NIKKOR-N Auto 24mm F2.8‐近距離補正フォーカスという“扉”に変えた その発想転換の象徴
「NIKKOR-N Auto 24mm F2.8 は、レトロフォーカス広角レンズの最後の弱点（近距離での周辺崩れ）を、 きちんと設計論で解決した、歴史的な1本」です。
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① 出発点 「2.8cm F3.5 ではまだ宿題が残っていた」
・28mm F3.5（NIKKOR-H Auto 2.8cm F3.5）は レトロフォーカスの
・歪曲収差（まっすぐな線が樽型に曲がる）
・周辺画質の低下
をかなり克服した、一眼レフ広角の第一世代の完成形だった。
・周辺画質の低下
をかなり克服した、一眼レフ広角の第一世代の完成形だった。
でも、近距離になると周辺がボケて流れる問題（非点収差の増大）が解決できていなかった。
・そのため、最短撮影距離を60cmに制限してごまかしていた。
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・一方でユーザーは ・「もっと寄りたい」
・他社はもっと短い最短距離を出してきた
→ プレッシャーが高まる。
・他社はもっと短い最短距離を出してきた
→ プレッシャーが高まる。
・そこで脇本善司氏が
「繰り出し量を増やして、単に“寄れるようにする”だけじゃダメ。
近距離でもきちんと性能が出る設計にしないと、超広角の未来が詰む」
と考えた。
「繰り出し量を増やして、単に“寄れるようにする”だけじゃダメ。
近距離でもきちんと性能が出る設計にしないと、超広角の未来が詰む」
と考えた。
👉 ここで、「近距離補正フォーカス（CRC的な考え方）」を発明する流れにつながります。
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② 光学構成と「近距離補正フォーカス」の中身
● 7群9枚のレトロフォーカス
・基本は 28mm F3.5 の発展版。
・前群（凹パワー） ミラークリアランス確保＋歪曲などの制御。
・後群（凸パワー） 像面と細部描写のクオリティを司る。
・28mmより広角・明るくなっている分、レンズも複雑（7群9枚）になっている。
・前群（凹パワー） ミラークリアランス確保＋歪曲などの制御。
・後群（凸パワー） 像面と細部描写のクオリティを司る。
・28mmより広角・明るくなっている分、レンズも複雑（7群9枚）になっている。
● 近距離補正のキモ（レンズ群を途中で分割・相対移動）
・第6レンズと第7レンズの間でレンズ系を2つに分ける。
・ピント合わせのときに、2つの群の間隔を変えることでフォーカス。
・ピント合わせのときに、2つの群の間隔を変えることでフォーカス。
ポイントは
・球面収差などはほとんど変えず
・非点収差だけを大きく変化させるように、 レンズ形状・配置を細かく調整している点。
・球面収差などはほとんど変えず
・非点収差だけを大きく変化させるように、 レンズ形状・配置を細かく調整している点。
・近距離で自然に増える非点収差を、 群間隔変化で生まれる非点収差とぶつけてキャンセルする設計。
👉 これが文章中で「収差キャンセルのトリック」と呼んでいる部分です。
👉 つまり 「寄ったとき専用の補正モードに切り替わる光学系」 という解説になっています。
👉 つまり 「寄ったとき専用の補正モードに切り替わる光学系」 という解説になっています。
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③ 描写特性について
・AI Nikkor 24mm F2.8（→中身はAF 24/2.8Dと同じ光学系） を常用。・それと NIKKOR-N Auto 24mm F2.8 を見比べたところ
● 結果
・解像力・画面のシャープさ
→ AIよりわずかに劣る程度で、実用上ほぼ差は感じないレベル。
→ AIよりわずかに劣る程度で、実用上ほぼ差は感じないレベル。
・開放F2.8
→ 明るい部分の周りにちょっとフレアが出ることがあるが、2段絞れば問題なし。
→ 明るい部分の周りにちょっとフレアが出ることがあるが、2段絞れば問題なし。
・f/8くらい
→ 四隅までシャープ。一般的な撮影には十分以上。
→ 四隅までシャープ。一般的な撮影には十分以上。
・歪曲収差
→ 建物などの直線を撮っても不自然さがない＝よく補正されている。
→ 建物などの直線を撮っても不自然さがない＝よく補正されている。
・マルチコート版
→ 強い逆光でもゴーストやフレアが目立たず、色再現もAI版とほぼ同じ。
→ 強い逆光でもゴーストやフレアが目立たず、色再現もAI版とほぼ同じ。
・近距離描写
→ 広角レンズにありがちな「周辺のグニャっとした流れ」が少なく、 ボケも素直で、近距離補正の恩恵がしっかり出ている。
→ 広角レンズにありがちな「周辺のグニャっとした流れ」が少なく、 ボケも素直で、近距離補正の恩恵がしっかり出ている。
👉 つまり、
「古いNオートだけど、描写は今でも全然通用するし、近距離こそこのレンズの見せ場だよ」 という評価。
「古いNオートだけど、描写は今でも全然通用するし、近距離こそこのレンズの見せ場だよ」 という評価。
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④ 歴史の中でのポジション・後継との関係
24mmラインの系譜です。
・NIKKOR-N Auto 24mm F2.8 → まず単体として完成度が高い＋近距離補正の発明。
・1972年 マルチコート版 → 逆光耐性UP。
・1975年 new Nikkor 24mm F2.8 → デザイン刷新＋24mm F2とのライン揃え。
・1977年 AI Nikkor 24mm F2.8 → AI方式＋光学性能も一段向上。
・現在の AI Nikkor 24mm F2.8S → SICコートなどでさらに抜けと色が良くなっているが、 「近距離補正」という設計思想自体は、N 24mm の時点で確立されたもの。
👉 ピントリングに刻まれた 「0.3m / 1ft」 は、
「ここまで寄れるようにしたぞ」という技術陣の誇りの刻印だよ、という解説です。
「ここまで寄れるようにしたぞ」という技術陣の誇りの刻印だよ、という解説です。
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⑤ まとめ
・2.8cm F3.5 → 一眼レフの広角を「まともに使える」レベルにしたレンズ。
・24mm F2.8 → 一眼レフの広角を「寄ってこそ武器になる」レベルにしたレンズ。
つまり、
NIKKOR-N Auto 24mm F2.8 は、
一眼レフ広角を「ただの広角」から「近距離でガンガン攻められる超広角」へと
進化させた“ターニングポイント”のレンズである。
一眼レフ広角を「ただの広角」から「近距離でガンガン攻められる超広角」へと
進化させた“ターニングポイント”のレンズである。
「問題は、壁ではなく扉なのだと気づいた瞬間に、道は開ける。」 ここでは、
・レトロフォーカスの「近距離崩れ」という“壁”を
・近距離補正フォーカスという“扉”に変えた その発想転換を象徴させています。
・レトロフォーカスの「近距離崩れ」という“壁”を
・近距離補正フォーカスという“扉”に変えた その発想転換を象徴させています。
🏁締めの名言 「レンズの進化は、数字ではなく、克服した“弱点の数”で語られる。」
24mm F2.8 は、まさに「弱点を潰して次の時代をひらいたレンズ」です。
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