14世のもとで税負担増大。主な税金はタイユ（土地税）、ガベル（塩税）、カピタシオン（人頭税）、ドゥアーヌ（関税）。 – 第三身分の負担集中: 貴族・聖職者が優遇され、庶民がほぼ全ての税を負担。これがフランス革命の原因となる。 |
|
| – 封建的税制の廃止: タイユ、ガベル、カピタシオンなどの不公平な税を廃止。 – 土地税の導入: 1791年に土地税（Contribution foncière）を導入し、間接税と関税で財政維持。 |
|
| – 租税制度の近代化: 土地税・家屋税・商工業税・人頭税の4本柱を確立。徴税機関を整備し、効率向上。 – 塩税復活: 公平な全国一律の塩税を導入し、間接税収入を拡大。 |
|
| – 間接税の増加: 酒税、たばこ税、消費税などが導入され、間接税中心の体制が定着。 – 関税引き下げ: 1860年にイギリスとの自由貿易条約締結で関税引き下げ。 |
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| – 所得税導入 (1914年): 戦争資金調達のため初めて所得税を導入し、累進課税を強化。 – 社会保障制度確立 (1945年): 社会保険料（CSG, CRDS）や付加価値税（TVA）を導入。 |
|
| – 主要な現代税制: 所得税（最大45%）、法人税、付加価値税（TVA, 現在20%）。 – 近年の改革: マクロン政権下で法人税率引き下げやデジタル課税導入。「黄色いベスト運動」による燃料増税撤回など。 |
1. 中世（9～15世紀）
封建制と荘園税
・フランスの封建制度下では、土地の所有者である貴族や聖職者が農民から地代（Cens）や労役（Corvée）を徴収。
・国王の直接の税収は少なく、戦争時には特別な課税を行うことがあった。
・フランスの封建制度下では、土地の所有者である貴族や聖職者が農民から地代（Cens）や労役（Corvée）を徴収。
・国王の直接の税収は少なく、戦争時には特別な課税を行うことがあった。
間接税「ガベル（Gabelle）」の導入
・14世紀、フィリップ6世が戦費調達のために塩税（Gabelle）を導入。
・塩は生活必需品であり、この税は民衆にとって大きな負担となった。
・14世紀、フィリップ6世が戦費調達のために塩税（Gabelle）を導入。
・塩は生活必需品であり、この税は民衆にとって大きな負担となった。
2. 近世（16～18世紀）
絶対王政と重税
・16～17世紀、フランスはルイ14世のもとで絶対王政を確立。戦争や宮廷の豪華な支出により、税負担が増大。主な税金は以下の通り
1. タイユ（Taille） ・土地税（主に農民に課税、貴族は免除） 2. ガベル（Gabelle） ・塩税（貴族も対象）
3. カピタシオン（Capitation） ・人頭税（1685年導入、身分ごとに異なる税額）
4. ドゥアーヌ（Douane） ・関税
・16～17世紀、フランスはルイ14世のもとで絶対王政を確立。戦争や宮廷の豪華な支出により、税負担が増大。主な税金は以下の通り
1. タイユ（Taille） ・土地税（主に農民に課税、貴族は免除） 2. ガベル（Gabelle） ・塩税（貴族も対象）
3. カピタシオン（Capitation） ・人頭税（1685年導入、身分ごとに異なる税額）
4. ドゥアーヌ（Douane） ・関税
・フランスの税制は貴族・聖職者が優遇され、第三身分（庶民）がほぼ全ての税を負担。 ・これがフランス革命（1789年）の一因となる。
3. フランス革命と税制改革（1789～1804年）
封建的税制の廃止
・1789年、フランス革命勃発。国民議会は貴族・聖職者の免税特権を廃止。
・タイユ、ガベル、カピタシオンなどの不公平な税は廃止。
・1789年、フランス革命勃発。国民議会は貴族・聖職者の免税特権を廃止。
・タイユ、ガベル、カピタシオンなどの不公平な税は廃止。
土地税の導入
・1791年、新税制が制定され、土地税（Contribution foncière）を導入。
・統一的な所得税制度はまだ存在せず、主に間接税と関税で財政を維持。
・1791年、新税制が制定され、土地税（Contribution foncière）を導入。
・統一的な所得税制度はまだ存在せず、主に間接税と関税で財政を維持。
4. ナポレオン時代（1804～1815年）
租税制度の近代化
・ナポレオンは安定した財政基盤を築くため、中央集権的な税制を導入。
・土地税・家屋税・商工業税・人頭税の4本柱を確立。
・徴税機関（フランス財務省）を整備し、徴税の効率を向上。 ・「フラン（Franc）」を新通貨として統一し、税収の安定化を図る。
・ナポレオンは安定した財政基盤を築くため、中央集権的な税制を導入。
・土地税・家屋税・商工業税・人頭税の4本柱を確立。
・徴税機関（フランス財務省）を整備し、徴税の効率を向上。 ・「フラン（Franc）」を新通貨として統一し、税収の安定化を図る。
5. 19世紀 産業革命と税の変化
間接税の増加
・19世紀の産業革命に伴い、酒税、たばこ税、消費税（税務印紙）が導入。
・直接税よりも、国民に広く負担を求める間接税中心の税制が定着。
・19世紀の産業革命に伴い、酒税、たばこ税、消費税（税務印紙）が導入。
・直接税よりも、国民に広く負担を求める間接税中心の税制が定着。
関税の引き下げ
・ナポレオン戦争後、保護主義的な関税を維持していたが、1860年にイギリスとの自由貿易条約を締結し、関税を引き下げ。
・ナポレオン戦争後、保護主義的な関税を維持していたが、1860年にイギリスとの自由貿易条約を締結し、関税を引き下げ。
6. 20世紀 戦争と社会保障税
第一次・第二次世界大戦
・戦争の資金調達のため、1914年に初の所得税（Impôt sur le revenu）を導入。
・戦時中・戦後に財政赤字が拡大し、累進課税が強化。
・戦争の資金調達のため、1914年に初の所得税（Impôt sur le revenu）を導入。
・戦時中・戦後に財政赤字が拡大し、累進課税が強化。
戦後の社会保障制度
・1945年、フランス社会保障制度が確立し、それを支えるために社会保険料（CSG, CRDS）が導入。
・消費税（TVA。付加価値税）が1954年に世界で初めて導入。
・1945年、フランス社会保障制度が確立し、それを支えるために社会保険料（CSG, CRDS）が導入。
・消費税（TVA。付加価値税）が1954年に世界で初めて導入。
7. 現代（21世紀～）
主要税制 フランスの現代税制は以下の3つを柱とする。
1. 所得税（Impôt sur le revenu） ・累進課税制度（最大45%）
2. 法人税（Impôt sur les sociétés） ・企業に課される税
3. 付加価値税（TVA） ・現在20%（軽減税率5.5%など）
1. 所得税（Impôt sur le revenu） ・累進課税制度（最大45%）
2. 法人税（Impôt sur les sociétés） ・企業に課される税
3. 付加価値税（TVA） ・現在20%（軽減税率5.5%など）
近年の税制改革
・マクロン政権（2017～）は、法人税率を引き下げ、富裕税（ISF）を一部廃止。
・2018年、燃料税引き上げに対する「黄色いベスト運動」が発生し、増税が一部撤回。
・デジタル税（GAFA税）を導入し、大手IT企業にも課税。
・マクロン政権（2017～）は、法人税率を引き下げ、富裕税（ISF）を一部廃止。
・2018年、燃料税引き上げに対する「黄色いベスト運動」が発生し、増税が一部撤回。
・デジタル税（GAFA税）を導入し、大手IT企業にも課税。
まとめ
フランスの税制は、
1. 中世は封建的税制（貴族優遇）
2. 絶対王政時代は重税と不公平な課税
3. フランス革命で特権階級の免税が廃止
4. ナポレオン時代に税制が近代化
5. 20世紀には所得税・社会保障税・消費税が導入
6. 現在は所得税・法人税・付加価値税が主な財源
1. 中世は封建的税制（貴族優遇）
2. 絶対王政時代は重税と不公平な課税
3. フランス革命で特権階級の免税が廃止
4. ナポレオン時代に税制が近代化
5. 20世紀には所得税・社会保障税・消費税が導入
6. 現在は所得税・法人税・付加価値税が主な財源
特に、フランス革命とナポレオンの税制改革が現代税制の基礎となっており、消費税（TVA）の導入は世界的にも大きな影響を与えました。
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