染色と製革におけるミョウバンの役割

・植物染料（藍、紅花、ザクロ、ウコンなど）はそのままでは布に色が定着しにくい。
・ミョウバン（アルミニウムイオン）は 繊維と染料を結合させる橋渡し をする。
・そのため「媒染剤（mordant）」として布染めには必須だった。
・特に中世ヨーロッパの毛織物産業において、大量のミョウバンが使われた。

・動物の皮を柔らかく、腐敗せずに保存する「革」に加工する工程。
・ミョウバンは 収れん作用 により皮の組織を引き締め、腐敗を防ぐ効果があった。
・中世の製革工房では「皮をなめす → 染める」の両方でミョウバンが必需品。

・中世以降、ミョウバンは「戦略物資」として扱われた。
・14〜15世紀 ローマ教皇庁がミョウバンの産地を独占し、ヨーロッパ各国に高額で供給。
・フィレンツェやベネチアなど染色業が盛んな都市は、ミョウバンの輸入に依存していた。
・オスマン帝国やアジアからもミョウバンが流通し、東西交易の重要な品目となった。