江戸時代の番茶 ― 毎日を支えた茶褐色の一杯

朝の長屋。 かまどの火が落ち着くころ、茶釜のふたを少しずらす。 湯気とともに立つ、濃く素朴な香り。 それが江戸の番茶でした。
番茶とは何か
番茶とは、主に成熟した茶葉や茎・枝を用いて作られた、 日常飲用向けの茶を指します。
江戸時代の番茶は、
・色は茶褐色
・味は渋く、香りは弱い
・大量に煮出す
という性格を持ち、 嗜好品というより「生活必需の飲料」でした。
江戸時代の番茶は、
・色は茶褐色
・味は渋く、香りは弱い
・大量に煮出す
という性格を持ち、 嗜好品というより「生活必需の飲料」でした。
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江戸庶民と番茶
江戸時代前半から中頃にかけて、 庶民の茶といえば番茶が基本でした。 台所には大きな茶釜(茶佂)が据えられ、 朝に煮出した番茶を、 一日を通して飲み続けるのが一般的です。 水代わりであり、 食事の締めであり、 来客への最初の一杯でもありました。
| 用途 | 番茶の役割 |
|---|---|
| 日常飲料 | 水分補給の中心 |
| 食後 | 口直し・消化補助 |
| 来客 | 最低限のもてなし |
番茶の淹れ方(煮茶)
江戸の番茶は、 現代のように「淹れる」ものではなく、 煮る茶(煮茶) でした。 茶葉を茶釜や土瓶に入れ、 長時間煮出して作ります。 これにより、 硬い葉からも成分が抽出でき、 保存性も高まりました。
| 項目 | 番茶 | 後の煎茶 |
|---|---|---|
| 作り方 | 煮出し | 抽出 |
| 道具 | 茶釜・土瓶 | 急須 |
| 量 | 大量 | 少量 |
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番茶と上茶の併存
18世紀後半以降、 黄色味を帯びた上質な緑茶(上茶)が登場しますが、 番茶が消えたわけではありません。
経済力や場面によって、
・日常=番茶
・外出先・水茶屋=上茶
という使い分けが行われました。 番茶は、最後まで庶民の基盤でした。
経済力や場面によって、
・日常=番茶
・外出先・水茶屋=上茶
という使い分けが行われました。 番茶は、最後まで庶民の基盤でした。
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まとめ
江戸時代の番茶は、 味わうための茶ではなく、 暮らしを成立させるための茶でした。 煮出され、 繰り返し飲まれ、 誰にでも等しく供される。 その無名性こそが、 番茶が長く続いた理由です。 今、素朴な茶を飲むとき、 江戸の台所を思い浮かべてみてもよいでしょう。
「名もなきものが、日常を支える」
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