玉露 ― 光を遮って完成する、緑茶系譜の到達点

梅雨前の湿った空気。 茶畑には簾が掛けられ、光がやわらかく遮られる。 葉は伸び、色は深まり、 味はゆっくりと内側へ蓄えられていく。 玉露は、待つことで作られる茶です。
玉露とは
玉露とは、 摘採前に茶樹を被覆し、旨味成分を最大化した不発酵茶(緑茶) です。 蒸し製緑茶の系譜に属し、 渋味を抑え、 甘味・旨味を前面に出した茶 として位置づけられます。
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玉露成立の前提
玉露は、 単なる高級煎茶ではありません。
・被覆栽培
・酵素反応の即時停止(蒸し)
・低温抽出を前提とした飲法
これらが揃って、 初めて成立する茶です。 緑茶系譜の中でも、 人為的操作が最も多い茶 と言えます。
・被覆栽培
・酵素反応の即時停止(蒸し)
・低温抽出を前提とした飲法
これらが揃って、 初めて成立する茶です。 緑茶系譜の中でも、 人為的操作が最も多い茶 と言えます。
被覆栽培という技術
| 要素 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 遮光 | 葦簀・藁・寒冷紗 | 旨味成分保持 |
| 期間 | 約20日以上 | 渋味抑制 |
| 環境 | 低光・高湿 | アミノ酸増加 |
なぜ旨味が増すのか
被覆により光合成が抑えられると、 テアニンなどのアミノ酸が カテキンへ変換されにくくなります。 結果として、 渋味が抑えられ、 旨味が葉に残る 状態になります。 これは発酵でも焙煎でもなく、 生育段階での制御 です。
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製茶工程の位置づけ
摘採後の工程は、 基本的に煎茶と同じ 蒸し製緑茶です。 玉露の個性は、 製茶工程よりも 栽培工程でほぼ決まる という点が特徴です。
煎茶との違い
| 項目 | 玉露 | 煎茶 |
|---|---|---|
| 栽培 | 被覆あり | 露天 |
| 味 | 甘味・旨味中心 | 渋味と香り |
| 抽出 | 低温・少量 | 高温・多量 |
歴史的位置づけ
玉露は、 江戸後期から明治にかけて成立します。 覆下栽培は、 もともと抹茶原料(碾茶)用の技術でした。 それを 「淹れて飲む緑茶」に転用した点に、 玉露の革新性があります。
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緑茶系譜における玉露
玉露は、 緑茶系譜の中で 「止める技術」に加え、 育てる段階を操作した茶 です。 蒸し製 → 煎茶 蒸し製+被覆 → 玉露 という位置づけになります。
まとめ
玉露は、 加工で作る茶ではありません。 光を遮り、 時間をかけ、 成分を残す。 そのための判断と手間が、 味を形作っています。 玉露とは、 変化を止める緑茶が、 さらに一歩踏み込んだ結果 生まれた茶です。
「与えないことで、味は深くなる」
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