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黒みつの歴史 ― 南の砂糖と日本の甘味文化

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黒みつの歴史 ― 南の砂糖と日本の甘味文化

黒みつは突然生まれた甘味ではありません。海と農と暮らしの積み重ねの中で育ちました。

砂糖以前の日本と「甘味」

古代の日本において、 甘味は非常に貴重なものでした。

・ 主な甘味源は、果実・木の樹液・蜂蜜、 砂糖は存在せず、甘さ＝滋養 この時代、 「甘いもの＝特別なもの」 という価値観がすでに形成されていました。

黒糖の伝来 ― 南から来た甘味

黒みつの原点は、 黒糖（こくとう） です。

 ・ 15〜16世紀
・ 琉球（沖縄）を経由して製糖技術が伝来
・ サトウキビ栽培が定着
黒糖は、
・ 白砂糖より精製度が低い
・ ミネラルと香りを残す
という特徴を持ち、 日本人の味覚に強く残る甘味となりました。

江戸時代 ― 黒みつの原型が定着

江戸時代に入ると、
・ 和菓子文化の発展
・ 団子・餅・寒天菓子の普及 が進みます。
この中で、
・ 黒糖を水で溶く
・ 軽く温めて粘度を調整 という、 現在の黒みつに近い形が生まれました。
黒みつは、 庶民でも扱える「現実的な甘味」でした。

白砂糖との関係

江戸後期になると、
・ 白砂糖（和三盆含む）が普及
・ 上菓子・茶道文化が発達 します。
この結果、
・ 上生菓子 → 白砂糖
・ 団子・庶民菓子 → 黒糖・黒みつ という 甘味の役割分担が明確になります。
黒みつは、 「格下」ではなく 用途の異なる甘味として残りました。

近代〜現代 ― 黒みつが「定番」になる

明治以降、
・ 精製糖が安価に
・ 甘味の均質化が進行 する一方で、
・ わらび餅
・ きなこ餅
・ あんみつ と結びつき、 黒みつは定番の存在になります。
戦後は、
・ 和菓子屋
・ 家庭用甘味 として完全に定着しました。

一覧で整理

時代 黒みつの位置づけ
古代 砂糖なし・甘味は希少
琉球〜中世 黒糖文化が伝来
江戸時代 黒みつの原型が成立
近代 白砂糖と役割分担
現代 和菓子の定番甘味

まとめ

・ 黒みつは黒糖文化の延長線
・ 南の製糖技術が日本で熟成
・ 江戸期に現在の形が成立
・ 白砂糖とは用途が異なる
・ 素朴さを支える「記憶の甘味」
名言 「土地の味は、時代を越えて残る。」

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